「クリエイティブの力で企業や社会の課題を解決していきたい」と語るのは、映像制作を中心にデジタルマーケティングや企業ブランディングを手掛けるXYOU(エックスユー)の代表取締役社長・瀧澤壮氏。グーグルやヤフー、アマゾンに次ぐ検索エンジンとなったYouTubeを、企業は今どのように活用すれば良いのか? また、企業や経営者がSNSなどで情報発信する際のマナーや注意点にはどんなものがあるのか?
本稿では、税理士でありながら幾つもの事業を立ち上げてきた連続起業家のSAKURA United Solution代表・井上一生氏が、瀧澤壮氏と対談を行いました。
23歳で起業したクリエイティブ集団
井上一生氏(以下、井上):本日はありがとうございます。瀧澤さんは若き経営者なのですが、学ぶことが本当にたくさんあり、映像やデジタルマーケティング分野の頼れる存在です。まずは自己紹介からお願いします。
瀧澤壮氏(以下、瀧澤):ありがとうございます。XYOU(エックスユー)という、映像制作を中心にデジタルマーケティングやECサイトの構築・改修、企業や経営者の方のブランディングを行っている会社を経営しています。起業して3期目に入り、平均年齢28歳ほどの若い会社です。社員は15名ほどになっており、今後も増員していく計画です。
井上:瀧澤さんはまだ26歳ですから、23歳のときに起業されたのですよね。デジタルマーケティングは、中小企業や中堅企業にとっても、今後ますます必要とされると思います。どんな想いで起業されたのでしょうか?
瀧澤:クリエイティブの力で企業や社会の課題を解決していきたいというのが起業時の想いです。それは今も持ち続けています。XYOUという社名には、「X(かける)あなた」という意味を込めました。一般的な制作会社では、発注されたものを単につくることが多いのですが、私たちは「あなた」、それは企業や経営者の方だったり、社員の方々だったり、制作に関わるすべての人たちと一緒につくり上げていくことを重視したいと考えて、社名にそんな理念を込めました。
井上:大学を出て、すぐに起業されたのですか?
瀧澤:学生の頃から、フォトグラファーのアシスタント業をフリーランサーで活動していました。当時はクリエイターになることが夢だったのですが、アシスタントをしていると自分にはセンスがないことに気づき……。
井上:それで、ある種の挫折があって方向転換したというわけですね。
瀧澤:「挫折」というとカッコいいのですが、単に集中力がなかったという感じですね。だったら、プロデューサーの立ち位置になって、クリエイターの仕事を守る、仕事を確立する役割になろうと起業に至りました。
まだまだクリエイターの立ち場は弱いですし、報酬や給与も安い割に過酷な面もある。もちろん、ハードな仕事を乗り越えることも大切なのですが、やはりクリエイターの人たちの社会的なステータスを上げていきたいという気持ちもありました。
大学の卒業と同時に法人化を考えていたのですが、父親が経営者だったので「経営をもっと知った方が良い」と言われて。それで、渋谷にあるベンチャー企業で10か月だけ働きました。その後に法人化したので、結果的には23歳での起業になりました。
井上:お父さんのアドバイスがあったわけですね。
瀧澤:起業してから、父親とよく連絡を取るようになりました。今では、ほぼ毎日連絡を取っていて、一緒にプロジェクトも立ち上げています。起業したことで、家族としてもより良い関係になったと感じています。
YouTubeに動画がないことは「存在しない」のと同じ
井上:企業が動画、今ならYouTubeを活用しようと考えたとき、商品やサービスの紹介だけでなく、ブランディングや採用の面でも活かせると思うのですが、瀧澤さんにとって企業のYouTube活用はどのように映っていますか?
瀧澤:そうですね。YouTubeは、もともとは動画を見るためのプラットフォームだったのですが、今では第3の検索エンジンになっています。検索エンジンというと、グーグルやヤフーが一般的ですが、最近はYouTubeの検索窓から社名や経営者の方の名前、商品名などを入力してYouTube内で検索している。動画を見るためのプラットフォームではなく、なにかを調べる(知る)ためのプラットフォームになっています。
ですから今は、「社名や経営者名でYouTube検索されること」を前提にする必要があります。
YouTubeはまだまだ未成熟なプラットフォームなのですが、「社名や商品名で検索して動画がない」ということは、イコール「アクセスできない」「知ることができない」「(YouTube上に)存在しない」ということになってしまうわけです。
井上:なるほど、ということは「まずはYouTube上で手をあげる(存在する)」ことが必須ですね。
瀧澤:そうなりますね。「起業したらホームページを必ずつくる」ようには、すでになっていると思います。YouTube上に動画が存在することも、それと同じです。存在しないこと自体がマイナスに働いてしまいます。
映像は、「伝える能力」がとても強いメディアです。言葉や音、顔、表情、所作……などなど、とにかく情報量が多い。例えば、人柄って文章だけでは伝わりにくいのですが、動画であれば一瞬で伝わってしまうこともあるわけですよね。
井上:「自分はこういう人間である」ということを、動画やYouTubeで伝えることは、今後ますます重要になりますね。
(次回に続く…)