資産を貯めて早期退職するFIREに興味のある若い人も多いでしょう。FIREをして自分の時間を思うように使えるのは魅力的ですが、数十年暮らせるだけの資産形成をする必要があります。

たとえば25歳・年収400万円のAさんが積立を始めると、いつ頃FIREが可能になるのでしょうか? 今回は投資信託の積立でシミュレーションしてみた結果と、FIREを考える際のポイントについて解説します。

※シミュレーション結果は将来の資産額を保障するものではありません。また、税金や各種手数料は考慮しないものとします。

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FIREするのに必要な資産の目安

一般的に、FIREに必要な資産は「年収の25年分」または「家計支出の25年分」とされています。さらに資産を年利4%で運用すれば、毎年の生活費を確保しつつ、元本は減らないという考え方です。

たとえば年収400万円のAさんのFIREに必要な資産は1億円です。単純に1億円を年率4%の運用に回すと、毎年400万円を受け取りながらも1億円の元本はそのまま残るという計算になります。

FIRE後も年収400万円レベルの暮らしを続けること、また資産運用も続けることが前提です。

25歳から1億円を貯めるのに必要な年数

25歳・年収400万円のAさんの貯金が0円として、1億円を貯めるのに何年かかるのでしょうか? たとえば投資信託の積立を行う場合でシミュレーションをしてみましょう。

※以下はあくまでシミュレーション結果であり、将来の資産を保障するものではありません。また各種手数料や税金は考慮していません。

年利3%の場合

毎月10万円を30年間積み立てたとしても、資産は5,800万円ほどに留まります。30年で1億円にするには毎月18万円の積立が必要で、この場合にAさんは55歳でFIREができます。

年利3%でFIREを実現するには毎月非常に高額な積立が必要であり、現実的とは言えません。

年利5%の場合

毎月12万1,000円を30年積み立てると1億円になり、55歳でFIREができます。これも難易度は高いですが、毎月の積立額を確保できれば不可能ではありません。

年利7%の場合

年利7%で30年運用するなら、毎月の積立は8万2,000円で済みます。さらに増やして毎月12万4,000円にすると、25年で1億円になるので、50歳でのFIREが可能です。

ただし年利7%を得るには、株式中心・海外中心の銘柄で運用をする必要があります。リターンが高い分、リスクも高くなるため、ファンドについての勉強が欠かせません。

投資信託だけでは難しいとなると、株式投資やFXなど短期で大きな利益を狙える投資の併用も必要かもしれません。もちろんリスクも投資信託より高くなります。

  • 年収400万円・25歳の人がFIREを達成できる1億円はどのように作る?

目標額を1億円より下げるのもアリ

1億円を貯めるのは厳しいなら、以下のように考え方を変えてみてはどうでしょうか。

年収ではなく家計支出で考える

FIREは家計支出で計算する考え方もあります。一般的に支出は年収より低くなるので、積立額は低くなります。

たとえば支出が毎月25万円なら、25年分で7,500万円貯めればよい、という計算になります。

セミFIREにする

FIREはするものの、アルバイトや個人事業などで少し稼ぐ「セミFIRE」であれば、必要な資産は「フルFIRE」より少なくなります。たとえば毎月5万円・年間60万円のペースで20年稼ぐなら、1,200万円は積立をしなくて済みます。

資産の取り崩しを認める

FIREは資産として貯めた分をずっと減らさないのが前提です。そうではなく、一定の範囲の取り崩しを認めるなら、もう少し低い目標額で済みます。

たとえば高齢者になる60歳の時点で、3,000万円が残っていれば良いと仮定しましょう。50歳から60歳までの10年間で毎年400万円、合計4,000万円を取り崩すとするなら、50歳時点での資産は7000万円で済みます。