ベントレーのプラグインハイブリッド車(PHEV)「ベンテイガハイブリッド」が日本に上陸した。日常のほとんどのシーンを電気自動車(EV)のように走行できるラグジュアリーSUVは、日本市場に受け入れられるのか。ディーラーへのデリバリー開始は2021年11月中に始まる。
人気の「ベンテイガ」に電動の新モデル
「ベンテイガ」は2015年に誕生したベントレー初のSUV。現行モデルは2020年に発売となった2世代目だ。日本でも人気のクルマで、2021年(1~9月)に国内で売れたベントレー計477台のうち、ベンテイガは196台で最も高いシェアとなったそうだ。残りは「コンチネンタル」が152台、「フライングスパー」が129台となっている。ちなみに、コロナ禍と半導体不足が重なっているにもかかわらず、ベントレーは販売好調とのこと。2021年の国内販売は、過去最高の600台超に達しそうな勢いだ。
初代ベンテイガにもPHEVはあったが(2019年デビュー)、日本には導入されなかった。なので、今回のベンテイガハイブリッドは日本で買える初のベントレー製PHEVとなる。いったい、どんなクルマなのだろうか。
まず外観だが、手書き風の「Hybrid」バッジがフロントドア(2枚)に入る以外、ほかのグレードと変更はない。ただ、当然ながら、普通充電をするための充電口が付くので、そこも違いといえば違いだ。ボディサイズは全長5,125mm、全幅1,995mm、全高1,740mmで、全高が15mm低い以外はV8と一緒。PHEVなのでバッテリーとモーターが追加になる分、車重はV8に比べ220kg重い2,690kgとなる。
車内にはPHEVならではの部分がいくつかある。例えば、センターコンソールにある「Eモード」ボタンだ。このボタンで「ハイブリッド」「EVドライブ」「ホールド」の3種類からドライブモードを選択可能。ハイブリッドは状況に応じて電気(バッテリー+モーター)とエンジンを使い分けるモードで、EVドライブは電力がある限りEV走行を続ける。ホールドは主にエンジンを使い、アクセルペダルの踏み込み量によっては電力でブーストをかけるモードで、最も激しいドライブが楽しめる。
ハイブリッドとV8はどちらも2,269万円。同じ値段なので、装備レベルにはそこまで違いがないそうだ。ただ、7人乗り仕様はV8だとオプションで選べるが、ハイブリッドには設定がないので、ここは注意が必要なポイントだ。
V8とまるっきり違うのはパワートレイン、つまり、どうやって走るかだ。ハイブリッドは3.0LのV型6気筒ツインターボエンジンに容量17.3kWhのリチウムイオンバッテリーとモーターを組み合わせる。基本はバッテリーの電力で走行するのだが、フル充電だと電気だけで約50kmを走行可能。モーターとエンジン(電気とガソリン)を組み合わせた総航続距離は約858kmに達するそうだ。50kmもバッテリーで走れるのであれば、通勤や買い物は電気だけで済ませることができるだろう。
200Vだと、空のバッテリーをフル充電するのに約2時間45分かかる。急速充電には対応していない。
日常は電気で走れるのがPHEVの美点だが、自宅にクルマを充電ができる環境がないと、恩恵は十分に受けられない。ただ、ベンテイガを購入するほどの人であれば、そのあたりを心配する必要はないだろう。戸建てか高級マンションに住んでいて、先進性があり(先進的なモノに関心があり)、環境に配慮する気持ちを持っていて、財政に余裕がある人。ベンテイガハイブリッドに乗れば、そんなイメージを周囲に発信できること請け合いだ。