何かに挑戦することを表明するシーンなどで使われる「裸一貫」という言葉。聞いたことはあるものの、意味を知らないという人もいるのではないでしょうか。

本記事では、裸一貫の意味・読み方や由来、正しい使い方・例文をくわしく解説します。また、裸一貫の類語・英語表現などもあわせて紹介。この機会にまとめて覚えてみましょう。

  • 裸一貫の意味とは

    「裸一貫」の意味・読み方や由来、使い方・類語などを紹介します

裸一貫の意味とは

「裸一貫」とは、「資本や財力などがまったくなく、自分の体しか持っていないこと」を意味する言葉です。「腕一本」や「ふんどし一貫」と言い換えられることもあり、何かに挑戦することを表現する場面などでよく使われます。

裸一貫の読み方

裸一貫は、「はだかいっかん」と読みます。難しい読み方ではないので、すぐに覚えられるでしょう。一方、「貫」という字は似たような漢字がいくつかあるので、間違えないように注意してください。

裸一貫の由来

裸一貫の「貫」は、昔の貨幣の単位です。一貫というのは一文銭千枚のことであり、決して大金というわけではありません。

そこから意味が転じて、「体だけが自分の資本」という意味で使われるようになりました。

  • 裸一貫の意味とは

    裸一貫は、資本や財力などがまったくなく自分の体しか持っていないことを指します

裸一貫の類語

言葉の意味をより深く理解するためには類語も確認しておきましょう。

裸一貫も似た意味を持つ言葉がいくつかあるので、ここではそれぞれの類語の意味を紹介します。

身一つ

「身一つ」は「みひとつ」と読み、自分の体一つであることを表す言葉です。裸一貫と同じような意味合いで使うことができます。

そのほか「無一文」「文無し」なども同じような意味で使えるでしょう。

おけら

「おけら」と聞くと昆虫をイメージする人も多いかもしれませんが、実は所持金がないことや、そのような人自体を指す隠語としても使われてきた言葉です。

こちらも意味は裸一貫と似ていますが、「馬鹿や間抜けである」というニュアンスや「すり仲間の隠語」という側面を持っているため、使われ方が異なります。

裸一貫に比べるとネガティブな意味合いが強いので、使う場合は注意してください。

徒手空拳

「徒手空拳」は「としゅくうけん」と読み、「手に何も持たず自分の身一つであること」という意味の四字熟語です。

「徒手」という言葉と「空拳」という言葉は、どちらも「武器や道具などを持たず素手であること」を意味しており、財力や他人からの助けなど頼れるものがなく、自分の体一つしか持っていない状態を表しています。

「おけら」とは違い前向きなニュアンスで使えるので、「裸一貫」の言い換えとして使える場面は多いでしょう。

例えば、「徒手空拳でビジネスを始めたため最初は苦労したが、挑戦し続けた結果大手企業とも取り引きをするほどになった」といったように使うことができます。

  • 裸一貫の類語

    意味を理解するためにも、裸一貫の類語を覚えてみましょう

裸を使ったことわざ

裸という言葉は、ことわざにもよく使われています。覚えておけば語彙力も高まるので、この機会に一緒に確認しておきましょう。

ここでは、裸という言葉が使われていることわざを2つ紹介します。

男は裸百貫

裸一貫と字面が似ている「男は裸百貫」という言葉は、基本的に男性を褒める時に使われます。

男はたとえ裸であっても百貫の値打ちがあり、無一文であっても働いて富を築き上げることができるという意味を持っています。

日常でよく聞く表現ではありませんが、あわせて覚えておくと役立つことがあるかもしれません。

内裸でも外錦

「内裸でも外錦(うちはだかでもそとにしき)」は、家の中では裸でもいいが外へ出る時は身なりを整えなければいけないことから、世間体をつくろわなければならないという意味合いで使われます。

例えば、見栄を張っている状態や体裁を保つのに必死な様子を表す時などに使える言葉です。

  • 裸を使ったことわざ

    裸という漢字を使ったことわざには、「男は裸百貫」や「内裸でも外錦」などがあります

裸一貫の使い方と例文

裸一貫は、体一つで何かに挑戦したり成り上がっていく様子を表したりする時に使われ、どちらかというとポジティブな意味合いで用いられることが多い言葉です。

日常生活でもビジネスシーンでも見聞きする機会があるので、例文で正しい使い方を確認しておきましょう。

例文

・貯金も頼れる人もいない状態で突然上京することを決めた自分は、まさに裸一貫だったと言えるだろう。

・裸一貫で海外に渡ったが、今では家もやりがいのある仕事も手に入れ幸せに暮らしている。

・これまで親に干渉されてきた人生だったが、裸一貫で新たなスタートを切りたいと考えている。

・裸一貫で生きてきた彼女にとって、大抵のことは小さな問題だろう。

  • 裸一貫の使い方と例文

    裸一貫はプラスの意味合いで用いられることが多い言葉です

裸一貫の英語表現

仕事で海外の取引先などとやり取りする機会がある人もいるでしょう。その際、裸一貫を英語で表現したいということもあるかもしれません。

英語で裸一貫は、「何もないところから」という意味の「from nothing」や、「体以外何も持っていない」という意味の「having nothing except one's body」などで表現することができます。

また、お金がないことを表す「being penniless」という表現を使ってもいいでしょう。

「penniless」とは、イギリスの最小通貨単位である「penny」に、「〜ない」という意味の接尾辞「less」をつけたものです。

ここからはそれぞれの表現を使った例文を紹介しますので、使い方を確認しておきましょう。

例文

・Although she began with having nothing except her body, she was successful on her business.(彼女は裸一貫で始めたにも関わらず、ビジネスにおいて成功を収めた)

・ When he came up to Tokyo, he was just penniless.(彼が上京した時、まさに裸一貫の状態であった)

・He started living in USA from nothing three years ago.(彼は3年前に裸一貫でアメリカでの生活を始めた)

  • 裸一貫の英語表現

    裸一貫の英語表現には、「from nothing」や「being penniless」などがあります

裸一貫という言葉を正しく使おう

「裸一貫」は「資本や財力などがまったくなく、自分の体しか持っていないこと」という意味で、昔の貨幣の単位である「貫」が由来となっている言葉です。

体一つで何かに挑戦したり成り上がっていく様子を表したりする時に使われ、どちらかというとポジティブな意味合いで用いられます。

意味や正しい使い方、類語や英語表現などを覚えて、自信を持って裸一貫という言葉を使えるようにしておきましょう。