12月19日に山野ホールにて、”Run Girls, Run!4th Anniversary LIVE Run 4 You!!!”が開催。林鼓子、森嶋優花、厚木那奈美の3人による声優ユニット・Run Girls, Run!(略称:ランガ)の結成4周年を記念して開催されたこの日のライブは、はじまりの曲から最新曲、さらにはユニットの今を象徴する曲まで網羅した周年ライブにふさわしい構成。磨かれ続けた質の高いパフォーマンスに想いを乗せて、ランナー(※Run Girls, Run!ファンの総称)へと届けていった。本稿では、そのうち夜の部の模様をお届けする。

●3人もファンもいきなり燃え上がった! 怒涛の5曲連続『プリ☆チャン』

まずはデジタル調のinterludeに乗せて、虹色の輝きに包まれるステージに3人が登場。まずは「ドリーミング☆チャンネル!」を披露する。森嶋がセンターでライブのスタートを高らかに宣言すると、キラキラの笑顔でエネルギッシュなステージを展開。縦になってのフォーメーションを生かした美しいチームワークもみせながら、テンポ速くてエネルギッシュなナンバーを乗りこなしていく。また、Dメロにはステージ背景の照明がメンバーの並び通りオレンジ・赤・青と三分割されるという、”3人のステージ”を形にする好演出も。

続く「ルミナンスプリンセス」は、頭サビにてミラーボールの光が美しく会場を彩ってからのスタート。この曲ではAメロでソロをとるメンバーと他ふたりの1対2に分かれたり、サビの後半では三角形のフォーメーションを保ったままじわじわと周回していったりと、麗しさ強めの振付のなかでチームワークのよさを感じさせるシーンが多い。

2-Aメロでは厚木が若干沈み込み深めのパフォーマンスを通じて、ファンからのエールへのお返しをみせる。また、頭サビをはじめ幾度も登場する「ワンダーランド」のフレーズに、ふんだんにかわいげを乗せていく林の、ボーカルワークの表情豊かさも感じさせられた曲に。さらにもう1曲「イルミナージュ・ランド」も、勢いがありながらも滑らかさや美しさの込められたダンスが見どころな曲。

この曲では森嶋がソロパートのトップバッターとして愛嬌満載の歌声を聴かせれば、サビ前では歌詞を利用して、ランナーを煽ってジャンプを先導。会場に一体感をもたらしていく。またBメロで次々ソロパートが移り変わる際には、そのパートのリレーをフォーメーションにも反映。様々な角度から”技”をみせていった。

3曲披露したところで、恒例のユニットとしての名乗りからこの日最初のMCパートへ。声出しNGというレギュレーションのなか、コールをそのまま拍手に置き換えてランナーがメンバーそれぞれの自己紹介を支え、場内はさらに一体感が高まる。そんななか各々が4th Anniversary Liveとしてはラストの公演となった夜の部への意気込みを語ると、林が「ここからは怒涛のメドレーに!」と宣言。3年にわたって担当し続けてきた『キラッとプリ☆チャン』のOPテーマメドレーへと突入する。

まずその幕開けを飾ったのは、1st OP「キラッとスタート」。結成1年目リリースの2ndシングルということもありとにかくパワフルな振付の曲だが、この日も様々なポイントで進化が散見。特にこの日はサビの終盤「魔法より」のフレーズでの脚上げで、厚木の振り上げがハッとするほどの高さをみせていた。

続く「Go! Up! スターダム!」では、Bメロ直前でぴょんと跳ねる部分では林のそれが高く、非常に気持ちがよくノッていると感じさせると、「キラリスト・ジュエリスト」はBメロで厚木が愛嬌を巧みに乗せたのを筆頭に、よりキュートさ強めのみせ方に。

そのかわいさを維持しつつ、テンポの速い楽曲に応じた細かい振付もまっとうしていったのが、次曲「ダイヤモンドスマイル」。さらにそのなかでAメロでは森嶋と厚木が生ハモをしっかり響かせるなど、ボーカルワークの部分でも今もつテクニックを駆使して成長をみせ、ほのかなせつなさも感じさせる曲「never-ending!!」へ。ここでは再びしなやかさも意識したパフォーマンスを披露して、ランガが積み上げてきたものを様々な角度から提示していった。

ちなみに余談ではあるが、『プリ☆チャン』メドレーの最後に「never-ending!!」を置くという構成、何かメッセージのようなものを深読みしてしまったのは筆者だけだろうか。

●“季節曲”にソロ曲――ランガならではの色の見えた中盤戦

メドレー後、自身が帯びた熱気に通ずるものを、高まったランナーからも感じるステージ上の3人。それを目にして厚木は「同じ気持ちを共有できてうれしい」と率直な想いを口にし、それに同調しつつさらにランナーを煽っていく森嶋。一方、林は「汗が止まらん!」と述べ、パフォーマンスの全力具合を感じさせる。

さて、ここからはカップリング曲として制作された通称”季節曲”のゾーン。まず、ステージがオレンジに染まっての「秋いろツイード」では、楽曲でフィーチャーされた二胡ともつながる麗しさもみせながら、サビではより色濃くなるEDM要素に合わせた非常に細かい振付を、極めてメリハリのついた形で魅せていく。

歌声の面ではこの曲は2コーラス目以降の厚木が特に印象的。Bメロではイノセントの中にせつなさをほんのり込め、Dメロでは感情の波をぐっと大きくして聴かせたりと、この曲の主人公像にマッチする心の動きを表現する。そして季節は冬へと進み、「スノウ・グライダー」へ。白の光に染まった客席に、ダンスでは美しさを、歌声ではせつなさをぐっと強めていく。

特に序盤からミックスボイスで抜き目にしたボーカルで随所にせつなさを出してくる林が、歌声の面では印象的。加えてダンスの面ではリレーするようなDメロや直後の間奏・落ちサビでのフォーメーションチェンジを伴ったダンスは非常にスムーズで、まるで妖精かのようなふわりとした軽やかささえ感じさせる、それでいて美しいものだった。

曲明けには林が「スノウ・グライダー」冒頭のコーラスに白い息を感じる、と熱弁。「ライブが終わったらぜひ聴いてください」とまとめると、ライブはソロ曲コーナーへ。森嶋が一番手を務めることを明かすと、ランナーのペンライトは一気にオレンジへと変わってスタンバイ完了。森嶋ソロ曲「Darling Darling」のスタートだ。

この曲は歌声からダンスまで、とにかくキュートのリミッターを外してみせていく森嶋。頭サビ後には「もっちーのダーリン、どこかなぁ?」とのセリフを織り込みランナーからたくさんの挙手を呼び起こすと、2コーラス目以降はステージの両サイドへと移動しての歌唱で”ダーリンを探しに行く”形をとるなど、会場いっぱいのたくさんのダーリンと一緒に甘い時間を作り上げた。

続いてのソロ曲は、厚木の「逆さまのガウディ」。序盤からネコ手のような通称”ガウディポーズ”や2-Bメロの「あっ、ちゃんと」のフレーズ直後での指ハートなどでかわいさ成分も織り込みつつ、Dメロのラップ部分や哲学的な部分もある楽曲を、歌声・ダンスの両面ともに軽快に乗りこなしていく。そしてソロ曲ラストを飾るのは、林の「りんごの木」。照明とランナーのペンライトが生み出す赤の輝きの中で、力強い歌声を叩きつけていく。

1サビ明けの間奏、さらには2サビ直前では「自分だけのロックだ」の部分を「ここにいるみんなのためのロックだ」と歌詞を変えてそれぞれシャウトするなど、熱い想いを込めたステージングを披露。ランナーのボルテージも、さらに高まる。そうして最後まで歌いきり、「センキュー!」と気持ちよさそうにひと声挙げ、ソロコーナーを締めた。