トヨタ自動車の新型「ランドクルーザー」とメルセデス・ベンツ「Gクラス」に続けて試乗した。どちらも、ラダーフレーム構造を持つクロスカントリー4WDの代表格だ。グレードによってはかなり価格差のある2台だが、乗り味も大きく異なるのだろうか。それとも、似た部分があるのだろうか。
クロカン4WDの代表格といえる2台
GクラスはAMG仕様だったが、クロスカントリー4WD車らしく、やや揺れの大きい乗り心地だった。ランドクルーザーは前型と同様、やはり揺れを感じる乗り味ではあったものの、前型のレクサス版である「LX」のように手ごたえが改善していて、舗装路でもしっかりとした乗り心地を感じられた。両車とも走行モードの切り替え機能を備えており、スポーツ走行志向のモードを選べば、舗装路でよりしっかりとした乗り味になる。
GクラスはAMGということもあり、速度計には時速280キロまでの目盛りが刻まれていた。高速走行も視野に入れた高性能車であることがわかる。走行モードを切り替えてスポーツ志向にすると、手ごたえは明らかに変わり、シャキッとした乗り味になる。それでも、路面の凹凸に対し乗員に衝撃をもたらすような硬さとはならず、乗り心地を損なうことはない。このあたり、「Sクラス」など乗用車の場合もそうだが、AMGならではの奥の深いサスペンション設定に感心させられる。
ランドクルーザーのエンジンは従来のV型8気筒に替えてV型6気筒のターボになった。これに対しGクラスは、AMGということもあってV型8気筒のガソリンターボであった。
G63は車体側面に太い排気管が2本出しとなっていて、低回転で走っていても腹に響くような重くて低い排気音が聞こえてくる。フルスロットルを試すと、轟音とともに猛然たる加速をみせた。ランドクルーザーも「GR SPORT」となるとまた別の乗り味があるのかもしれないが、まだ試乗の機会を得ていない。
仕様の違いによる趣の違いはあっても、クロスカントリー4WDとして長い歴史を積み上げてきた2台は、いずれにしても悪路走破を第一とするしぶとさが感じられるクルマだった。
ところで近年、クロスカントリー4WDにも新たな息吹が入りはじめたようだ。例えば、最新のランドローバー「ディフェンダー」はラダーフレーム構造をやめ、モノコック車体となったが、それでも十分なサスペンションの上下移動領域と電子制御による駆動調整により、悪路を難なく走ってみせた。舗装路での乗り味は、SUVのようにシャキッとしたものだった。
数年後には、Gクラスが電気自動車(EV)になるとの情報もある。クロスカントリー4WDにも、時代の変革が起ころうとしている。