「懇願」は「お願い、依頼」という意味の言葉です。特に真剣にお願いするときや、どうしても聞き入れてほしいというときなどに使われます。

この記事では、懇願の基本的な意味や使い方、ビジネスシーンにおける例文なども紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

  • 「懇願」の意味とは

    「懇願」の意味や使い方をご紹介します

懇願とは?

「懇願」は読んで字のごとく「懇(ねんご)ろに願う」という意味です。読み方やよりくわしい意味、よく似た言葉との違いなどを確認しましょう。

懇願の読み方

懇願は「こんがん」と読みます。

懇願の意味は「心を込めて丁寧に願うこと」

懇願はそのままの意味だと「懇ろに願う」意味。この「懇ろ」とは「心がこもっている、丁寧である」という意味です。つまり懇願をわかりやすく表現すると「心を込めて丁寧に願う、お願いすること」となります。

懇願と嘆願の違い

懇願とよく似た言葉に「嘆願(たんがん)」があります。嘆願の「嘆」には「声に出してなげくこと」「心を動かされ感心すること」の2つの意味がありますが、嘆願には「声に出してなげくこと」の意味が含まれています。

懇願と嘆願は「熱心に伝える、お願いする」という意味では同じですが、嘆願は特に「事情を伝えて」熱心に頼むことを指します。例えば何かミスをしてしまった人が、罰則が軽くなるように釈明の文章をつづったものを「嘆願書」といいます。

  • 「懇願」の意味とは

    どうしてもお願いしたいことがあるときに「懇願」を使いましょう

懇願の使い方

懇願の意味を理解したところで、実際にどのような場面で使うのがベストなのかを知っておきましょう。

懇願はビジネスメールでも使える

ここまで紹介してきたように、懇願は心を込めて、誠意を尽くして何かお願いごとをするという意味です。ビジネスシーンでは以下のようにメールで使うことができますが、重みのある言葉だけに多用するのは避けた方がいいでしょう。

・ご協力賜りますよう、懇願申し上げます。

・何卒お引き立てくださいますよう、懇願いたします。

真剣な頼みごとのときに使う

懇願は特に真剣な頼みごとのときに使います。かしこまったお願いの場面で使えるため、目上の人に対しても使うことができます。

ただし、「よろしくお願いします」と同様に気軽なあいさつ代わりに使うことはできません。また、「よろしくお願いします」のような気軽な依頼のときに「懇願する」を使うのもかえって不自然なので、使う場面はきちんと選ぶようにしましょう。

使い過ぎると軽薄な印象になるので注意

懇願は真剣な頼みごとのときに使うのが大前提なので、使い過ぎないように気をつけましょう。同じメールの中で何度も使用してしまうと、軽薄な印象を与えてしまいます。

「これだけはどうしてもお願いしたい」という思いを伝えるとき、ここぞというときの切り札のつもりで使いましょう。聞き入れる側も滅多に使わないような「懇願」を使われると、「余程のことのようだから願いを聞き入れよう」という気持ちになるかもしれません。

  • 「懇願」の意味とは

    ビジネスメールにおける「懇願」は、ここぞというときの切り札です

懇願の例文

懇願を日常で活かすための例文を3つご紹介します。

懇願したが、聞き入れてもらえなかった

一生懸命ひたすらにお願いしたけれど、願いを聞き入れてもらえなかったことを表しています。「どうしても大学に行きたいと懇願したが、聞き入れてもらえなかった」「部署異動を懇願したが、聞き入れてもらえなかった」といった使い方ができるでしょう。

懇願という表現から、必死の様子や本気の思いが伝わります。

会社を辞めないでくれと懇願された

懇願という言葉を使うことで、会社を辞めるという自分の意思を、必死に引き留められたということを表すことができます。引き留める側の焦りを読み取ることができ、それほどまでに会社に必要とされる存在であるということがわかる文章です。

懇願するように言った

「懇願するように」からは、頼みごとをする側の必死さや焦り、悲しみなどを読み取ることができます。

  • 「懇願」の意味とは

    「懇願」をうまく使えば、大切な依頼も引き受けてもらえるかもしれません

懇願の類語・言い換え表現

懇願の類語表現をまとめました。語彙力を増やして、他の言葉でも言い換えられるようにしておきましょう。

懇請

「懇請」は「こんせい」と読みます。「請」にも「願い望むこと」の意味があり、懇請の意味は「心を尽くして頼むこと」です。「誠意をもってお願いする」意味の懇願の類語表現といえます。「懇請の情」や「許可を懇請する」のように使います。

哀願

「哀願」は「あいがん」と読みます。「事情を述べ、人の同情心に訴えて頼むこと」という意味です。

「哀」には「あわれっぽくする、泣きつく」の意味があるので、哀願と聞くと「願いを聞いてほしいばかりに泣きつく」様子が思い浮かびます。それくらい真剣な願いであるということが伝わる表現といえるでしょう。

切願

「切願」は「せつがん」と読み、「しきりに願うこと」「切に願うこと」を意味します。懇願の「お願いする」「依頼する」というよりも、「願望」のニュアンスが強い言葉です。

  • 「懇願」の意味とは

    「懇願」の類語「切願」は、願望のニュアンスが強いといえます

懇願・懇願するの英語表現

懇願を英語で何と表現するのかをご紹介します。「懇願」自体がビジネスシーンでもさほど頻繁に使う言葉でもありませんが、いざというときのために頭に入れておくといいでしょう。

懇願は「entreaty」「appeal」

懇願は英語で「entreaty」や「appeal」などと訳されます。「entreaty」は「懇願、哀願」という意味、「appeal」は「訴え」という意味があります。

・His entreaty was accepted.(彼の懇願は受け入れられた)

・The boy made an appeal to his mother to buy a toy.(男の子は母親におもちゃを買うように訴えた)

「懇願する」は「beg」

懇願の動詞「懇願する」は、英語で「beg」という単語を使って訳されます。例えば「beg him for(to) help」では「彼に許しを懇願する」となります。

・I beg you to join us.(ご参加くださいますよう、お願い申し上げます)

・I’m begging you.(お願いですから)

懇願するような

「懇願するような○○」と表現するときは、「pleading」を使うのが自然です。「plea」という単語にも「懇願」「嘆願」の意味があり、特に「訴えるような」「申し立てる」といった強いニュアンスを含んでいます。例文としては下記のようなものがあります。

・a pleading gesture(懇願するような仕草)

また、前述の「beg」を使うこともできます。

・say in a begging tone.(懇願するような口調でいう)

  • 「懇願」の意味とは

    「懇願」を意味する英語表現もいっしょに覚えましょう

懇願の意味は「心をこめて願うこと」

懇願とは「心を込めてお願いごとをする、深く頼み込む」という意味の言葉です。単なる「お願い」という表現には含まれないような、必死さや焦りのニュアンスを含んでいます。

ビジネスメールなどで使われることもありますが、重みのある言葉だけに使い過ぎると軽薄な印象を与えてしまうことに。ここぞというときだけに使うようにしましょう。