キャンピングカーの製造・販売を手掛ける日本特種ボディー(NTB)がレンタル専用の車両を作った。同社は東京ソラマチにショールームをオープンし、近くキャンピングカーのレンタルサービスを始める予定だが、いったいどんなクルマが借りられるのだろうか。実物を見てきた。

  • 日本特種ボディーのキャンピングカー「クレステッド アイビス」

    日本特種ボディーが「アソモビ2021 in Saitama」(開催場所:さいたまスーパーアリーナ、会期:10月16日~17日)で初公開したレンタル専用キャンピングカー「クレステッド アイビス」(CRESTED ibis)。どんなクルマ?

レンタル専用ならではのこだわり

NTBは10月30日、「日本特種ボディー 東京ソラマチ(R) ショールーム」をオープンし、同時にキャンピングカーのレンタルサービスを始める。昨今のアウトドアブームを受けた動きなのかと思いきや、NTB代表取締役の蜂谷慎吾氏によれば、社会貢献という意味合いが強いそうだ。

「近年は自然災害が多発していますが、アウトドアで養われたスキルは災害時にも役立ちます。そうした自助スキルをアウトドアやキャンピングカーを通じて身につけてもらいたいというのがショールームのコンセプトです」(以下、カッコ内は蜂谷氏)

とはいえ、キャンピングカー自体は高額商品なので、多くの人になじみのあるクルマではない。そこで目をつけたのがレンタルサービスだった。

「レンタルであればキャンピングカーにもっと触れてもらえますし、長い目で見れば防災スキルを高めることに貢献できるのではないかと考えました。それこそが、レンタルサービスを始める理由ですね」

NTBはレンタルサービス開始に向けて、キャンピングカー初心者でも扱いやすいレンタル専用モデル「クレステッド アイビス」を開発した。

車体サイズは全長約5m、幅約2mで、同社が販売する「サクラ」に比べるとひと回り小く、操作性が向上している。サイズを決める上では、コンビニなどの駐車場がそのまま利用できる寸法を意識したそうだ。

最大乗車人数は7人。インテリアは使いやすさを重視し、スタンダード形状となるリア2段ベッド+バンクベッドというシンプルなレイアウトを採用している。

  • 日本特種ボディーのキャンピングカー「クレステッド アイビス」

    自宅で過ごしているように感じられる快適性を追求した車内。中央の椅子を倒せばベッドとして使用できる

  • 日本特種ボディーのキャンピングカー「クレステッド アイビス」

    運転席上のバンクベッドは大人3人が横になることができる広さだ

  • 日本特種ボディーのキャンピングカー「クレステッド アイビス」

    操作スイッチの数を減らして大きくし、操作性の向上を図った

レンタカーであることを考慮し、一部の部品は堅牢なものに見直した。例えば、「サクラ」で採用しているイタリア製のドアはロックバネの脆弱性がネックだが、「クレステッド アイビス」ではアメリカ製のドアを採用している。窓は、走行中に風圧で飛ばされてしまうことがある「跳ね上げ式」から「スライド式」に変更した。

  • 日本特種ボディーのキャンピングカー「クレステッド アイビス」

    「クレステッド アイビス」のエントランスドア

  • 日本特種ボディーのキャンピングカー「クレステッド アイビス」

    両サイドの窓はスライド式を採用。風圧によって破損する可能性はほぼなくなった

「修理費用が発生してお客さまの負担にならないよう、なるべく頑丈な部品を使って壊れにくいクルマにしました」(蜂谷氏)とのことだが、これもレンタカーならではの心遣いといえる。

なお、「クレステッド アイビス」はレンタル専用のため、販売の予定はない。そのため、乗り心地や使い勝手を確認するには、レンタルサービスを利用するほかないのが現状だ。

レンタル専用キャンピングカーの受け渡し場所は東京ソラマチの地下駐車場。レンタルプランは2泊3日と5泊6日の2つを用意する予定だという。料金は2泊3日が9.24万円、5泊6日は検討中とのことだった。