ビジネス文書には連絡文書・社外文書・社交文書があります。このうち社内の人宛ての連絡に使われるのが連絡文書です。連絡文書は、連絡内容や状況などによって、記載すべき項目が異なります。
そこでこの記事では、連絡文書に必要な項目や他のビジネス文書との違いを解説。また、連絡文書の基本ルールや作成例などもまとめました。
ビジネスマンにとって押さえておきたい基本項目ですので、ぜひご一読ください。
連絡文書とはビジネス文書のひとつ
「連絡」とは、気持ちや考えなどを知らせることや、情報を互いに知らせること、またはその通知のことを指す言葉です。
「連絡文書」は、いわゆる「社内文書」と同じような意味で使われます。
連絡文書にはどんな文書がある?
連絡文書には、下記のようなタイプの文書があります。
- 意思疎通や指示をする・指示を仰ぐための文書
- 情報伝達するための文書
- 記録内容を伝えるための文書
会社や部署ごとにフォーマットが定められていることもあるので、作成が必要になったときは、先に確認しておきしょう。
意思疎通・情報伝達のための文書の具体例
意思疎通や情報伝達・指示などを目的とした連絡文書は、以下のように分類できます。
- 上から下へ命令や指示をするための文書
- 下から上へ提案や報告・届け出を行うための文書
- 全員への連絡事項など水平的な連絡を目的とした文書
会社勤めをしていれば日常的に目にする機会がある多くの文書が、意思疎通・情報伝達のための文書に分類されます。
記録のための文書の具体例
記録内容を伝えるための文書には、下記のようなものがあります。
- 会議の議事録
- 統計データ
- 集計記録
など
このように、記録やデータなどをそのまま知らせるための文書が、記録内容を伝えるための文書に該当します。
連絡文書が必要となるシーン
仕事をしている中で、連絡文書はどのようなシーンで必要となるのでしょうか。
提案や稟議 | ・企画書の提出 ・計画書や提案書の提出 ・稟議書の提出 |
報告や届出 | ・日常業務報告書の提出 ・休職届・退職届・住所変更届など届出書の提出 ・経費や休暇などの申請書提出 ・顛末書・始末書の提出 |
案内や通知 | ・会議の議事録の提出 ・業務マニュアルの作成や通知 ・施設利用記録書の作成 |
社内連絡のために、上記のようにさまざまな連絡文書が必要です。
連絡文書と他ビジネス文書との違い
ビジネス文書には、連絡文書以外にも下記のような文書があります。
- 社外文書
- 社交文書
くわしく見ていきましょう。
連絡文書と社外文書の違い
社外文書とは、取引先や顧客など、社外の人に対して発信する業務文書のことです。社外文書には下記のような文書があります。
- 案内状
- 依頼書
- 照会状
など
社外文書は社外の人に向けた文書ですので、連絡文書よりも礼儀正しい文書であることが求められます。
連絡文書と社交文書の違い
社交文書も社外の人に向けての文書で、下記のような文書があります。
- 挨拶状
- 招待状
- お礼状
- 見舞状
- 祝電
など
社交文書は社外の人に向けて発信する、儀礼的な文書です。社外文書より、さらに格式を守って作成することが求められます。
連絡文書の項目には何が必要?
連絡文書はビジネス文書ですので、必要となる基本項目がいくつかあります。連絡文書を構成する必要項目について見ていきましょう。
連絡文書に必要な基本項目
連絡文書には、下記のような項目が必要です。
タイトル | 何についての連絡文書なのかわかるようにする |
発信者 | 誰が発信元となっているのかを明らかにする |
対象者 | 誰に対して発信している文書なのかを明示する |
日付 | いつ作成されて、提出・発信された文書なのかを明らかにする |
内容 | 連絡文書の目的や依頼内容をはっきりさせる |
連絡文書の内容に関わらず、上記の項目は必ず組み入れましょう。
承認・決済・集計が求められる文書に必要な項目
社内文書の中には、上司や担当者の承認・決済、対象者からの回答などを集計する必要がある文書もあります。上司や会社などに宛てて提出する文書ですので、文言は依頼する形にするのがポイントです。
また、スムーズに事務処理するためにも、いつまでに承認や決済が必要なのかを明記しましょう。ミーティングへの出欠など、参加者の回答を集計する必要がある場合も、返答期限を設定することが必要です。
議事録に必要な項目
会議では、さまざまな決定事項が発生します。会議の議事録には、会議での決定事項について、誰が何を、いつまでに行い、どう確認するのかなどの記載が必要です。
会議の内容を見直す時や次回の議題についても、議事録を見直せば思い出せるよう、記載しておきましょう。
提案書・稟議書に必要な項目
提案書や稟議書は、検討や承認をしてほしい際に提出する連絡文書です。提案や稟議を上げる理由を必ず記載しましょう。
提案書や稟議書に記載する理由には、内容の簡潔さだけでなく、理由や根拠、目的を読んだ人が理解できるよう、わかりやすく記載することも必要です。
連絡文書の書き方のルール
連絡文書は会社ごとにフォーマットが用意されていることが多く、フォーマットを使って作成すれば基本的には問題ありません。しかし、連絡文書作成時の基本ルールは社会人として覚えておきたいポイントです。
ここでは、連絡文書を作成する際の、基本的なルールを見ていきましょう。
時候の挨拶は必要ない
時候の挨拶とは、手紙やビジネス文書の中で頭語の後にくる挨拶です。例えば11月ごろなら「残菊の候、貴社におかれましてはますますご繁栄のことと存じます。」など、季節によって表現が異なります。
社外の人に向けての文書には時候の挨拶は必要ですが、連絡文書は社内宛てですので、時候の挨拶は必要ありません。
差出人・宛名を明記する
連絡文書は手紙と同様、差出人や宛先がわからないと意図が伝わりにくいです。同じ内容でも、書き手によって意味が変わることもあります。
名前は意外と記載を忘れやすいため、文書の冒頭に作成者や受信者の所属部署・役職・氏名などを記載してください。
丁寧語を使う
連絡文書は社外文書ではないため、尊敬語や謙譲語などを使うと丁寧すぎますし、簡潔さを失ってしまいます。しかし、ビジネス文書ではありますので、「です」「ます」などを使った丁寧な表現を心がけましょう。
重要度・形式を区分
連絡文書を発信する際には、下記のような点も意識しましょう。
- 文書の保存期間
- 回答の必要性
- 機密性の高さ(社外秘など)
- 作成形式(デジタル、紙など)
- 文書の保存方法(オンライン、印刷など)
など
このように、連絡文書の重要性や形式などの扱いについても、確認して発信しましょう。
連絡文書の例文
ここでは、連絡文書の作成例を紹介します。
第211187号(文書番号)
令和3年11月30日(日付)
社員各位(宛先)
人事部長 田中 一郎 印(発信者)
人事異動通知書(タイトル)
このたび、以下の従業員の人事異動が発令されましたのでお知らせします。
記
【12月15日付・人事発令】
1.
2.
3.
以上
担当者 人事部 ○○
内線:9876
内容によって期限の設定が必要など、記載すべき項目が異なる点に注意してください。
連絡文書の書き方を理解して社内の連絡を円滑に行いましょう
連絡文書とは、社内の人宛てに連絡事項がある時に作成するビジネス文書です。大きく分けると意思疎通・情報伝達のための文書と、記録のための文書に分類できます。
連絡文書は社内イベントの案内や報告・届け出、会議議事録などさまざまなシーンで必要ですので、書き方を覚えておきましょう。
連絡文書は社外文書のような時候の挨拶は必要ありません。とはいえ、丁寧語で記述するなど、いくつか気を付けるべき点があります。
この記事で紹介した作成例を参考にしながら、社内文書をスムーズに作成できるよう、テンプレート化しておきましょう。