「締め切りが近づいているのにやる気がでない」「もっと早くから計画的にやっておけばよかった」ということはありませんか。モチベーションに頼らず、確実にやるためにはどうしたらいいのでしょうか。

『自分をサクサク動かすセルフマネジメント』(総合科学出版)著者で、マネジメントコンサルタントの川嵜昌子さんから「すぐやる仕組み」が作れる3つの方法を紹介してもらいます。

  • 仕事中の「怠け癖」はありませんか?

コツ1:自分がやりやすい&得意なことに変える

ある作業をしようと思った時、「やろうと思ってはいるんだけど、なかなかやる気にならなくて」ということは、誰でも経験があるでしょう。

人は基本的に怠けもので努力を嫌います。そのため、何かの目標を設定する時は「なるべく努力をせずに達成する方法」「楽をして達成する方法」を考えましょう。

この時に大事なことは、まずは手足と脳を動かす——、つまり「行動」すること。手や足を動かしたり、考えたりすることで脳から神経伝達物質のドーパミンが分泌されます。

それにより快感や幸福感を与え、気分を高める、意欲を感じてやる気が出てきます。つまり、行動することでやる気が出るのです。

コツ2:「5分間集中法」+「ポモドーロ・テクニック」で最速スタート

「今すぐ行動しよう」と思っても、重い腰を上げるのは大変です。こんなときはまず「簡単にできること」を「5分間だけ」やってみましょう。

たとえば、やらなければいけないタスクに関する書類を机の上に置く。あるいはPCでデータを開く。ざっと目を通すか、読み上げるだけでもOK。

5分間集中するためには、タイマーをセットします。たった5分間でも集中すると、「あと5分、あと10分やってみよう」となってきます。これを「作業興奮」といいます。

5分間継続できたら、この「作業興奮」を利用して、次は「ポモドーロ・テクニック」といわれるタイマーを使った方法を試してみましょう。

「ポモドーロ・テクニック」のやり方は簡単。タイマーで 25分計り、タスクに集中する。そのあと5分休憩。また25分計りタスクに集中する。これを合計4回、トータル2時間続けます。

その後は15~30分休憩時間を取る。2時間集中してやるよりも、5分間休憩を取ることで切れかかった集中力を回復することができます。それによって仕事がぐんぐんはかどる。気付いた時には終わっているのです。

コツ3:面倒な作業もゲーム感覚で楽しめば難問を次々クリア!

3つ目のコツは、「ゲーム感覚で楽しむ」こと。人は今やらなければいけないこと、やったほうがよいことを後回しにする一方で、今やらなくてもいいことにハマり、時には寝食を忘れることもあるほどです。

例えば、一時期はやった「ポケモンGO」。翌日、仕事があるにもかかわらず、深夜までスマホ片手に、新種のポケモンをゲットするためにあちこち歩き回った人もいるのではないでしょうか。

このゲームにハマる性質を活用した手法に「ゲーミフィケーション」というものがあります。これは、ビジネスや学習、医療・健康、その他のゲーム以外の分野に、ゲームの考え方、メカニズムを取り入れて、人々のモチベーションを高め、 行動につなげようというもの。

ゲームを始めるとき「ラスボスを倒す」など「明確な目標」がありますよね。仕事もこれと同じで「始める前にゴールを明確にする」ことが大切です。ゲームがスタートしたら、最短最速で強くなるため武器をそろえたり、チームを作って戦術を立てたりすることも必要になってきます。

これは仕事でいえば、「やるべきことを明確にする」ということにあたります。

たとえば、仕事の場合、目標数値や納期だけ決まっていて、やること、攻略の方法、順番は各人に任されていることがあります。そのため、経験のない新人や新しい仕事の場合、何をすればよいか分からず、行動できないことが起きます。

このときひとりで悩んでいるよりも経験値の高い先輩に頼んで教えてもらう、やるべきことをまとめたチェックリストを作る、ということをすれば仕事がスムーズに進行します。

小さな成功体験の積み重ねが大きな成長につながる

年末から年始にかけてやるべきことがたくさん出てきて、時間に追われることが多い今の時期。「面倒だな」と思ったら、まずは「5分間集中」してやってみることからスタートしてみましょう。

「ポモドーロ・テクニック」や「ゲーム要素」も一緒に取り入れることで、どんどんやるべきことが達成できるようになります。続けていくうちに自然と「セルフマネジメント」ができるようになり、時間的にも精神的にも余裕のある生活が送れるようになるでしょう。

執筆者プロフィール:川嵜昌子(かわさき・まさこ)

マネジメントコンサルタント。長崎市生まれ。東京のベンチャー企業の創業期メンバーとして立ち上げに携わり、自社の急成長、東証一部上場という経験を得た後、独立。5000社以上の経営者に取材およびコンサルティングを行う。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会参事。著書『自分をサクサク動かすセルフマネジメント』(総合科学出版)他。