JR東海は8日、新幹線のレール削正車について、削正能力に優れ、環境に優しい新型車両に取り替えると発表した。現在保有しているレール削正車2編成を両方とも交換し、1編成目は2023年1月、2編成目は2023年5月の使用開始を予定している。

  • 新型レール削正車のイメージ。スペノ・インターナショナル製(提供 : JR東海)

レールは新幹線が走行する際に車輪を直接支持し、安全に走行する上で重要な役割を担うことから、JR東海ではレールが折損することのないよう、きめ細かな保守・管理を行っている。具体的には、レール削正車を用いてレール表面を削ることにより、レール表面の傷の発生を予防しているとのこと。

レール削正車は、車体下部に高速回転する複数の砥石を搭載した大型の保守用車で、低速走行(5km/h程度)しながらレール表面を削る。東海道新幹線では、列車が走らない夜間の時間帯、レール削正車によりレールを削る作業を行っている。

  • 現行のレール削正車もスペノ・インターナショナル製(提供 : JR東海)

  • レール削正の様子(提供 : JR東海)

現行のレール削正車は、車両が砥石の圧力と角度を工程終了ごとに調整する必要があるため、1区間の作業につき4工程(2往復)が必要だった。一方、新型レール削正車では、レールの断面を測定し、その形状に応じて砥石の圧力と角度を自動的に調整する「削正支援システム」を国内初搭載。砥石の個別調整機能を追加したことで、各工程の途中で砥石をきめ細かく自動調整でき、1区間の作業が3工程(1.5往復)に短縮される。

これにより、1日に削正できるレールの距離が伸び、これまで以上に傷の発生を予防できるため、傷に起因するレール交換が減少する。その結果、交換されるレールが年間約15トン削減され、10年間で約2億円のコスト削減につながるという。

また、擦り減って交換限度に達した砥石で削正するとレールを傷つけてしまうが、現行車両はレール内方用砥石を個別に停止できないため、作業前に新品に交換する必要があった。新型車両では、作業中に交換限度に達した砥石を検知し、個別に停止できる機能を搭載しているため、作業後に必要な砥石のみ交換できるようになる。結果として砥石の廃棄量が年間約5トン削減され、10年間で約7億円のコスト削減につながるとのこと。

あわせて復旧性も向上。レール削正車に故障が発生した場合、運転台に詳細な故障内容が表示されるようになる。故障内容を把握して迅速に処置を講じることで、速やかな復旧が可能に。始発列車の運行に影響が生じるリスクを低減できると説明している。