【9:00】朝はレトロモダンな「古総湯」でひとっ風呂

  • 2Fには温泉街や「界 加賀」を一望できる休憩スペースが

2日目の朝、ぜひとも足を運びたいのが、山代温泉のシンボル的存在の「古総湯」。場所は「界 加賀」の向かいにあり、ゲストは何度でも無料で入れます。

「古総湯」とは、明治時代の「総湯」(北陸地方の温泉地で呼ばれている共同浴場のこと)を再現した温泉施設。当時、最先端だったステンドグラスや九谷焼を施していて、おしゃれでノスタルジックな雰囲気です。

  • 伝統の湯に浸かりながら、明治時代へタイムスリップ

内装や外観だけでなく、伝統の入浴方法を味わえるのも「古総湯」の魅力。

同じ山代温泉でも、「界 加賀」は体に負担がかからないように温度調整されていますが、「古総湯」は源泉かけ流し。源泉温度が高いため、熱いときは備え付けの「湯板」を使って、自分でじゃぶじゃぶ湯もみしながら温度を下げていきます。

「古総湯」の湯は、入った瞬間「熱い!」と感じるものの、少し時間が経つと、やさしく柔らかに感じる至福の湯。気持ちが良すぎて「くうっ……」と心の声がもれてしまいます。

【10:00】カラフル&美味しい!「やましろ五彩」を買いに「しもつね」へ

  • ランニングを終えたら「総湯」へ入りに行くのが定休日のお決まりという、元気いっぱいの下さん

「古総湯」を楽しんだ後は、山代温泉でお土産探し。実は山代温泉には、「古総湯」のステンドグラスをイメージした和菓子があるのをご存知でしょうか?

「古総湯」からは歩いて5分。1900年創業の老舗「しもつね」は、現在4代目の店主・下さんが営む和菓子店です。

  • ガラス細工のように美しい「やましろ五彩」(720円)

こちらが「しもつね」名物の「やましろ五彩」。華やかで可愛らしくて、涼しげですよね!

聞けば、「やましろ五彩」を考えたのは、5代目に当たる下さんの娘さん。金沢で和菓子を学んでいた娘さんが、九谷五彩を使った「古総湯」のステンドグラスをイメージして、金沢和菓子をアレンジしたのがこのお菓子なんです。

パクっと頬張ると、色ごとに味も違っていて、寒天のぷるぷるした食感が楽しい!お皿に装っても綺麗に映えるので、おうち時間が楽しくなります。

  • 創業当時から変わらない美味しさの豆大福

もちろん「やましろ五彩」もおすすめですが、豆大福もぜひ食べてみて!

「しもつね」は、もともと餅屋さんからスタートしたお店。創業当初は、山代温泉へ湯治に来る人が利用していた「馬車鉄道」の乗客に、豆大福やおはぎを販売していました。

和菓子専門店になった今でも、大福とおはぎは当時のまま。材料の配合や作り方を変えずに、創業当時の味を守り続けているのです。

特におすすめは、豆大福!一口食べると、豆のふくよかな香りが口いっぱいに広がり、皮の部分はもち米の風味を感じられます。素朴だけれども、こだわりのある味わいに、きっと感動するはず。

【番外編】「手業のひととき」で世界に一つのぐい呑を手に入れよう

  • 「工房 なかじま」で木を削る、木地師の中嶋さん

さて、最後に番外編として、プライスレスな経験ができるご当地体験をご紹介しましょう。

それが、加賀の手業にふれる「山中塗の木地師があつらえた無垢の酒器で日本酒を味わう体験」。

この体験は、伝統工芸「山中漆器」の木地を作る職人「木地師」の工房へ行き、熟練の手業を間近で見学するというもの。好きな酒器の形を選ぶと、その場で「木地師」の方が、ろくろを回しながら形を作ってくれます。

さまざまなカンナを使い分けながら、ろくろにかけて挽き、また挽いて……。縦に切った丸太の木材が、みるみるうちにぐい呑へと変わっていきます。

  • 柔らかな曲線と木目の美しさにうっとり!

しかも、体験中「どういう形にしたいですか?」と「木地師」の方が聞いてくれるので、「こんな厚みにして、こんな形にしてほしい」とリクエストできるんです。

実はぐい呑もワイングラスと同じで、器の形によって味が変わるのだとか。悩みに悩んだ末、今回は口の開いた厚みのある器と薄造りの器を作ってもらいました。

そして完成したのが、こちら!想像以上の仕上がりに、思わず「そうそう、これ!!」と言ってしまった筆者です。

  • 夕食時には乾杯用として日本酒も付いてきます

本来、この後で漆を塗りこんでいきますが、このプランは特別。あえて塗りを施さず、木そのものの無垢の酒器で、夕食時に晩酌を楽しめるんです。

唯一無二の手業で作られた無垢の酒器は、手にして使うことで、はじめて技の凄さが分かります。

手にしっくりと馴染む無垢の器は、日本酒の香りを引き出してくれるよう!お酒がワンランク美味しくなった気がしました。

この後、自分好みの漆の色を3色(茶色・朱色・黒色)の中から選んで、体験はいったん終了。自宅で完成品をワクワクしながら待ちます。

  • 赤と黒で仕上げたマイぐい呑

漆塗りの行程を経て、自宅に届いたぐい呑がこちら。形を邪魔しない、山中漆器らしいシンプルな赤と黒の色味がステキですよね。同じ柄、同じ形は無い、まさに世界に一つだけの器です。

今回の「手業のひととき」は、2021年秋(9月1日から11月30日の間の平日)に行われました。まだ詳細は決まっていませんが、来年も継続されるとのこと!日本酒好きの方は、こちらのプランと組み合わせるのもおすすめですよ。

<名湯とともに、唯一無二の体験ができる山代温泉へ>
「界 加賀」を中心に山代温泉を訪れれば、旅の楽しみがどんどん膨らみます。温泉好きご夫婦やカップルは、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。