フジテレビ深夜のバラエティ企画開発枠『水曜NEXT!』(毎週水曜24:25~ ※関東ローカル)から、とんでもない番組が生まれた。

24日深夜に放送された『ここにタイトルを入力』は、番組ホームページで「バイきんぐ小峠英二と若手人気芸人が深夜に超“グダグダ”な気分でゆるーく語り合うトークバラエティ」と、ありがちな内容が予告されていたが、フタを開けると収録後に小峠が「ここ最近の収録で群を抜いてしんどかったです。この世の終わりのような収録でした」と漏らすほど、ぶっ飛んだ企画だった――。

  • 『ここにタイトルを入力』の収録に臨むバイきんぐ・小峠英二 (C)フジテレビ

    『ここにタイトルを入力』の収録に臨むバイきんぐ・小峠英二 (C)フジテレビ

MCに小峠、ひな壇に三四郎、長谷川忍(シソンヌ)、福田麻貴(3時のヒロイン)、ゆりやんレトリィバァという変哲のない構図だが、実はMCとひな壇メンバーは別収録となっている。

冒頭のナレーションでは、「MC小峠の多忙により、ひな壇の芸人たちと撮影スケジュールが合わなかったため、MC不在の状態で収録を実施。台本と想像を頼りに小峠がいるつもりで、ひな壇の部分のみを先撮り。その映像をひな壇実寸大のモニターに流し、後日、小峠のMC部分を入れることでトークバラエティが成立。何ら違和感なく番組を放送することが可能となる」と、完全な机上の空論を展開。

MC部分の収録を前に、スタッフから「(ひな壇収録は)台本通りの流れに基本なってるので、台本見ながらやっていただければ、絶対(成立する)」と念を押されるも、小峠は「これ成立するんですかね? 無理だと思うけどなあ…」と不安を隠せない。

  • モニターのひな壇芸人たち(右)にツッコミを入れる小峠 (C)フジテレビ

そんな中で収録がスタートし、「バイきんぐ小峠の今夜もグダグダ気分~!」とタイトルコールを発すると、見事なタイミングでひな壇芸人たちが盛り上げのガヤ。一見「成立する?」と思わせた矢先、小峠が「メンバーはこちらの方々でーす」と紹介すると、やはり不自然な間が空いて「お願いしまーす」となってしまい、タイトルの“グダグダ”に込められた本当の意味を予感させた。

番組が進行すると、フリに対するリアクションに「早えんだよ!」「遅えな!」とツッコミがさく裂する場面が常態化。それだけに、偶然やり取りのタイミングが合うと、小峠は「おい! ウソだろ!! お前に会いたいよ今!」「たまに来るね~!」と大興奮で、時折このような奇跡が発生するので思わずこちらも爆笑してしまう。さらに、モニターの芸人にワンショットで寄ると、画の荒れ具合が異空間ぶりを醸し出して、これがまたシュールだ。

  • 収録中に誰かと電話しだす三四郎・小宮浩信 (C)フジテレビ

様々なトークテーマや、クイズ、ゲーム企画も実施されるが、ゆりやんはもちろん、ひな壇芸人が全員ボケ放題で、スタッフの言っていた「台本通りの流れ」は当然反故に。時間を追うごとにその手数はエスカレートし、ひな壇モニターの中だけでやり取りが始まって小峠が置いてけぼりになったり、1対5になったりする場面が多々登場する。

それでも、小峠の切れのあるツッコミが次々にヒット。千本ノックのように繰り出されるボケにも、バリエーション豊富なワードセンスで全て食らいついていく。

小峠と言えばコロナ禍に入った当初、『ヒルナンデス!』でソーシャルディスタンスを保つためにスタジオを出され、日本テレビのロビーから毎回1人寂しくモニター越しに登場し、その距離感を使ったツッコミでさらに評価が高まったのが記憶に新しいが、今回もその技術が遺憾なく発揮されており、まさに小峠のMCだからこそ成立した番組となっている。

文字通り孤軍奮闘となって大活躍だった小峠。芸人のツッコミ技術を見せる企画はこれまでもいくつかあったが、このフレームこそ真価が問われるのではないか。今後第2弾、第3弾と、他のツッコミ芸人によるMC回もぜひ見てみたい。

  • (C)フジテレビ