社交文書とは、仕事に関する内容ではなく、感謝状や挨拶状などの儀礼的な役割を果たす文書類を指します。取引先との円滑なコミュニケーションには欠かせない大変重要な文書です。

本記事では、社交文書の基本的な構成や例文、使える慣用句などについて詳しく解説していきます。社交文書は特有の書き方や表現が決まっているので、ビジネスマナーを守るためにも正しい作成方法を覚えておきましょう。

  • 社交文書とは

    本記事では、社交文書の書き方や句読点の使い方や、慣用句などを紹介していきます

社交文書とは

社交文書とは、仕事に関する内容以外で送る感謝状やお礼状、挨拶状などの儀礼的な文書のことです。仕事とは直接関係ありませんが、ビジネスマナーとして書き方や注意点を覚えておく必要があります。

社交文書の種類

社交文書の代表的な種類としては以下があります。

  • あいさつ状
  • 紹介状
  • 礼状
  • 見舞い状
  • 断り状
  • 年賀状
  • 暑中お見舞い
  • 慶弔状(お祝い状・お悔やみ状)
  • 社交文書とは

    社交文書を欠かすとビジネスマナー違反になるので注意が必要です

社交文書のルール

社交文書の書き方は決まっているので、挨拶文や基本的な構成、社交文書で使う慣用句を確認しておきましょう。

社交文書は縦書きにする

社交文書は縦書きにするのが基本です。横書きの文章では算用数字を使いますが、縦書きは「三丁目七番」のように漢数字を使います。一般的なビジネス文書は横書きなので、社交文書も横書きで書いてしまわないよう注意しましょう。

なお、社交文書の役割は「仕事と関連のない挨拶を文書に明示して相手に送ること」であるため、仕事の話を文書内に盛り込むのはNGです。

文頭に時候の挨拶を入れる

社交文書の文頭には必ず時候の挨拶を入れます。時季別の挨拶例は下記のとおりです。

1月 「新春の候」「大寒の候」「寒の入りとともに寒さがつのりますが」
2月 「立春の候」「向春の候」「清らかな香り漂う梅花の候」
3月 「早春の候」「春暖の候」「三寒四温を実感する気温差のある季節ですが」
4月 「花冷えの候」「陽春の候」「花冷えの日が続いておりますが」
5月 「青葉の候」「新緑の候」「心地よい風が吹き抜ける立夏の候」
6月 「初夏の候」「向暑の候」「雨に萌ゆる緑が風情を漂わせる季節」
7月 「盛夏の候」「梅雨明けの候」「晴天が続く盛夏のみぎり」
8月 「晩夏の候」「立秋の候」「秋の到来が待ち遠しいこの頃」
9月 「初秋の候」「秋晴の候」「虫の音にも深まる秋を感じる頃となりました」
10月 「夜長の候」「紅葉の候」「いよいよ秋も深まり夜寒を覚えるこの頃」
11月 「晩秋の候」「向寒の候」「末枯野美しき晩秋の候」
12月 「初冬の候」「歳末の候」「本年も余日少なくなってまいりました」

社交文書の基本構成

社交文書の基本構成は、次のように決まっています。

頭語

社交文書の冒頭には、「拝啓」や「謹啓」などの頭語を書きます。頭語としては「前略」が広く知られていますが、「前略」は親しい相手に送る手紙などに使う頭語なので、社交文書には適していません。

前文

時候の挨拶に加えて、先方の安否を気遣う挨拶や日頃の感謝を記します。

主文

社交文書の本題です。主文の書き始めには、「さて」や「ところで」などの起辞を書きます。

末文

本文を締めくくる挨拶です。「略儀失礼ながら書面をもちまして御礼申し上げます」や「まずはお礼申し上げます」などの定型文を添えましょう。

結語

「敬具」や「敬白」などの言葉です。結語と頭語の組み合わせは決まっているので、事前に確認しておきましょう。

日付

日付は文書の発信日を和暦で書きます。ただし、外資系企業では西暦を用いるケースもあります。

発信者名

文書の差出人として、下記の4項目を書きます。

  • 会社名
  • 部署名
  • 役職名(肩書き)
  • 氏名

社交文書で使う慣用句

社交文書で使いやすい慣用句や慣用表現の例をご紹介します。

【頭語と結語】

一般的な例:拝啓-敬具
丁寧な例:謹啓-敬白
返信に使う例:拝復-敬具

など

【安否】

「ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
「いよいよご隆盛のことと大慶に存じます」

など

【感謝】

「常々格別のお引き立てにあずかり御礼申し上げます」
「平素はご指導をたまわり深謝申し上げます」

など

【終わりの挨拶】

「今後ともよろしくお引き立てをお願い申し上げます」
「まずはご挨拶申し上げます」
「まずはご案内申し上げます」

など

  • 社交文書の書き方

    社交文書は書き方や基本構成が決まっているので、しっかりと覚えておきましょう

社交文書の例文

ここでは、社交文書の具体的な例文を紹介します。

挨拶状

  • 社交文書の例文

    挨拶状の例文

お礼状

  • 社交文書の例文

    お礼状の例文

案内状

  • 社交文書の例文

    案内状の例文

社交文書の注意点

社交文書を書く際には、注意しておきたいポイントがいくつかあります。詳しく見ていきましょう。

社交文書を代筆するときのルール

社交文書を代筆する際には、代筆であることがわかるように「代」の文字を入れます。たとえば、上司に代筆を依頼された場合には、上司の役職と名前を書いたあとで「代」の文字と代筆者の苗字を記載します。

例:「営業部長山田太郎代鈴木」

「代」のほかに「文責」や「内容」を使うこともありますが、この場合も「文責」や「内容」のあとに代筆者の苗字を書きます。

社交文書の頭語に句読点は入れない

社交文書の頭語には句読点を入れません。頭語のあとには、1文字分の空きを取ります。

例:「拝啓 三寒四温を実感する気温差のある季節ですが~」

「見舞状」「お悔やみ状」には時候の挨拶を書かない

社交文書の文頭には「拝啓」などの頭語や「初秋の候」といった時候の挨拶を記します。しかし、見舞状やお悔やみ状などのように先方が喜ぶ状態にない場合は、頭語と時候の挨拶を書く必要はありません。

  • 社交文書の注意点

    社交文書の代筆をする際の注意点や、句読点の使い方も確認しておきましょう


社交文書は、仕事に関する内容以外の挨拶状や感謝状のことです。儀礼的な文書ですが、先方と円滑なコミュニケーションをとるためには欠かせないので、書き方や例文をしっかりとマスターしておきましょう。