ニュースなどを見ていると、是正という言葉を聞くことがあるでしょう。「是正措置」「是正勧告」など是正を使った言葉は多くあります。本記事では、是正の意味や例文を交えた正しい使い方、是正を用いた用語を解説。さらに、類語とそのニュアンスの違いや英語表現なども紹介します。

  • 是正とは

    是正について意味や使い方、類語などくわしく解説していきます

是正とは

まずは是正の意味や成り立ちなどを解説します。

是正の意味

是正とは、「悪い点や不都合な点、まちがったことなどを改めて正すこと」といった意味を持っています。読み方は「ぜせい」です。

是正は、基本的に個人の悪癖や生活習慣などを正すときには使いません。社会のルールや規則など、多くの人に関わるものを正すときに使う言葉です。「是正する」「是正工事」「是正勧告」のように、さまざまな使い方ができます。

また、「是」は「正しい、道理にかなった」という意味の言葉です。「正」は「正しい、まさしく、ちょうど」を意味し、どちらも同じような意味を持つ言葉になっています。

  • 是正とは

    是正は「悪い点や不都合な点を正す」といった意味があります

是正の使い方と例文

是正の正しい使い方を知らないと、いざ使うときに間違えてしまうこともあるでしょう。ここでは、例文を交えながら是正の使い方を紹介します。

悪い状況を正すとき

政治、ビジネス、建築物や設備などには、悪い状況や不具合が発生することがあるものです。それを改善する措置を「是正」と呼びます。

例えば、会社が法律や規則に違反しているとき、社会に対して悪影響を及ぼしているときなどに、これらを改善するという意味で是正を使うことができます。また、政治では施策や政治家が国民に対して好ましくない行いをしているときなどが当てはまるでしょう。

是正はあくまで「悪い状況を改善する」ときに使う言葉なので、「いまも良いけれど、もっと良くするために変える」という場合には使いません。

・例文
「労働環境の悪さを是正してほしいと社員が訴えている」
「先日舗装した通路のタイルが外れていたので是正した」

不平等を正すとき

 社会や組織に格差など不平等が生じたときに、それを正して平等にするための措置を是正という場合もあります。

会社内で労働環境や収入のバランスが取れておらず不平等な状態であるときや、地域や性別での所得格差などが当てはまります。

・例文
「派遣社員と正社員の間にある収入の不平等を是正すべきだと、Aさんは主張している」

「この政治家は、男女間の所得格差を是正することを公約に掲げている」

  • 是正の使い方と例文

    悪い状況や不平等を正すときに使います

是正を使った用語の解説

是正という言葉を使った関連用語は多数あります。ここではその中でも目にする機会が多い言葉を解説します。

是正勧告

労働基準監督署による調査で労働条件や労働環境に法律違反が見つかった企業に対して、是正を求めることを「是正勧告」といいます。是正勧告を受けた場合、速やかに違反の状態を解消して、報告しなければなりません。

是正処置

不具合が生じたときなどに、再び同様の事態が起きないよう再発防止として行う処置のことを「是正処置」といいます。ビジネスでは提供する商品やサービスに不具合があったとき、原因の解明と見直しが必要です。このような場合に是正処置という言葉を用います。

是正措置

是正措置は「間違いを正す処置」を意味する言葉です。経営悪化を未然に防ぐために、金融庁が金融機関に対して業務改善などの是正を指導することを「早期是正措置」といいます。

是正報告書

是正勧告を受けた企業などは、どのような是正処置を行ったのかを報告する必要があります。その際に提出するのが「是正報告書」。指定の書式はなく、社労士などに相談して作成するケースも多いようです。

格差是正

「格差をなくすために差異を正すこと」を「格差是正」といいます。労働者の所得格差、選挙における一票の格差、のようにさまざまなシチュエーションで使う言葉です。

  • 是正を使った用語の解説

    是正を使用した関連用語も覚えてみてください

是正の類語とその違い

是正には類語にあたる言葉がいくつかあります。しかし、それぞれ意味合いが少し異なるため注意が必要です。ここでは是正と類語のニュアンスの違いを解説するので、使用する際に参考にしてください。

改善との違い

改善は「悪い部分を改めて良くする」といった意味があります。「悪い部分を改める」のは是正と同じです。しかし、改善には「いまでも悪くはないが、より良くするために改める」という意味合いも含まれます。

一方、是正はあくまで悪い部分があってそれを正す場合にのみ使えます。間違って使わないように注意しましょう。

訂正との違い

訂正は、「誤りを正しく直す」という意味があります。主に、発言や文章に対して使う言葉です。自分の発言に誤りがあったとき、作成した書類に間違いがあったときなどに使用するケースが多いでしょう。

対して是正は、「悪い状況を正す」という意味になります。どちらも同じような意味ですが、文字や発言を対象とするか、状況を対象とするかによって使い分けが必要です。

修正との違い

「不十分、不適当な部分を改め直す」との意味がある修正も是正の類語になります。しかし、修正の「不十分」「不適当」が悪い部分とはいいきれません。改善と同じように「悪くはないけど、ここを直したらより良くなる」といった意味でも使うことができます。

  • 是正の類語とニュアンスの違い

    類語とのニュアンスの違いを把握して使いましょう

是正の対義語

ここでは是正とは反対の意味合いを持つ言葉を紹介します。

改悪

改悪には「物事を改め、かえって悪くする」という意味があります。変更したことで利便性が下がったり、不必要なアップデートがあったりしたときなどに使う言葉です。

例えば、「社内ルールが変更されたが、社員の間では改悪だといわれている」のように使います。

放置

放置は「そのままにして、放っておく」「所かまわず置きっぱなしにする」といった意味の言葉です。「ただちに取り組むべき問題を放置している」のように使います。

是正の英語表現

是正を英語で表現するならば「correction」が適当です。是正処置は「corrective action 」と表現します。correctionは、是正のほかにも修正や訂正などの英語表現としても使うことができます。

  • 是正の英語表現

    correctionには、是正・修正・訂正などの意味があります

是正の意味を正しく理解して活用しよう

是正とは、「悪い点を改め正す」という意味を持つ言葉です。ニュースを見ているときやビジネスシーンなど、日常で聞く機会が多くあるため、正しい意味を理解しておきましょう。

是正勧告や是正工事など、是正が使用されている用語も多くあるので、あわせて覚えておくと役に立つかもしれません。また、似た意味を持つ類語も覚えてみてもいいでしょう。細かいニュアンスが是正と異なるケースも多いので、注意しながら活用してください。