クリスマスから年末にかけて、寒波が来るというニュースも話題になっています。暖房をしっかりつけて過ごしたいところですが、ガスや電気のなかった時代はどう過ごしていたのでしょうか。

Twitterで江戸時代の暮らしを描いたイラストを投稿している、笹井さゆりさん(@chiyochiyo_syr)のツイートが話題になりました。

江戸時代の冬、家での過ごしかた
ガスや電気がない時代の暖房事情(@chiyochiyo_syrより引用)

  • (@chiyochiyo_syrより引用)

「江戸時代の暖房事情」のイラストには、どてらに身を包んで暖かそうに過ごす女性2人と、こたつの上には丸くなって寝る猫が描かれています。笹井さんによると、都市部では炭火を入れたこたつや行火(あんか)、火鉢を、農村部では囲炉裏(いろり)を暖房器具として使っていたそう。こたつに入っているイラストの2人は、都市部に暮らしていたのかもしれませんね。

この投稿には、「寒そうでも楽しそうです!」「可愛いし、面白いです この炬燵なら、猫も上で丸くなりそうですね」といったリプライや、「こういう教科書の隅っこに載ってそうな情報(いい意味で)がめっちゃ好きで、授業中に先生の話そっちのけでよく見てた思い出」というコメントが寄せられています。

そして見ているだけで暖かい気分になれそうなイラストに、「今よりずっと不便であったはずなのに、はるかにずっと風情を感じて羨ましくなりました」と、当時に思いを馳せる方もいるようです。

今回のイラストを描いた、投稿者の笹井さんにお話を伺いました。

投稿者に聞いてみた

――今回のイラストを描かれた際、笹井さんが面白いと感じた点はありますか?

まず、定番の「こたつ」は江戸時代からあったんだ!という驚きがありました。こたつの上で猫が丸くなっている……というシチュエーションの浮世絵がたくさん残っているんです。

――現代でも見られるシチュエーションかもしれません。燃料は薪や炭など、木材を使っていたそうですが、場所によって暖房器具が異なるんですね。

当時は木材が主な燃料なのですが、農村部と都市部、それぞれの住宅事情によりその使われ方に違いがあることも面白く感じました。農村部は薪を一気に燃やして部屋全体を暖かくしますが、住宅が密集している都市部ではモクモクと煙を出すわけにはいかない。そこで、おだやかに燃える炭を使って寒さをしのぐんですよね。あくまでそういう傾向がある、という話なのですが、違いが改めてわかると面白かったです。

――多くの反響が寄せられております。

ここまでの反響は予想外でした。暖房が欠かせない季節になったからか、昔の暖房事情にも関心を持ってくださる方が多く、嬉しいです。「火鉢は使ったことがある」「昔、行火が家にあった」などの貴重な体験談もお寄せいただきました。私自身はこれらの道具に実際に触れたことがなく、構造を理解するのに苦労したので、そういった体験があるのはとても良いなと思いますし、羨ましいですね!


なお笹井さんがこのイラストを描くにあたっては、参考文献として『新版日本史モノ事典』(平凡社)、広島県福山市の福山市神辺歴史民俗資料館「昔の道具について『冷暖房関係』」、Japaaan「寒くなってきたら冬支度…江戸時代、暖を取るなら火鉢やこたつが必須アイテム」、SUUMOジャーナル「江戸っ子は、ある日までは寒くても「こたつ」を使わなかった!」といったWebサイトを参考にしたとのことです。

笹井さんのTwitterでは、毎週日曜の夜に「江戸時代シリーズ」として江戸時代の暮らしを描いたイラストを投稿されています。なかには数百年前のことなのに、意外と現代と変わらない景色もあったりと、新しい発見があるかもしれません。