ロジックツリーという言葉を、ご存じでしょうか。会社の会議や研修、ビジネス書などでみたことがある人もいるかもしれません。
しかし、ロジックツリーとは一体何か、どのようにロジックツリーを使えばいいのかわからないという人もいるでしょう。
この記事では、ロジックツリーについて紹介します。実際の具体例やテンプレートについても紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ロジックツリーとは?
ロジックツリーとは、ツリー上に要素を分類していき、問題解決や目標設定を行うためのフレームワークです。ロジカルシンキング(論理的思考)の手法としてもよく知られています。
ロジックツリーを活用するメリット
ロジックツリーは、問題の全体像をツリー状にして可視化することができるので、個人の思考や考えを他者と共有しやすいというメリットがあります。そのため、「何が問題なのか」「どの問題点を議論しているのか」について、メンバー間での認識のズレが発生するリスクを下げることができるでしょう。
また、ロジックツリーでは、要素をどんどん細かく分類していくので、問題を深堀りして、根本的な原因を見つけ出すことも可能です。複数の原因の中から、ある1つの原因を解決しようと思った時には、それに対して新たにロジックツリーを展開することで効果的に課題解決につなげられます。
さらに、ロジックツリーで全体像を見ることができるので、どの問題から取り組むかの優先順位もつけやすくなるでしょう。
原因の分析や、課題解決において、ロジックツリーを使うことにはさまざまなメリットがあります。
ロジックツリーとマインドマップの違い
ロジックツリーと似たものに、マインドマップというものがあります。ロジックツリーとマインドマップは、目的、作成時の注意点が異なります。
・目的の違い
ロジックツリーでは、原因の追求や解決策を探すことを目的としていますが、マインドマップは思考の可視化や新しいイメージ構築を目的としています。
・作成時の注意点の違い
ロジックツリーでは、MECE(ミーシー)であることや同一階層の要素は切り口を揃える必要があります。しかし、マインドマップでは、MECEである必要はなく、階層を意識せず自由に連想できる要素をつなげていくという違いがあります。
MECEについては、後ほどロジックツリーの作り方のところでくわしく解説します。
ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違い
ピラミッドストラクチャーもロジックツリーと同じように、階層ごとに分類していく方法を使うため似ています。
しかし、ピラミッドストラクチャーは話や文章の内容をプラミッド構造を使って整理して、相手に正確に伝え、説得力のある主張ができるようになることを目指しています。
目的や扱う要素が、ロジックツリーとピラミッドストラクチャーでは異なります。
ロジックツリーの種類と例
ロジックツリーは、目的によって4つの種類があります。
「原因研究」Whyツリー
原因研究ツリーでは、考えられる原因に対してさらに「それはなぜ(why)」という疑問を投げかけ、原因を細かく追求し、根本的な原因を突き止めることを目指します。
例えば、「営業成績が悪い」という問題の原因として「営業件数自体が少ない」という事象がある場合、どうして営業件数が少ないのかを考え、「時間を確保できない」などのより深い原因を追求していきます。
「問題解決」How ツリー
問題解決ツリーは、解決したい問題に対して、考えられる解決策を挙げて行く方法です。
原因究明ツリーは「原因」を突き止めるのに対し、問題解決ツリーは、課題解決のために取るべき「今後の行動」に直結しているものです。
例えば、「営業成績を上げたい」という課題に対し、「営業件数を増やす」という方法を取る場合、さらに営業件数を増やすための方法をどんどん考えていきます。
「要素分解」What ツリー
要素分解ツリーは、要素をどんどん細かく分解して、特定の要素の全体像を捉えるためのものです。
例えば、犬を飼おうと思った時に、「小型犬」「中型犬」「大型犬」に分けて、さらに小型犬は「チワワ」「ポメラニアン」と分けていけば、選択肢を網羅的に把握することができます。
KPIツリー
KPIツリーは、問題解決ツリーの一種ともいえるツリーで、KPI(重要業績評価指標)を達成するための細かい日々のアクション設定を目的としています。
契約数、来客数といった数値の要素を分析するのが特徴です。
ロジックツリーの作り方や注意点
ロジックツリーは、ツリー状に細かく分類するという単純な作業の繰り返しで考えを深めていく方法ですが、その際にコツや注意点があります。
MECEを意識して作成
MECEとは、「漏れなくダブりなく」という状態を意味します。
従業員を分類する時に、「入社1年目、2~5年目、6~10年目、11年目以上」とすれば抜けや漏れがなくMECEといえます。
「学生、主婦、アルバイト、正社員」だと、契約社員や派遣社員が抜けていたり、学生でアルバイトというダブりが出たりする可能性があります。
ただし、MECEを意識しすぎると、項目が増えすぎてロジックツリーが煩雑になってしまい、本来の目的である課題達成や問題解決が難しくなってしまうことも。MECEを意識しつつ、目的を忘れないようにしましょう。
問題を明確にする
ロジックツリーを記入していく時は、作成前に課題や問題を明確にしておく必要があります。
例えば、「契約数をアップさせる」という問題があったとして、営業にかける人員や時間を増やすのか、それとも今ある人や時間の資源内で成果を出すのかによってつくられるツリーは異なるでしょう。
そのため、事前に問題の定義をはっきりさせておくことが重要です。
要素の縦順を整理する
要素が複数に分解された時、その並び順も整理しておくと、より要素が整理されます。並び順を整理する時には、以下の3つの方法があります。
- イン・アウト:内部要因・外部要因
- ハード・ソフト:形のある要素・形のない要素
- フロー・ストック:単発の要素・継続する要素
ロジックツリーのテンプレートやツール
ロジックツリーを作成するには、テンプレートやツールを活用すると便利です。
Excelのテンプレート
ExcelのSmartArt機能には、ロジックツリーのテンプレートがあります。SmartArtには、階層構造を作れる機能があり、横方向階層を選べば簡単にロジックツリーを作成することができます。
Excelがあれば、ダウンロードなどの手間もなく手軽にロジックツリーを作成できるでしょう。
ロジックツリーを作成可能なアプリ
XMindというツールを使うと、簡単にロジックツリーを作成できます。本来は、マインドマップの作成ツールですが、形状が似ているため、ロジックツリーの作成にも利用可能です。
XMindは有料のツールですが、マインドマップの作成のみであれば無料アカウントの作成をするだけで利用できます。
パワーポイントのテンプレート
ロジックツリーはパワーポイントでのテンプレートも豊富で「ロジックツリー パワーポイント テンプレート」で検索すると、たくさんのテンプレートが配布されています。
パワーポイントでのテンプレートの作成方法を解説しているサイトもあり、パワーポイントでも簡単にロジックツリーを作ることができます。
問題解決にロジックツリーを使おう
ロジックツリーとは、要素を細かく分類していくことで原因究明や課題解決など、さまざまな場面で効果を発揮する方法です。
ロジックツリーを使うことで、論理的思考をスムーズに行うことができたり、図で可視化できたりするため、周りと考えを共有しやすくなります。
ロジックツリーはビジネスシーンで使われることも多く、仕事での問題解決にも役立つ方法です。ロジックツリーを使いこなして、できる社会人を目指しましょう。