リクルートは12月22日、「2022年転職市場の展望」を発表した。調査は11月~12月、同社運営の転職支援サービス『リクルートエージェント』の転職データ、および各業界に精通したコンサルタントやアドバイザーへのヒアリングを元に作成している。

  • 2022年転職市場の展望

    2022年転職市場の展望

全15業界について、それぞれ「2022年転職市場の展望」について聞いたところ、「IT通信」業界に関しては、求人数がコロナ禍前水準以上に回復し、過去最高のレベルで採用が活発に。コロナ禍で一時DX推進や採用をストップさせた企業も、withコロナでのDX推進への投資が再び加速。また、あらゆる業種の事業会社もIT人材の獲得を図っているため、採用競争は更に激化するという。一方、求職者側は複数の内定を獲得することが当たり前になっていることから、内定辞退も増えており、辞退を防ぐため、企業はより多面的な情報開示が必要とされる。

「コンサルティング」業界では、2022年も過去最高水準の求人数が継続。第二新卒、幅広い領域からの採用が増加。また、官公庁向け・スーパーシティ・SDGsなどのチームを強化する動きが見られる。

「インターネット」業界では、他業界も採用活発なため、求職者1人が複数の内定を獲得するなど、「内定辞退」に頭を悩ませている企業が多い。そんな中、選ばれる企業と辞退される企業との違いの一つに「選考スピード」があり、人事のみの面接を省くなど、採用リードタイムの短縮や工夫が改めて必要とされている。一方、求職者は、コロナ後の事業展望を冷静に判断。リモートワークや副業は当たり前の条件としている。

「自動車」業界では、カーボンニュートラルへの対応が急務とされているほか、電動化の人材ニーズが逼迫。第二新卒まで採用対象が拡大しているという。大変革期において、個人も「求められる技術」のキャッチアップが重要とされる。

「総合電機・半導体・電子部品」業界では、政府が国家戦略技術分野として 位置付け、補助金の支給に動いていること、海外企業 と合弁会社を設立して事業拡大を図っていることなどを背景に、求人が増加。未経験者・第二新卒にもチャンスが。求職者の動きも活発となっており、オンライン面接を活用し、複数企業の比較検討がしやすい状況となっている。

「環境・エネルギー/サステナビリティ」業界では、「カーボンニュートラル」の実現には、再生エネルギーだけでは不足と考えられており、次に注目を集めているのが「水素」。実証実験が完了し、「水素」の商業化フェーズに移りつつあり、求人が増加。求職者は、本当にやりたいことに取り組めるスタートアップ企業に注目している。

「化学」業界では、「環境」関連の求人が増加。事業変革に着手する企業では経営企画のニーズも。 求職者は、「成長分野への取り組み」や「働き方」を重視する傾向にある。

「医療・医薬・バイオ」業界における求人は引き続き活発。また、これまでになかった「マーケティング職」や「研究所専任の広報」など、新たな採用ポジションが各所で生まれてくる可能性があるという。一方、求職者は中長期視点でキャリアを見据える。経験を意外な分野で活かせる可能性がある。

「建設・不動産」業界においても求人数が増加。特に、「不動産管理」「設備管理」分野で採用が活発に。一方、「ゼネコン」では人材獲得がさらに困難になっており、働き方の改善が深刻な課題となっている。求職者は将来を見据えてキャリアを考え始めており、企業のビジョンや投資額に着目している。

「銀行・証券」業界は、ともに採用が活発。DX、SDGs・ESG関連、金融専門職のニーズが高まる。求職者はリモートワーク志向が高まっているほか、「コンサル」「スタートアップ」にも関心が集まっている。

「生保・損保」業界では、「生保」は、営業・ITエンジニアの採用が活発。CX企画、セキュリティを強化する動きも。一方「損保」では、DX・新規事業の人材ニーズが高い。採用活動の成否は明暗が分かれる。

「消費財・総合商社」業界は、消費財メーカーにおける「マーケティング」「ESG・サステナビリティ関連」の求人が増加。2022年もその採用は続くと推測される。また、過去最高益見込みの総合商社では、IT以外に従来型の非IT分野も強化へ。総合職求人が活発化の見込み。

「外食・店舗型サービス」業界は、新規出店・新規事業の推進に伴い、幅広い職種を採用。CxO・部長クラスの求人も増加傾向に。「地域限定社員」の設置など、求職者が望む働き方・暮らし方を尊重する動きも出ている。

「人材・教育」業界は、人材業界では営業・BPO関連採用が増加。教育業界では教室長・新規事業系求人が活発に。

「ベンチャー・グローバル領域」業界では、拡大期に入ったSaaS企業の採用が活発。SDGsに直結するハードテック・ディープテックも注目される。また、グローバル人材の採用については、食品・化粧品などの消費財業界で動くという。