小さい頃からジャニーズに憧れ、テレビも好きでドラマ制作を志望し、日本大学芸術学部放送学科に入学した倉田アナ。就活は氷河期と言われる時期だったため、「場馴れをしようと思って、早かったアナウンサーの採用試験を各局受けてみたんです」。アナウンススクールにも通っていなかったが、採用面接では「『報道をやりたい』と言っていました。アナウンサーがなんぞやということもよく分かっていないので、報道以外よく分からなかったんですよ」と乗り切った。
その結果、見事フジテレビに内定。「これはどうしようかと思ったのですが、ありがたいご縁だから」と入社したが、そこからが大変だった。
「最初の頃は与えられた仕事をやっていくのですが、3年、4年経ってきてから『自分はどんな番組をやりたいのだろう、どんなしゃべりをしたいのだろうというのをひも解くのがとても大変で。根っこで『これが好きだ』というものがなかったので、歳を重ねれば重ねるほど、熟知しなければならない事柄がないことに気づいて、何かのジャンルに、なかなか一歩踏み込めないという壁が立ちはだかるんです」
一方で、「何か理不尽なことがあったとしても突き進めたということは良かったと思います。理想があったら『俺はこんなアナウンサーを目指していたのに…』となってしまっていたと思うので」と、プラスに捉えている部分もある。
それだけに、今回スポーツ実況でこれだけ注目を浴びても、その道を究めようという気持ちは「全くないんですよね…これが(笑)」と本音。「スポーツの現場、ニュースの現場に行くと、それぞれ専門知識のある人がいる。上の世代のアナウンサーを見ると、属性の五角形を描いたときに、1つのジャンルが尖っている人が多いので、自分も“これが武器です”と言えるようなアナウンサーにならなければ、と思ったりもします」と打ち明ける。
そうしたフラットなスタンスが、スポーツ、情報番組、報道番組、バラエティと、幅広いジャンルで活躍できるオールラウンダーへ導いたとも思えるが、本人は「もうすぐ40歳を迎えるので、何か一歩踏み込めるものを見つけたいという思いがあります」と、決して現状に満足していないようだ。
■結婚願望も…「究極に不器用な男なんです」
プライベートでは結婚願望もあるが、「好きな人ができたら待つタイプではなく、ガンガン行くほうなんですよ(笑)。そこに対しては臆病ではないのですが、大体跳ね返されてしまうという、究極に不器用な男なんです。これは時間がかかりますね(笑)」と難航を予感。
その上で、「児童虐待や給付金のニュースなど、自分の生活で実体験しているわけではないので、どうしても何か意見を言うときに躊躇(ちゅうちょ)してしまう部分があります」と苦悩を抱えながらも、毎日の生放送に臨んでいる。
●倉田大誠
1982生まれ、長野県出身。日本大学芸術学部卒業後、04年にフジテレビジョン入社。『めざましテレビ』『直撃LIVE グッディ!』『プライムニュース イブニング』といった情報・報道番組や、プロ野球・ゴルフ・バレーボール・スピードスケートなどのスポーツ中継、『笑っていいとも!』『めちゃ×2イケてるッ!』『新しいカギ』『関ジャニ∞クロニクル』などバラエティ番組にも出演。現在は『めざまし8』で情報キャスターとして「#News Tag」のコーナーを担当している。