「社外文書」で社外の人に必要事項を連絡する際、礼儀にかなっていないと不快な思いをさせてしまうことがあります。社外文書は伝わりやすい文章にするのはもちろんですが、他にも注意すべき点は多いです。

この記事では、「社外文書」の書き方や作成時のポイントなどを紹介します。ビジネスパーソンにとって役立つ内容ですので、ぜひご一読ください。

  • 社外文書とは

    社外文書の書き方や必須項目などを紹介します

社外文書とは

社外文書とは、取引先や顧客・得意先など、社外の人に向けて発する業務文書のことで、ビジネス文書のひとつです。社外文書には、依頼書・案内状・督促状・照会状などがあります。

社外の人に向けた改まった文書ですので、尊敬語や謙譲語などを使った礼儀正しい文書にしなければなりません。

社外文書の基本的な構造

社外文書は下記のような要素で構成されています。

件名 内容を簡潔で的確に表せるもの
前文 「頭語+時候の挨拶+感謝の挨拶」の組み合わせ
主文 社外文書の内容。「起こし言葉+結論+理由、背景」の組み合わせ
末文 内容に合う文章で結んだ後に「敬具」などの結語を記載

社外文書を書く際のビジネスマナーとして、覚えておきましょう。

社外文書の必須項目

社外文書には、下記のような項目の記載が必要とされることが多いです。

  • 文書番号
  • 宛名
  • 発信者
  • 発信日時
  • 担当者・連絡先
  • 本文
  • 記書き

会社によってフォーマットが用意されているケースもあるので、参考にしながら社外文書を作成しましょう。

  • 社外文書とは

    社外文書とは社外の人宛てに作成する文書のことです

社外文書以外のビジネス文書

ビジネス文書には、社外文書以外にも下記のような文書があります。

  • 社内文書(連絡文書)
  • 社交文書

それぞれの文書について、くわしくみていきましょう。

社外文書と社内文書の違い

社内文書とは、社内の人宛てに発信されるビジネス文書のことです。社内文書には下記のように、さまざまな文書があります。

  • 報告書
  • 届出書
  • 通知書
  • 申請書
  • 会議議事録
  • 稟議書

など

このように社内文書は社内での伝達を確実に行うために作成される点が、社外宛の文書として作成される社外文書との大きな違いです。

社外文書と社交文書の違い

社交文書は社外文書と同様、社外の人に向けて作成されるビジネス文書で、下記のような文書があります。

  • あいさつ状
  • お礼状
  • 招待状
  • 見舞状

など

社交文書は社外の人に対するお祝いやお悔やみなどの気持ちを伝えるため、儀礼的な文書です。社交文書は社外文書より丁寧さが求められますので、言葉遣いに気をつけましょう。

  • 社外文書以外のビジネス文書

    社外文書と社交文書・社内文書との違いを紹介しました

社外文書の例文

ここからは、社外文書を構成する項目や社外文書の作成例をみていきましょう。

頭語・結語の組み合わせ例

「頭語」とは、文書の書き出しに使う言葉のことです。頭語は手紙の内容によって使い分けが必要ですので、覚えておきましょう。

頭語 結語
通常 ・拝啓
・啓上
・敬具
・敬白
丁重な表現 ・謹啓
・謹呈
・謹言
・謹白
急いでいる場合 ・急啓
・急白
・草々
・早々
返信する場合 ・拝復
・復啓
・敬具
・拝答

一般的には頭語は「拝啓」、結語は「敬具」を使うことが多いです。しかし、状況によって用いるべき表現が異なることを覚えておきましょう。

前文の例

前文は「頭語+時候の挨拶+感謝の挨拶」で構成されていますが、中でも時候の挨拶は季節によって異なります。

例えば12月の場合「師走の候」など、「~の候」という表現がよく用いられます。しかし、「早くも師走のあわただしい季節になりました」など、やわらかい言葉を使った表現も覚えておきましょう。

あいさつ文の例

前文の次には、下記のような挨拶文を配置しましょう。

  • 先日はご多用中にもかかわらずお時間をいただき、誠にありがとうございました
  • 平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます
  • この度は一方ならぬご指導を賜り、御礼申し上げます

上記のような挨拶文を述べた後で、本文に入ります。

末文の例

社外文書の本文で内容を伝えた後には、下記のような末文が必要です。

  • 今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう改めてお願い申し上げます
  • 末筆ではございますが、一層のご活躍を祈念いたしております
  • まずは略儀ながら、書中をもってお礼の言葉とさせていただきます

上記のような、今後につながるような挨拶を、末文として使うといいでしょう。

社外文書のテンプレート例

ここでは、社外文書の作成例を紹介します。

第211165号(文書番号)
令和3年11月30日(日付)

株式会社〇〇
〇〇課長〇〇様(宛先)

〇〇株式会社
営業部〇〇課長 田中 一郎 印(発信者)

商品発送通知(タイトル)

拝啓、暮秋の候貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、〇月〇日にご注文いただいた弊社の「〇〇」を、〇月〇日に〇〇運輸便にて弊社より発送いたしました。
 つきましては、~

 まずは出荷のご通知まで。

敬具

1.~
2.~
3.~

以上

担当者 営業部〇〇課 ○○
電話番号:〇〇-〇〇〇〇-9876(連絡先)

内容や相手との関係性などを考慮して、内容を調整するといいでしょう。

  • 社外文書の作成例

    社外文書には必ず掲載すべき項目があります

社外文書作成時の8つのポイント

ここからは、社外文書を作成する際に気をつけるべき点を紹介します。

相手に伝わりやすい文章を心がける

社外文書を書く際に最も重要となるのは、誰に対する文書なのかを意識する点にあります。情報に誤りがないことはもちろんで、相手の背景や関係性を考慮しましょう。

そのためには、読む相手の立場を考えながら作成することが大切です。相手が持つ関心度や忙しさ、知識や理解度などを考慮しつつ作成すると、伝わりやすい文書になります。

また、数字や具体例を用いることや、事実と意見を区別して書くことなども重要なポイントです。

敬語の使い方に注意

社外文書では間違った敬語の使用は厳禁です。

自社スタッフに対して尊敬語を使っていないか、謙譲語の使い方を誤っていないかなどを確認しながら作成しましょう。

シンプルで要点を押さえた内容にする

丁寧に説明しようとしすぎると、要領を得ない文章になってしまうこともあります。箇条書きを用いるなどの方法で、要点を伝えるようにしましょう。

結論から明記する

ビジネス文書では、結論から述べることが基本となっています。先に結論から読むことで、相手は文書を読むべきかどうかの判断が可能です。また、結論を知ってから後述の理由や経緯を読むことで理解しやすくなりますし、判断もしやすくなります。

略字や略称を避ける

社外文書は取引先に対する正式な文書ですので、正しい言葉遣いをするのが大切です。略称や略字、社内用語などの使用は避け、正確な名称を使いましょう。

A4に収まるようにする

社外文書を含めたビジネス文書は、1枚に収められるよう作成するのが基本です。A4サイズ1枚に収められるよう、必要な情報のみを厳選して、端的に記載しましょう。

どうしてもA4サイズ1枚で足りない場合は別紙として分け、ページ番号を記載してください。

箇条書きを活用する

社外文書でだらだらと長い説明を書くと、忙しい人ほどなかなか読んではもらえません。箇条書きを用いると見やすく頭に残りやすいですし、読み手にとって理解しやすい文書になります。

5W3Hを意識する

ビジネス文書は正確に伝えることが重要ですので、下記のような5W3Hの要素で考えると、必要事項が抜けにくいです。

  • What(課題)
  • Why(動機)
  • Who(対象者)
  • When(日時)
  • Where(場所)
  • How(手段)
  • How many(規模感)
  • How much(予算)

上記の点を意識しながら、内容を考えるといいでしょう。

  • 社外文書作成時の8つのポイント

    社外文書作成時のポイントを理解したうえで作成しましょう

社外文書は内容と相手への敬意が伝わるよう意識して作成しよう

社外文書は宛名や差出人、作成日以外にも、件名・前文・主文・末文など記載すべき項目が多いです。文書の内容や季節などによって選ぶべき表現が異なりますので、状況に合わせて使い分けましょう。

また、相手への伝わりやすさや敬語の使い方など、気をつけるべき点もあります。相手に対して失礼な表現とならないよう、気をつけながら社外文書を作成しましょう。

社外文書の作成は、慣れないうちは大変かもしれませんがポイントを覚えておくと役立ちます。この機会にぜひ作成方法をマスターしておきましょう。