常に意欲的なヒーローキャラクターを創造し、スリリングかつハートウォーミングなストーリーで幅広い年齢層から支持されている「仮面ライダー」シリーズに、また新たな風を吹き込む作品が登場した。

2021年9月5日から放送される『仮面ライダーリバイス』は、前代未聞の「悪魔と契約する仮面ライダー」。五十嵐一輝はリバイスドライバー(変身ベルト)と「バイスタンプ」の力によって仮面ライダーリバイに変身し、一輝に何かとまとわりつく「悪魔」バイスは、一輝が変身するのと同時に「仮面ライダーバイス」という名の仮面ライダーとして実体化を果たしている。

  • 木村昴(きむら・すばる)。声優・俳優・ナレーター・ラッパー。1990年生まれ。ドイツ出身。7歳のころ日本に移住し、芸能活動を開始。中学時代『ドラえもん』声優オーディションに合格したことにより、2005年からジャイアンの声を演じる。声優としてアニメ・ゲーム・洋画吹き替えなどで活躍する一方で、テレビバラエティ『おはスタ』(メインMC)や映画、舞台公演、歌手など幅広い分野で精力的に活動を行う。撮影:大門徹

すでに映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』の同時上映作として、劇場版『仮面ライダーリバイス』がテレビに先がけて公開され、いち早くリバイとバイスのアクションを目に当たりにしたファンの方々も多いことだろう。

『リバイス』でひときわ強烈な印象を残すのは、大事な話のときでも、間が空いているときでも、休まずしゃべり続けている悪魔バイスの濃厚すぎる個性だといえる。とにかく、映画の始まりからエンディングタイトルまで、ひたすらバイスが軽いノリを崩さず、ずっと何かおしゃべりをしているのには、ものすごいインパクトがあった。

ここでは、一輝の身体の中に宿る悪魔バイスの声を演じる木村昴にインタビューを敢行。国民的アニメ『ドラえもん』の人気キャラクター「ジャイアン」の声をはじめ、多彩な作品で幅広い年齢層から人気を集めた木村が、声優として初の「仮面ライダーの主役」をつかみ取り、さらには主題歌の歌唱までをも担当する。インタビューでは、仮面ライダーシリーズにかける思いや、バイスが子どもたちに愛されるキャラクターに育ってほしいという願いを語ってくれた。

――木村さんが『仮面ライダー』シリーズに声優として出演されるのは、本作が初めてなんですね。

そうです。スーパー戦隊シリーズでは『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2018年)のナレーションと「セイザブラスター」の音声をやらせていただきましたが、「仮面ライダー」をやるのは初めてです。

――『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』の本編中、そして同時上映の劇場版『仮面ライダーリバイス』でリバイとバイスがお披露目されましたが、バイスが画面に映っている間ずっとしゃべり続けているのが強烈な印象として残っています。

バイスって奴は一輝にしか見えない、実体のない存在なんですが、一輝が仮面ライダーリバイに変身すると、バイスも仮面ライダーバイスとして実体化する。だから変身さえすれば、お風呂にも入ることができるんです。この設定を聞いたとき、むちゃくちゃ面白いなって思いました。映画のラストで、変身後のリバイとバイスが2人並んで湯舟につかっている画がすごいシュールで最高ですよね。これからバイスを演じるにあたっては、彼のお調子者でひょうきんという部分をたっぷり感じていただくことができればと思っています。

――あのセリフの量は、台本のとおりなのでしょうか。

なんでバイスがあんなにいっぱいしゃべっているかというと、ほとんど台本には書かれていないアドリブのセリフだからです(笑)。台本上では、あそこまでセリフが多いわけではないのですが、スーツアクターさんがずっとアクティブに動いていますし、せっかく声優の僕が加わるんですから、いっぱい声が入っているほうが「お得感」あるかなと思ったんです。監督には最初「俺、多めに声を入れておきますんで、いらないところがあったら削ってくださいね」みたいに言いました。いっぱいしゃべっておいて、その中から監督がよさげなセリフを残してくれるかな、と思っていたら、しゃべった言葉がほぼぜんぶ残っていました(笑)。だから、バイスがとんでもなくしゃべっている感じになったんですね。

――スーツアクターさんの演じるバイスをご覧になったときの印象を教えてください。

台本上でバイスのセリフが書いてあるところの動きはもちろん、それ以外のところでもバイスのアドリブ的な動きがすごく多かったんです。せっかくスーツアクターの方があんなに動いてくださり、リアクションしているのに、その画に声が入っていないとおかしいと思いました。それで、バイスが何か動くたびにアドリブで声を入れていったんです。