ホンダはネットで自動車が購入できるオンラインストア「Honda ON」(ホンダオン)を開始した。スマートフォンからでも24時間、いつでも新車が購入できるサービスは国内自動車メーカー初の取り組み。コロナ禍でネットショッピングの使用頻度は増加傾向にあり、自動車の需要も高まっていると聞くが、自動車購入にも新たな流れが来ているのか。ホンダの説明会で新サービスについて聞いた。

  • ホンダ「ヴェゼル」

    「Honda ON」でオンライン販売が始まったのは「N-BOX」「フィット」「ヴェゼル」「フリード」 の4車種だ(写真はヴェゼル)

スマホでクルマを買っても大丈夫?

コロナ禍で世の中のオンライン化が急速に進む中、購買行動の多様化も加速している。そうしたニーズをタイムリーに捉えるとともに、自動車売買における新たなUX(ユーザーエクスペリエンス)の実現を目指すべく、ホンダが2021年4月1日に設立したのが「Honda ON」を運営する株式会社ホンダセールスオペレーションジャパンだ。

「お客様の期待を超える自動車購買UX」をコンセプトとする「Honda ON」。その大きな特徴は、利用者がスマホから、いつでもクルマの購入を検討できて、購入手続きまで一貫して行えることだ。

ホンダセールスオペレーションジャパンによれば、従来、販売店に足を運んで行っていた商談や見積り、買取車の査定、契約、自動車保険への加入なども含め、自動車購入に関する全ての手続きがオンライン上で完結させられるという。

取材会に出席した同社代表取締役の関勝之氏は、「オンラインで全ての手続きが完結する手軽さとスマートフォンに特化して開発したUI(ユーザーインターフェース)と合わせて、販売店への来店に敷居の高さを感じる若い世代にも、クルマの購入をより身近に感じてもらいたい」と語り、新たな客層の掘り起こしへの期待をにじませた。クルマを購入するプロセスについては動画で確認することも可能だ。

とはいえ、仮にも高額商品であるクルマを、試乗もなしにスマホから購入するのはなかなか勇気がいる。そうした不安を払拭するため、「Honda ON」での販売形態は現状、個人向けリースのサブスクリプションに限定された。これだったら、クルマが気に入ればそのまま購入すればいいし、手放したくなったり乗り換えたくなったりすれば中途解約も可能なので、オンライン購入に対する心理的ハードルは下がるだろう。

ローンチに合わせてラインアップされるのは「N-BOX」「フィット」「フリード」「ヴェゼル」の4車種。価格は5年契約の場合で「N-BOX」が3万1,060円~、「フィット」が4万2,550円~、「フリード」が4万8,850円~、「ヴェゼル」が4万8,460円~。自動車税やメンテナンス、延長保証などは価格内に含まれる。

  • ホンダ「フィット」

    ラインアップにはホンダの売れ筋車種が並ぶ(写真は「フィット」)

契約後の納車は、利用者が任意で選択した都内84カ所のホンダカーズで行われる。店舗の選択にあたっては、アプリに表示される口コミなど第三者の評価を参考にすることも可能だ。納車後の整備・点検や車検などのアフターサービスもその店舗が対応する。

「Honda ON」の利用エリアは当初、東京都内に限られるものの、今後は都市部を中心に全国に拡大していく予定。販売車種や販売形態についても随時、追加や見直しを行っていく方針だ。

スタートしたばかりだけに、「Honda ON」にはサービス拡充の余地が大いに残っている印象だ。まだチャレンジ段階なのだろう。しかし、自動車の未来を見据えた場合、世の中の変化に合わせてこうした取り組みが生まれる意味は非常に大きいといえる。今後、どのような発展を遂げていくのか注目していきたい。