今回の番組では、総合司会に新人女性アナウンサー3人(小山内鈴奈アナ、小室瑛莉子アナ、竹俣紅アナ)を抜てきしたことも注目を集めた。この起用の背景にあったのも“生放送のハプニング感”だったという。

「エースアナウンサーがつつがなく進行するのもいいんですが、どうなるのか分からないというところで、面白くなる可能性があるかなと考えました。頑張って成功すれば良し、仮に失敗してもそれをみんなで支えながら楽しんでいただくというのも、やっぱり生放送の良さを生かせる部分だと思うんです」(中嶋氏)

「間が悪かったり、テンポが悪かったりしても、あれだけのMC陣の皆さんが囲んでいますので、そこも面白いことになるのかなと思って起用しました。ただ、不安なところもあったので、ベテランの伊藤利尋アナにいつでも“天の声”が出せるよう、計9時間ブースに入ってスタンバイしてもらいました(笑)」(萬匠氏)

  • (左から)小山内鈴奈アナ、小室瑛莉子アナ、竹俣紅アナ (C)フジテレビ

2日間のフィナーレを飾ったのは、MC陣による「明日があるさ」の歌。「コロナ禍の状況で、メッセージ性がある歌なので、“歌と笑いの融合”を目指した番組のエンディングにふさわしい曲」(萬匠氏)と選ばれた楽曲だ。かつて、ダウンタウンら吉本興業の所属タレントで結成したRe:Japanがカバーして『NHK紅白歌合戦』に出場した歴史もある上、「作詞の青島幸男さんこそ、音楽と笑いの融合を象徴する方」(中嶋氏)と、まさに今回の番組の最後にうってつけの曲だった。

その上、中居にとってステージで歌を披露するのは久々のことで、「ほんと5年ぶりだからね(笑)」と強調していたそう。松本が歌声を聞かせるのもめったにないことから、「最後にすごくプレミア感と温かみのある映像がお届けできたと思います」(萬匠氏)と、満足のいくエンディングとなった。

■「やれることは全部やる」最大限の感染対策で生放送

一方、このコロナ禍の中での大型特番には、テレビ画面からだけでは分からない苦労もあったようだ。長時間の特番を実施するからには、「やれることは全部やろうという方針」(中嶋氏)で、最大限の感染対策を行った上で生放送に臨んだ。参加スタッフとお笑いネタの観覧客にPCR検査を受けてもらい、出演者サイドにも感染対策や確認に最大限の協力をしてもらうなど、できる限り感染リスクの少ないスタジオにするよう心掛けたという。

さらに、トークコーナーのスタジオは、出演者同士の距離をとった上でアクリル板を設置し、出演者が入れ替わるごとに消毒を徹底。距離があると相手の声が聞こえなくなるおそれがあるため、出演者の足元に小型スピーカーを設置することで、遠くの相手とでも会話にストレスがないように工夫を凝らした。

中居は本番2時間前にスタジオに入り、「『これだと松本さんが聞こえないかな』とか、『ここのアーティストの声はもう少し厚めに出したほうがいいね』とか、とても細かくチェックしていただきました」(萬匠氏)といい、「技術スタッフ、美術スタッフを含め、みんなが知恵を集めて工夫してくれました」(中嶋氏)と、チームで感染対策に取り組んだ。

事前の打ち合わせは「これだけの大型番組なので、MCの皆さんで1回集まって関係性を深めてから本番に臨みたいところではあったのですが、今回はそういうことができる環境ではなかったので」(萬匠氏)ということで、個別に実施。その結果、番組の顔であるポスタービジュアルは「皆さんの宣材写真や過去の在りものの写真を組み合わせて作らせていただきました」(中嶋氏)とのことだ。

そして、本番のスタジオは最小限の人数で収め、タレントの関係者は楽屋のモニターで見学。こうした対策を行った結果、生放送終了から5日経った9月3日現在、スタッフ・出演者・関係者から、感染者は1人も確認されていないという。中嶋氏は「皆さんにご協力いただいたおかげだと思います」と感謝した。