ルーツ・スポーツ・ジャパンは9月16日、「サイクリスト国勢調査2021」を発表した。同調査は7月1日~12日、全国の15歳~74歳の男女10,000人を対象に、インターネットで実施した。

  • サイクルツーリズム行動 1回あたりの消費内訳

自転車に乗ったことがある人の割合は81.1%だった。そのうち、サイクルツーリズムの経験者は55.6%で、直近1年以内での経験者は18.2%だった。サイクルツーリズムの国内マーケットは、全体として年間約1,315億円。1年以内の経験人数は減少しているが、消費総額は増加している。

サイクルツーリズムで地域を訪れる際の予算は、1回1人あたり平均約3.7万円(2018年比 約+0.6万円)だった。前回と比較すると、「宿泊施設」以外は予算額が上昇している。特に予算額が上昇しているのは、温泉・銭湯の1,025円、飲食店1,000円だった。宿泊できない分、他の消費に回している可能性が考えられる。

走った地域についての評価は、76%が「その地域をまた自転車で走りに来たい」と回答した。また、75%が「この地域のことを友人にお薦めしたい」、72%が「自転車以外でまた観光しに来たい」と回答している。

  • 走った地域についての評価

サイクリストのセグメンテーションを分析すると、「日常の移動手段層」が減少し、それ以外のセグメントは微増した。特に「サイクリングイベント層」の増加が顕著となっている。元々移動手段として利用していた層が、アウトドアアクティビティなど別の用途での自転車利用に流れている可能性も考えられるという。

ライトユーザー層は、コロナの影響でツーリズム行動を控える人がいる一方、アクティべ―トされた人もおり、ツーリズム行動に明暗が分かれたと考えられる。市場構成比率の高いライトユーザーの中で、積極的にサイクリングを嗜好する人がツーリズム消費額を増やしたことで市場を牽引している。

コロナが収束した場合の自転車利用意向について聞くと、「日常の移動手段として」は半分以上が利用したいと考えていることがわかった。「移動手段」「健康目的」は年代問わず利用意向が強く、コロナ収束後も定着するものと考えられるという。レジャー用途としての意向も30%を越え、特に若年層では40%を越えている。

  • コロナが収束した場合の自転車利用意向

直近1年以内にサイクルツーリズムを経験している人は、2018年よりも地域での体験の幅が広くなっていることがわかった。コロナ後からサイクリングを開始した人は、「アクティビティ」や「地元ガイドによる観光」を多く行っている。

参加人数についての設問では、2018年・コロナ前後での開始で比較しても、1人での参加は減少している。一方、配偶者や子ども、父母といったファミリーでの参加が特に増えていることがわかった。外出機会が減ったことによりアウトドアのアクティビティを求めて旅行・レジャーの手段としてやツーリングの用途で開始している。

一方、「サイクリングイベント」「ツーリング」ともに2割程度は行動を控えている。特に「サイクリングイベント層」「レース層」はイベント参加を控えている割合が高かった。