転職や進学、結婚、子育てなど、新しい環境に身を投じたはいいものの、わからないことだらけ。周囲に聞けばいいとはわかっていても、雰囲気に押されてなかなか聞けないという経験、誰にもあるはず。そんな時にかけてもらえたら嬉しい言葉といったら……? ツイッターでは、竹林 崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学)(@takshi_77)さんが訪れたラーメン店の店主の対応が神対応と話題になっています。
さっき食べたラーメン屋の店主が、海外から来たバイトの子に「分からない事があれば聴いて、同じ事、何回聴いても良いから。そんな事ぐらいで絶対怒らない。困るのは、少しでも分からないままやって、失敗する事。失敗したら落ち込むからね。お互い」と話してて、言葉にする事って大事だなと思った。
— 竹林 崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学) (@takshi_77より引用)
仕事には形式上、『上司と部下』という形式はあるのだけれども、一緒に働く『仲間』に対する優しさは、常に持っておきたいですよね。『前も言ったよね? 何度も同じ事聞くな』という心ない一言は、聴きにくい雰囲気を作り、さらにミスが増えるという負の螺旋に相手を追い詰めてしまいますもんね。
— 竹林 崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学) (@takshi_77より引用)
作業療法学の専門家として、大学で教鞭をとっている投稿者さんは、月に2~3回東京に出張する際に利用するラーメン屋さんがあるそう。ある日、いつものようにそのお店を訪ねると、外国人のアルバイトと店長さんの会話が耳に入りました。
日本とは言葉も食文化も習慣も異なる外国人が、飲食店の厨房で働くには、大変な苦労があることでしょう。わからないこといっぱいで当たり前、そして一度聞いただけで即理解するなんて無理な話というものです。そこを見越して店主さんは何度でも聞いて、と語り掛けていました。
Twitterの反応は?
この店主さんの言葉にツイッターでは
「世の中、みーんなこういう指導をしてくれる人になればいいのに」
「日本の会社だと、失敗したら排除する傾向が強いから、このお店の店主は素敵に感じるわ!!」
「いい店主さん、素晴らしい上司」
「『お互い落ち込む』という店主のお人柄がキモ」
「これができる管理職って重要ですよね」
「そんな店長惚れるわ」
といった声であふれました。
投稿者さんのツイートで印象的なのは、「言葉にする事って大事だなと思った」という点。指導する側はいつでも質問ウエルカムでも、時として「忙しそう」「今、話しかけてはいけなさそう」と見えてしまうこともありますね。コメントでも
「実践するにあたっては、もしかすると『話しかけるなオーラを出さない』事が大事なのかなって思った」
「聞かれる立場の人柄って大切で、聞く方は、その人が話し難くかったり、無口な人だったりすると、何度も聞けないって雰囲気が醸し出されて、萎縮して聞けないんだよね!」
といった分析や改善点を挙げる人も。確かに雰囲気によっては、口まで出かけた言葉を飲み込んでしまうこともありそう。質問する側が声をかけやすいように、常に話しやすい雰囲気を作るとともに、「いつでも質問しても大丈夫」とメッセージを言葉で明確に伝えることも大事と言えますね。
冒頭でも紹介したように、投稿者さんは大阪府立大学の教授(リハビリテーション学研究科 作業療法学専攻)。作業療法士というと、身体の機能回復を図る仕事をイメージしてしまいますが、「作業(Occupation」は、英語では、仕事および職業ということを意味することからも、リハビリテーションの一環で、健常人、障害者にかかわらず、就労支援に関わることも多いそう。さまざまな人の就労支援を行っているため、今回もラーメン屋の店主の言葉にも耳を傾けていたそうです。
投稿者に聞いてみた
「何度でも聞いて」という言葉を聞いたアルバイトさんは、その後、どのような様子だったのでしょうか? 投稿者さんに尋ねてみました。
――店主の言葉を聞いたバイトの様子はいかがでしたか?
竹林さん:はい、わかりました。ありがとうございます。じゃ、これはこれであってますか??と笑顔で、純粋な眼差しで、すぐに質問し、店主も『早速やな』とケタケタ笑ってました。ここのお店は外国人の従業員を早くから雇っておられるのですが、従業員の方の表情もよく、すごく対応も良いので、気持ちの良い店です。
店主さんの言葉かけに称賛が集まり、「そういう経営者や管理職を増やしていきたいです!」といった前向きな意見も見られましたが、中には
「初対面の時とかこう言ってても、いざ実務に入って、何度か同じことを聞いていると怒り出す中間管理職が多いです」
「同じ事、何回聞いてもいい。これを許さない無駄なかっこつけ組織・かっこつけ人間が多すぎる」
「普通は何回同じ事聞いてくんねん!ふくれ顔だからなぁ…w」
「私、それで2回目でキレられたことがあります。『前にも言ったけど?』と。何回でも聞いて、そんな事で私は怒りませんよ、と言ったのに。」
など、言葉と行動が伴わないリーダーに遭遇したという人もいました。でも投稿者さんが懇意にしているラーメン屋さんは、雰囲気も和やかで、スタッフの表情も生き生きとしているそう。店主さんが「何度でも聞いて、絶対に怒らないから」を、有言実行されている証と言えますね。
質問したくても、できない気持ちを生み出してしまう「前にも言ったよ」という言葉や、話しかけにくいオーラ。職場で指導する時や、家庭でパートナーや子どもについつい言ってしまいがちなセリフです。でもその言葉かけで状況が改善することはなく、重い雰囲気に包まれたり、作業が滞ってしまうケースが多いのではないでしょうか。
ラーメン屋さんの店主のように、質問が来たら「早速やな!」と明るく返して、質問に答える。それを習慣にするだけで、自分の周りに笑顔が広がっていきそうですね。
さっき食べたラーメン屋の店主が、海外から来たバイトの子に「分からない事があれば聴いて、同じ事、何回聴いても良いから。そんな事ぐらいで絶対怒らない。困るのは、少しでも分からないままやって、失敗する事。失敗したら落ち込むからね。お互い」と話してて、言葉にする事って大事だなと思った。
— 竹林 崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学) (@takshi_77) December 14, 2021
仕事には形式上、『上司と部下』という形式はあるのだけれども、一緒に働く『仲間』に対する優しさは、常に持っておきたいですよね。『前も言ったよね?何度も同じ事聞くな』という心ない一言は、聴きにくい雰囲気を作り、さらにミスが増えるという負の螺旋に相手を追い詰めてしまいますもんね。
— 竹林 崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学) (@takshi_77) December 15, 2021