樅野:そんな中、ある日他局で会議やってたら、ネットニュースで「いいとも終了」って出て、「終わるんかい!」って驚いて。

木月:僕も知らなくて、びっくりしました。たまたまあの放送を当時昼飯中にワンセグで見てたら、火曜日なのに(木曜レギュラーの笑福亭)鶴瓶さんがエンディングで入ってきて「あれ?」と思ったら、「終わるんだ!」って。

樅野:すぐに一緒にやってた(放送作家の)大井(洋一)に「おい、終わるぞ!」ってメールしましたよ。

――あの生放送の後に、中嶋(優一)CPから正式にお知らせがあったんですか?

木月:そうですそうです。演者さんにも誰にも言ってなかったんですよ。そこからフィナーレまでの半年間をどうやっていくかプランニングの会議をしていったんです。いろんなサプライズ的な盛り上げ方を。

ラリータ:『いいともグランドフィナーレ』は、あの前と後ということで、いろんなことが語られますよね。『(FNS)ラフ&ミュージック』も、あれがあって松本(人志)さんと爆笑問題さんの共演というのが盛り上がったし、ものさしになりましたよね。

樅野:テレビ史に残る事件っていくつかあるじゃないですか。そこに立ち会えてるっていいですよね。ラリータさんは『脱力タイムズ』のアンタッチャブルさんの復活があるし、木月さんは『いいとも』のグランドフィナーレがあるし。

木月:大変な現場でしたよ(笑)。サブ卓(副調整室)でディレクションして、最初のCMを入れたところで気を抜いて振り返ったら、すぐ後ろで会長と社長が座って見てたんですから。あんなに緊張感のある生放送サブ卓はないですよ。一挙手一投足、監視されているという。

ラリータ:すごいなあ、よくやったなあ! テレビ見てて「わー、終わっちゃうんだ」って感傷にひたりながら、打ち上げ会場に行きましたもん。あの打ち上げも良かったなあ。

  • 『笑っていいとも! グランドフィナーレ 感謝の超特大号』に出演したタモリ、明石家さんま、笑福亭鶴瓶、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナイン

■『スマスマ』が最後に歌で終わる理由

木月:『いいとも』ってそこを基地にしていろんな番組が派生していくというのも、フジテレビのやり方でしたよね。『スマスマ』も『やるやら(ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!)』も『ごっつ(ダウンタウンのごっつええ感じ)』もそうだったと思うんです。僕は隣の番組から覗いていただけですけど、『スマスマ』って“ザ・テレビの総合バラエティ”でしたよね。本当にすごかったんですよ。あそこにエンタメの全てが集まってる感じがありました。

樅野:本当にキラキラしてた、あのテレビでしたもんね。

ラリータ:(世帯視聴率)20%超えても、なんのリアクションもなかったんですよ(笑)

木月:20%超えない回があると「どうした?」ってなる時期もありましたもんね。

ラリータ:『スマスマ』が毎回最後に歌で終わる理由って知ってますか? 当時のプロデューサーの荒井さんからの受け売りですけど、SMAPさんがアイドルだからなんですよ。“コントでどんだけ変なことやっても、最後は絶対にカッコいいSMAPで終わる”という理念があって、それを聞いたときは感動しましたもんね。

木月・樅野:すごいなあ!

ラリータ:『脱力』に木村(拓哉)さんが来たとき、「ちょ、待てよ」やってくれたんですよ。

木月:あれもすごいですよね!

ラリータ:台本見て「これ言わなきゃダメ?」って言われて、「ダメです!」って言って(笑)。この前『ラフ&ミュージック』で中居(正広)さんに久々に会いましたけど、中居さんもやっぱりずっとスターですよね。カッコよかったです。

樅野:すごい人と仕事して、いいなあ。

ラリータ:樅野さんにはEverybodyがいるじゃないですか(笑)

樅野:Everybodyは勝手に向こうが俺のことを恩師だと思ってるみたい(笑)

ラリータ:NSCのときの先生だったんですよね。

樅野:「樅野さんしか褒めてくれなかった」ってよく分からない理由で。

ラリータ:すごいじゃないですか! とんねるずさんにとってのタモリさんみたいな(笑)

樅野:「クリティカルヒット」なんて教えてないよ(笑)

  • (左から)名城ラリータ氏、木月洋介氏、樅野太紀氏

次回予告…~お笑いディレクター&放送作家編~<3> 『新しいカギ』“面白ければ見てくれる”と信じてコント作り

●名城ラリータ
1976年生まれ、沖縄県出身。日本大学芸術学部卒業後、00年フジクリエイティブコーポレーションに入社。フジテレビのバラエティ制作センターに配属され、『笑っていいとも!』『SMAP×SMAP』『ココリコミラクルタイプ』『もしもツアーズ』『全国一斉!日本人テスト』などを経て、現在は『全力!脱力タイムズ』『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ)、『冗談騎士』(BSフジ)、『有田P おもてなす』(NHK)を担当。

●樅野太紀
1974年生まれ、岡山県出身。95年からお笑いコンビ・チャイルドマシーンとして活躍するも04年に解散し、放送作家に転向。現在は『ミュージックステーション』『しくじり先生 俺みたいになるな!!』『関ジャム 完全燃SHOW』『かまいガチ』『まだアプデしてないの?』『くりぃむナンタラ』(テレビ朝日)、『有田P おもてなす』『わらたまドッカ~ン』(NHK)、『有吉の壁』(日本テレビ)、『プレバト!!』(MBS)、『アウト×デラックス』『千鳥のクセがスゴいネタGP』『新しいカギ』(フジテレビ)などを担当。『しくじり先生』で第41回放送文化基金賞・構成作家賞、『両親ラブストーリー~オヤコイ』で第45回放送文化基金賞・企画賞を受賞。

●木月洋介
1979年生まれ、神奈川県出身。東京大学卒業後、04年にフジテレビジョン入社。『笑っていいとも!』『ピカルの定理』『ヨルタモリ』などを経て、現在は『新しいカギ』『痛快TV スカッとジャパン』『今夜はナゾトレ』『キスマイ超BUSAIKU!?』『ネタパレ』『久保みねヒャダこじらせナイト』『出川と爆問田中と岡村のスモール3』『千鳥の対決旅』『人間性暴露ゲーム 輪舞曲~RONDO~』などを担当する。