――最終決戦が行われた富士山麓のロケについては、いかが思われましたか。

広大な麓で各ライダーたち(仮面ライダーリバイ、仮面ライダーセイバー、仮面ライダーセンチュリー)が悪魔ディアブロに戦いを挑むアクションは、壮絶なものになっています。ロケについてですが、あいにく天気の悪い日が続いて、スタッフさんは大変だったようです。「今日は富士山向きのカットが撮れないから、逆向きだけ撮っておこう」とか。富士ロケは何日かに分けて行ったのですが、いつも曇っていてきれいな富士山が見えないんです。ようやく晴れ間が見えてきた、わずかな時間を狙って富士山を捉えた感じでした。あんなに富士山を間近で見ることもなかなかないですから、言葉に表せない感動がありました。なんだか、すごいパワーをもらった感じです。ロケの思い出といえば、なんといっても一輝と飛羽真が並んで同時変身するところ。増刊号ではできなかった同時変身が、ついに映画で実現した……と、ここでも感動していました。秀くんから仮面ライダーのバトンを受け取った僕が、こうして並んで変身することができて、とても光栄でしたし、この思いを次のライダーにつなぐことができたらな、と強く思いました。

――普段は一輝の体の中にいる悪魔バイスが、映画では実体化して一輝とは別行動を取るという、珍しいシーンがありましたね。

そうなんです。一輝の隣にはいつもバイスがいるのが当たり前でしたからね。テレビでは一輝とバイスはお互いに単独行動を取りませんので、一輝がひとりで行動するのは少しさびしかったです。そもそも今回の映画って、たくさん仮面ライダーが出てくるにもかかわらず、リバイ=一輝だけのシーンが意外と多いんですよ。映画では『仮面ライダーセイバー』の剣士たちと共演ができるんだ!とワクワクしながら台本を読んでいたら、一輝だけ別行動するシーン、多いな~って(笑)。

――映画を手がけられた柴崎貴行監督はテレビシリーズの第1、2話以来となりますが、久々にお会いした柴崎監督からはどんな言葉をかけられましたか。

僕はまだ俳優になって間もないので、現場で演技を学ぶ機会が初めてのことばかりで、お会いする監督すべてが先生のような存在なんです。柴崎監督は一輝のキャラクターに肉付けをしてくださった、最初の先生ですね。第1、2話のときは、僕の演技が何度やってもうまくいかず、20テイクくらい撮ったシーンがありました。でも映画のときは、何度もテイクを重ねるようなことはなかったんです。僕なりに、大切なシーンではどのように演技をすればいいか、いろいろ考えながら取り組むようになりましたし、自分自身の「伝えたいこと」が監督に少しは伝えられるようになったかなと思っています。柴崎監督からは特別な言葉をもらったわけではないんですけど、カットをかけるときの「ハイッ!」の声のトーンが変わってきたなと感じました。いいときと悪いときの「ハイッ!」の言い方が違っていて(笑)。いいときの「ハイッ!」が出ると、僕としてはとてもうれしいです。

――『仮面ライダーリバイス』のテレビシリーズは、たくさんのキャラクターが複雑に絡みあい、最近ではいくつかの「ドンデン返し」も見られる波乱の展開で常に話題を集めていますね。

すでに「怪しい人」たちが何人も登場していますし、これからも五十嵐家の周りにはいろいろな事件が起きるのではないかと思っています。ただの明るく平凡な家族の姿を描くドラマではなく、登場キャラクターすべてがひとりひとりの人間味や、いいところ悪いところ、不満などをかかえていますので、そういった部分がこれからどういう風に物語とつながっていくのか、毎週お楽しみいただければうれしいです。

――仮面ライダーリバイス(リバイとバイス)に続き、大二(演:日向亘)が仮面ライダーライブ、さくら(演:井本彩花)が仮面ライダージャンヌへと変身し、兄妹でデッドマンズと戦う展開についてはいかが思われますか?

仮面ライダーデモンズに変身するヒロミさん(門田ヒロミ/演:小松準弥)もそうなんですけど、一輝以外のライダーはみんな最初に変身を「失敗」した経験があるんです。それだけに、今はライダーとして戦っているみんなの姿を見ると、それぞれの強い思いを汲んで感動するんです。大二とさくらがライダーになってくれて、一輝としても僕としても、心強いな、頼もしいなと思っています。リバイとバイスは2人で1人というイメージですから、彼らに負けないよう僕たちも頑張っていきたいです。

――映画にちなんだ質問になります。前田さんは50年後の未来、どんな人生を送っていたいと思われますか?

50年後というと、僕は72歳になっているんですね。今は役者であり続けたい!という思いが強く、今後50年間ずっと役者をやっているんだと思います。そして70代になったら、これまでの役者人生をふりかえりながら、田舎でゆっくり生活をしている……なんて理想ですね(笑)。そんな未来を迎えるために、今は『仮面ライダーリバイス』に全力で集中して頑張りたいです。

――最後に、映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』の見どころをお願いします。

一番は『仮面ライダーリバイス』のテーマ「家族」が映画でも重要になってくるところですね。50年前、現代、50年後と、100年という時間を飛び越える作品ですし、昔『仮面ライダー』をご覧になっていた大人の方も、『仮面ライダーリバイス』『仮面ライダーセイバー』が大好きな子どもたちも、一緒に楽しんでもらいたいという願いを込めて作っています。さらに時代を飛び越えて、未来の子どもたちにも観てほしいと思います。もうご覧になった方もたくさんいらっしゃると思いますが、一度と言わず、二度、三度映画館へ足をお運びいただき、繰り返しご鑑賞してくださるとうれしいです!