榎並アナの涙を通した素直な感情は、視聴者の心を打ち、SNSなどでは共感する声が多く上がったが、「『プロとしてどうなのか』というお叱りの言葉をたくさん頂戴しました。あの放送で言葉にできなかったけれど『思いは伝わりました』というご意見も頂きましたが、やっぱり言葉で伝えなければいけないというところは猛省しております」と謙虚に受け止めた。そして、「これから伝えていく上での糧にしないといけない」と思い立ち、その放送の翌日、都内の産婦人科を訪れて妊婦の声を直接取材した。

この日は、千葉県庁が経緯を説明する会見もあったが、産婦人科を取材することを決めたのには、「今回赤ちゃんが亡くなってしまったということは、産婦人科さんと行政との連携がうまく取れていなかったことなど、いろんな要因があったと思いますが、今一番伝えるべきことは何なのか。この『イット!』という番組においては、ワクチンを打てない妊婦さんたちの不安の声などを聞いて寄り添うということが必要なのではという自分の思いや、スタッフの判断がありました」という考えがあった。

■1年の経験で同じニュースを「さらに深く伝えられるように」

ニュースを伝えるだけでなく、帯番組の男性メインキャスターとしては異例の「育休」を取るなど、わずか1年の間で様々な経験をしたが、「『イット!』に来たばかりでフワフワしているときに、ノーベル賞発表のニュースがありましたが、1年経ってまたノーベル賞のニュースを紹介していると、この1年の経験によって、さらに深くお伝えできるようになったと感じたんです。気象災害でも、例年同じような災害が起きてしまっているので、そのときの伝え方をもっと磨いていきたいと思っています」という榎並アナ。

「育休中に他局のキャスターの姿も見ていたのですが、経験の差はすぐには埋まっていかないので、育児と同じですが、1日1日が大切なんだと思います。今日もしっかり伝えて勉強し、明日に臨んでいくということを繰り返して、また1年後を迎えられれば」と、力を込めた口調で意気込みを語ってくれた。

●榎並大二郎
1985年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、08年にフジテレビジョン入社。『スーパーニュース』『バイキング』『クイズ!金の正解!銀の正解!』『IPPONグランプリ』『KinKi Kidsのブンブブーン』(ナレーション)などを担当し、20年9月から『Live News イット!』メインキャスターを務める。