セイコーエプソンは9月10日、世界15の国・地域を対象に実施した「気候変動に関する意識調査」の結果を発表した。同調査は8月6日~11日、世界15の国・地域(※)に住む16歳以上の1万5,264人を対象に、インターネットで実施した。

生きている間に、気候変動による自然災害を避けられると思うか尋ねたところ、46%が「"非常に"または"やや"楽観的」であり、避けられると思うと回答した。「"非常に"または"やや"悲観的である」という回答(27%)を大幅に上回っている。

楽観的な考えを後押ししている理由としては、「気候変動に対する人々の認識の高まり」(33%)、「科学技術を利用した問題解決」(28%)、「再生可能エネルギーへの移行」(19%)が多かった。また、回答者の5%近くは気候危機が起こるとは全く考えていないことがわかった。特に米国(11%)、ドイツ(7%)、英国(6%)で、そう考える回答者の比率は高い。

一方、日本では悲観的(47%)、楽観的(25%)と、リスクを感じている人が調査した国や地域の中で最も多かった。その理由としては「人々が気候変動の危険性を認識していない」(37%)や「科学技術の利用では問題を解決できない」(27%)といったもので、いずれもそのスコアが、他の国や地域より高くなっている。

気候変動と、「気温の上昇」(77%)、「異常気象」(74%)、「山火事」(73%)との関連性を認識していたのは、回答者の約4分の3だった。対照的に、「飢餓」(57%)、「大規模な人口移動」(55%)、「虫の急激な増加」(51%)などの現象については、気候変動との関連性を認識している回答者は約半分となっている。

この設問に関しては大きな地域差があり、気候変動と飢餓の関連性を認識している人の割合は台湾(72%)で最も高く、米国(44%)で最も低かったという結果でした。日本では、異常気象(69%)や山火事(55%)等のスコアをはじめ、全体よりも関連性の認知は低い結果となった。

気候変動の緊急事態に取り組む責任はだれだと思うか尋ねたところ、27%が「政府」、18%が「企業」と答えた。「企業」という回答は特にインドネシアが最も高く(30%) 、中国とドイツでは最も低い(11%)。最も多い回答は、「誰に責任があるというわけではなく、みんなが行動を起こさないと意味がない」(31%)で、特に日本では40%と高かった。

再生可能エネルギーに切り替えることに賛成する(実行しているまたは計画している)か尋ねると、78%が「はい」と答えた。「すでに実行している」は29%、「よりサステナブルな製品に切り替えること」は82%が賛成している。すでに実行しているものとして、「植物性中心の食生活をすること」に賛成しているのは58%、実行しているのは27%だった。例えば「サステナブルではないブランドを買わない」といった比較的シンプルな選択肢でも、63%は賛成だが実際に買い物の習慣を変えた人は29%に留まっている。

この結果から、気候変動との関連性を認識して行動を起こす必要性を感じていながら、日本を含む調査したすべての国や地域において、まだ行動に至っていない人も多いことがわかった。

「気候変動への取り組みは大企業に最も責任がある」と認識しているのは15%、「中小企業に最も責任がある」と認識しているのはわずか3%だった。

※アメリカ、ブラジル、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、シンガポール、日本、韓国、台湾