藤井竜王が勝てば1戦を残して王将挑戦が確定

渡辺明王将への挑戦権を争う第71期ALSOK杯王将戦(主催、毎日新聞社・スポーツニッポン新聞社)の挑戦者決定リーグは、11月19日に藤井聡太竜王―近藤誠也七段戦が行われています。先後は事前に決まっており、藤井竜王の先手番です。

■藤井竜王の順位戦昇級を阻んだ近藤七段

ここまでのリーグ戦績は藤井竜王が4勝0敗、近藤七段が3勝1敗です。本局は挑戦権が懸かる大一番で、藤井竜王が勝てば他に全勝者と1敗者がいなくなるため、1戦を残して藤井竜王の挑戦が決まります。また近藤七段が勝つと、挑戦権の行方はリーグ最終戦に持ち込まれ、本局の両者以外に3勝2敗の永瀬拓矢王座と羽生善治九段にも可能性が出てきます。

両者の過去の対戦は藤井竜王の4勝1敗です。初手合いは藤井竜王がデビューからの29連勝を達成した間で、近藤七段はその19連勝目の相手でした。竜王戦6組決勝という大舞台でもあったことで、近藤七段にとっては悔しい敗戦でした。またその2年後に行われた順位戦C級1組では、近藤七段が借りを返し、自身のB級2組昇級へ結びつけるとともに、藤井竜王の昇級を頭ハネで阻止することになりました。

■戦型は相掛かり、互いの構想が問われる展開に

これまでの対戦では、初手合いでの相掛かりを除くと全て角換わりに進んでいました。しかし、11月19日の午前10時に東京の将棋会館で始まった本局の戦型は相掛かりとなりました。お互いの工夫と駆け引きの結果、先手は飛車先交換を拒否し、後手は角交換を拒否するやや珍しい進行になりました。すでに前例のない局面、互いの構想が問われます。

王将戦挑戦者決定リーグもいよいよ大詰め。若き両者の意地がぶつかり合う大一番に注目しましょう。

相崎修司(将棋情報局)

対局前に駒を並べる藤井竜王(左)と近藤七段(提供:日本将棋連盟)
対局前に駒を並べる藤井竜王(左)と近藤七段(提供:日本将棋連盟)