映画『空白』(9月23日公開)の公開初日舞台挨拶が23日に都内で行われ、古田新太、松坂桃李、田畑智子、藤原季節、伊東蒼、寺島しのぶ、吉田恵輔監督(※吉はつちよし)が登場した。

  • 左から寺島しのぶ、古田新太、松坂桃李

    左から寺島しのぶ、古田新太、松坂桃李

同作は吉田恵輔監督によるオリジナル作。スーパーの化粧品売り場で万引き現場を店主に見られ逃走した女子中学生が、乗用車とトラックに轢かれ死亡してしまい、父親・充(古田新太)は「娘が万引きをするわけがない」と信じて疑念をエスカレートさせ、事故に関わった人々を追い詰める。一方、事故のきっかけを作ったスーパーの店主(松坂桃李)、車ではねた女性ドライバーは、父親の圧力にも増して、加熱するワイドショー報道によって、混乱と自己否定に追い込まれていく。

主演で重いシーンが多かった古田だが「非常に楽で楽しい現場でした。皆さん早く帰りたい人が多くて、なるべくNGをださないよう、滞りなく進むように」と振り返り、「特に桃李とのシーンとか、(田畑)智子とのシーンとか、いや全部そうか、季節とも花音とのシーンもそうなんだけど、ものすごい刺々しいシーンばっかりだったんで、(緊急事態宣言前だったため)その反動で終わったらすぐに飲みに行こうって感じでしたね。でも桃季は役作りする人なんであんまり仲良くしてくれなくてね」とぼやく。松坂は「毎シーン毎シーン、古田さんとのシーンのカロリー消費量が半端なくて、とてもじゃないけど飲みに行く気力がないというか。毎回僕は『お疲れ様でした』と疲弊してしまってホテルに帰ってたのですが、なぜ監督含め皆さん、飲みに行けるのか不思議でしたよ」と苦笑していた。

同作で印象的なシーンについて、松坂が考え込むと、古田は「1番辛かったのは、(寺島)しのぶちゃんとのシーンでしょう?」とつっこむ。松坂は「学生時代にスーパーのバイトをしていたことがあって、寺島さんは当時のパートの人と雰囲気がすごく似ていて。距離感というか間合いがとてもリアルで、バイト時代を鮮明に思い出しました、そのままのリアクションでいけるというか……いや、すみません」と恐縮。寺島は「それは嬉しい。人間観察が好きで。今回草加部を演じるにあたり、『こういうおばさんがいたら絶対嫌だろうな』というのを集結させて演じました。でもスクリーンの中で生きている草加部さんはとっても必死なんです」と役作りを明かす。松坂に迫る古田と寺島の迫力について、古田自身は「めちゃくちゃ楽しかったよね。ゴジラVSコングだから、その間に人間が入ってくるわけだから、そりゃ大変だよ」と答え、松坂は「そうですね、その日は終わったらすぐに帰りたかったですね」と心境を吐露し、笑いが怒っていた。

松坂について、吉田監督は「桃李も突然古田さんが現れたりとサプライズの多いシーンばかりで。テストで何回もやっていて、普通は回を重ねるごとに段々温度が下がっていくけど、毎回新鮮なまま芝居をしてくれて。技術力がすごいのか、単に忘れているのかわからないけど毎回新鮮な芝居をしているのがすごいですよね」と称賛。松坂は「忘れてるんだと思います。古田さんとここまでがっつりやるのは今回が初めてで。前回はクマとお父さんの関係で声の仕事だったので、今回は嬉しかったです」と語る。「実際にお芝居をしていると本当につらい気持ちになってくるんですよね、今回の関係性的にいうと。そういう芝居を共有するのは本当に楽しかった。今度は違う関係性で、もっと仲の良い関係性で次はご一緒したいなと思います」と今後の共演も希望した。