柚子(ユズ)の栄養素はビタミンCやクエン酸、リモネンなどがあります。甘みは少なく酸味が特徴で、体の免疫力を高め、美肌やリラックス効果など、さまざまな効能が見込める果実です。
今回は柚子の栄養素や効能について解説します。美容や食生活の改善など、目的に合わせて柚子を食べてみましょう。
柚子とは
柚子とはミカン科ミカン属の常緑小高木(じょうりょくしょうこうぼく)で、柑橘類とされる果実です。本柚子、ユズ、ゆずなど、さまざまな表記で呼ばれます。英語の表現も日本語と変わらず「Yuzu」です。
初夏に花が咲き、秋には黄色でデコボコした柑橘類のさわやかな香りのする球形の果実がつきます。柚子は成長が遅い果実とされ、実生の場合は種から育てると、収穫まで早くても10年ほど掛かります。
また、果汁は果実酢、皮は薬味として食べられる場合があります。柚子は捨てるところが少ない果実です。
四国が主な産地
柚子は中国が原産とされており、日本には奈良時代に渡ってきたとされています。高知県や徳島県、愛媛県など、四国エリアが主な日本の産地です。ほかには宮崎県や沖縄県でも栽培されています。
柑橘類は温暖な海岸地帯で栽培されることが多くなっていますが、柚子は内陸の山間部で栽培され、昼夜の温度差が良い香りに繋がるとされています。山間部は山の斜面により日当たりがよく、柚子は大きく育ちます。
柚子の種類
柚子にはさまざまな種類がありますが、主に「本柚子」「山根系」「多田錦」の3種類にわかれます。
本柚子は木頭系とも呼ばれ、香りが高く酸味が強くなっています。山根系は本柚子よりも早く実る早生種で、多田錦は種がなく調理にも扱いやすい種類です。柚子の枝には鋭いトゲがあるために果実に傷がつきやすい一方で、多田錦にはトゲが少ないため、栽培もしやすくなっています。
また、一般的に柚子は1年を通して流通しており、夏から初秋にかけては熟した黄色の「黄柚子」が出回り、秋以降に旬を迎えます。未熟果である「青柚子」も出回るケースもあります。青柚子は熟す前の夏に出回り、皮が黄色ではなく、すだちのような濃い緑色をしており、果汁が少ないために香りの強い皮が使われます。
種・皮・実の栄養価が高い
柚子は総合的に栄養価の高い果実です。その由縁は果肉以外にも、栄養価の高い皮や種まで活用できるところにあります。果肉に含まれる果汁もカリウムやビタミンCなど豊富な栄養が詰まっています。
まず、皮に多く含まれる栄養素は抗酸化作用があるとされるビタミンCです。柚子の強い香りを作る成分のリモネンとシトラールなども含まれています。皮には苦味を感じる部分がありますが、千切りや火を通すことで苦味の成分を抑えられます。
そして、種にはコレステロール値をコントロールするペクチンや血行促進効果のあるリモネンなどが含まれています。血液の循環をよくして、体質の改善に繋がる栄養素です。柚子は皮や種にまで栄養価が高いのです。
柚子の栄養素
柚子は果肉や果汁だけではなく、皮や種にまで栄養素が豊富に含まれています。柚子に含まれる栄養素を解説します。
ビタミンC
柚子の代表的な栄養素がビタミンCです。ビタミンCは風邪や感染症などのウイルスに対して効果があり、予防できるといわれています。
特に皮には果汁の約4倍ものビタミンCが含まれています。箇所によって栄養素のバランスも異なっているのです。
加熱するとビタミンAとEが増加
柚子は加熱することで、ビタミンAやビタミンEの量が増えます。ほかの栄養素や成分には変化がありません。
ビタミンAには眼や皮膚の免疫力を高め、ビタミンEには抗酸化作用があるとされています。
柚子の効果・効能
柚子にはビタミンCやクエン酸、リモネンなどが含まれており、体の免疫力を高めるとされています。柚子はさまざまな効能が見込める果物です。
免疫力を高める
柚子にはビタミンCやβカロテンが含まれており、体がウイルスや風邪に抵抗できるように働きかける作用があります。
免疫力を高めることで、感染症の予防や回復に効果が期待できます。
血行の促進
柚子の皮に多く含まれるペクチンにはコレステロール値をコントロールして、動脈硬化や高血圧を防ぐ働きがあります。血行の促進に繋がり、生活習慣病の予防にもなるのです。
また、柚子にはカリウムが多く、高血圧の原因にあるナトリウムを体の外に排出する働きがあります。
リラックス効果
柚子の香り成分であるリモネンはリラックス効果があるとされています。柑橘類の特徴的なさわやか香りは、日常生活のさまざまな製品の香りとして活用されています。
柚子のリラックス効果を得るには食用以外にもあります。たとえば、お風呂で使う方法です。湯船に柚子を入れるだけで、手軽に香りを楽しめます。
美肌効果
柚子にはシミの原因であるメラニン色素の沈着を防ぐ効果があるとされています。柚子に含まれるビタミンCはメラニン色素を生成する酵素、チロシナーゼの働きを抑えるため、結果的にシミの予防につながるのです。
美味しい柚子の選び方
柚子を選ぶ際は美味しく食べられる状態のものを選びましょう。柚子の選び方のポイントは皮です。しっかりと固く、香りのよいハリがある皮をしているものを選びます。
ヘタが茶色になっていたり、皮に黒ずみや傷があったりする柚子は鮮度が落ちている可能性があるため、選ばないようにしましょう。
また、柚子の食べ方はさまざまな方法があります。生の柚子は酸味が強いため、生食に向いていませんが、乾燥させて粉末状にしたり、皮を調味料にしたり、幅広い食べ方ができます。果実を砂糖漬けにして酸味を抑えることで、ジャムや柚子茶として加工できます。
なかでも、柚子酢は万能調味料です。焼き魚や肉、サラダなどにかけるだけで、柚子の豊富な栄養素を摂取できます。柚子を切って絞った果汁に塩を加えて、冷蔵庫で1日寝かせるだけで手軽に作れる調味料です。
柚子の保存方法
柚子を生で常温保存するなら、新聞紙やビニール袋などで包み、水分が蒸発して乾燥することを防ぎましょう。気温が高く湿気の多い季節は冷蔵庫の野菜室などに入れて保存します。柚子は常温保存すると日が経つごとに香りが弱まります。
長期間保存したい場合は冷凍保存ができます。ぬるま湯で洗ってから皮をむいておくと保存が効きます。果肉は皮の白い部分を少し残しておき、ラップに包んでフリーザーパックに入れておくとよいです。
皮を使う場合は同じように酸化を防ぐために、ラップに包んでフリーザーパックに入れます。解凍する場合は香りが落ちる電子レンジではなく、自然解凍でじっくり待ちましょう。
また、用途によっては乾燥させて保存もできます。香りが落ちることを防ぐために皮をむき、天日干しを行えば、数日で乾燥が終わります。あとはフリーザーパックに入れて保存すれば常温や冷蔵で保存可能です。
柚子の栄養素は免疫力の向上やリラックス効果がある
柚子はミカン属の柑橘類で、熟すと黄色のデコボコした果実がつく果物です。栄養素はビタミンCやクエン酸、リモネンなどで、体の免疫力を高めて、香りにはリラックス効果があるとされています。
強み酸味がすることから生食には向きませんが、加工食品や調味料として使うことができ、化粧品や香りを楽しむためにも使われるなど、幅広く活用されています。美味しい柚子を選ぶ際は皮にハリがあるものを選び、乾燥を防ぐために新聞紙などで包んで保存して、長く柚子を楽しみましょう。