幕張メッセで11月24~26日の3日間にわたり開催された「第7回 鉄道技術展 2021」にて、日本信号は鉄道沿線設備の地上検査(現在はおもに作業員が現地で実施)を車上化する「Traio 車上ユニット」などを展示した。

  • 日本信号のブースにて、JR西日本の総合検測車DEC741形に搭載された車上機器(屋根上カメラ、近赤外線照明)も展示されている

「Traio(トレイオ)」は「Train」と「IoT」を組み合わせた造語。鉄道の設備情報・沿線情報・サービス情報を地上のIoTネットワークと車上の映像システムによって収集し、クラウドで蓄積・分析するシステムとなる。「Traio」システムの一部はJR西日本との共同開発品となっており、JR西日本が新製した総合検測車DEC741形に「Traio 車上ユニット」が搭載されている。

「Traio 車上ユニット」では、車上撮影システムの取得データを地上設備で抽出・判定することで、地上検査の車上化を実現。近赤外線照明により夜間の走行撮影もできる。懸垂がいし、コンクリート柱、曲線引装置、可動ブラケット、高圧ケーブル、やぐらといった鉄道沿線設備の状況を撮影し、総合検測車の大規模記憶媒体に格納する。

撮影した画像をもとにAIがベストショットを抽出し、クラウドや設備管理サーバで良否の自動判定を行う。センサではとらえることが困難だった設備の異常に関する判断をAIが支援することで、保守作業の省力化を実現できる。このAIモデルはディープラーニングで自ら学習することも可能だという。「Traio 車上ユニット」に関して、将来的に機動性の高い軌陸車を用いた検測車の開発も検討しているとのことだった。

  • 「Traio」システムや「Traio 車上ユニット」について紹介

  • 「NSWp形耐水形転てつ機」

「Traio」システムは「Traio 車上ユニット」のほか、情報セキュリティを考慮した設計・検証を実施する「Traio 地上ユニット」、データ収集・蓄積・分析を行うプライベートクラウド「Traio クラウド」などがあり、クラウドシステムとIoTネットワーク(地上データ収集)、AIを使った映像収集解析(車上データ収集)により、鉄道・駅・沿線をトータルで見守るシステムになるとのこと。

関連して「NSWp形耐水型転てつ機」「新型しゃ断機」も展示された。「NSWp形耐水型転てつ機」は、耐水性を強化し、本体上部までの耐水性を確保する一方で、センサユニットとも一体化。電流・電圧など測定し、「Traio クラウド」で集約・分析する。機器状態を指令などに伝達でき、定期点検の自動化を実現する。「新型しゃ断機」は制御部を統合・小型化し、センサユニットとも一体化。アンテナが装備され、LoRa無線通信によって定期検査の省力化・自動化を可能にしている。

  • 「新型しゃ断機」

  • 踏切障害物はカメラでも検知する

  • 顔認証改札機

  • 日本信号のブース

日本信号のブースでは、他にも顔認証改札機をはじめ、最新のデジタル技術(自動化、ロボット化、保守レス、画像認識など)を活用した鉄道システムが展示された。ブース内でプレゼンテーションも行い、利用者が安全・安心に鉄道を利用でき、かつ省力化・省人化も実現する効率的な鉄道事業経営を実現するソリューションを紹介していた。