「先だって」には「前もって」「先に」という意味があります。ビジネスシーンで利用されることが多い言葉です。この記事では、先だっての意味や正しい使い方、類語などをくわしく紹介します。
「先だって」とは
先だってという表現は日常生活ではそれほど使う機会はありません。一方でビジネスシーンでは頻繁に使われるので、意味を正しく理解しないまま口にしているというケースも多いようです。ここではまず先だっての意味についてくわしくご紹介します。
「先だって」の読み方
先だっては「せんだって」または「さきだって」と読みます。読みはどちらでも間違いではありませんが、「先達て」と表記している場合は「せんだって」、「先立って」と表記している場合は「さきだって」と読むのが一般的です。
「先だって」の意味
先だってには2つの意味があります。ひとつは先日、先に出かけて、前もってといった「事前に何かをする」という意味。そしてもうひとつが順序が前になる、先頭になる、率先するといった意味です。いずれにしても「先」という字が意味する、先に、前にといった意味で使われる言葉になります。
「先だって」の使い方・例文【ビジネスシーン別】
いくつかのシーンにわけて先だっての使い方を紹介します。
「先だって」の使い方・例文【ビジネスメール】
メールで使える先だっての例文を紹介します。
先だってご連絡した〇〇の件ですが、いかがなさいますか?
この場合、事前に連絡した件についての確認をしたいときに使うことができるフレーズです。「先日ご連絡した件ですが」といった言葉に置き換えることができますが、言い回しのバリエーションとして覚えておくとよりコミュニケーションを円滑にできます。
「先だって」の使い方・例文【会話】
続いて、先だってを会話中で使用する場合のパターンをいくつかご紹介します。
先だっては、大変お世話になりました
この言い回しでは「先日は大変お世話になりました」といった意味で使うことができます。再会した際の挨拶の言葉や、何かをいただいた際のお礼などにも使えます。
先だって起こったことは、後に重要な意味を持つことがわかった
以前起こったことは~といった意味で使われます。先だってという言葉はビジネスシーンで使われることが多いため、丁寧な表現と組み合わせて使われるイメージがありますが、日常会話的な口語でも使われることがあります。
ひとつ目のチームは先だって現地に入っています
こちらは先に出発して、または事前にといった意味で使われます。この使い回しもビジネスのみでなくさまざまなシーンで使うことができるので先だってを使ったフレーズとして頭に入れておきましょう。
「先だって」の使い方・例文【目上の人】
先だってはビジネスシーンで使われることの多い言葉なので、目上の人に対して使うケースも多いでしょう。目上の人に対して使っても失礼にはあたりません。敬語表現というわけではありませんが、その後に敬語表現を続けることによって、丁寧な言い回しになります。
先だっては、大変お忙しいなかご足労いただきまして、ありがとうございました
このように、社外の方へのお礼の言葉などにも使うことができます。
「先だって」を使うときの注意点
先だってという表現を使う際の注意点をいくつか紹介します。
間違った使い方に気をつけよう
先だってには「先だってより」という表現があります。これには「以前から」といった意味がありますが、使用の際には注意が必要です。言葉として間違っているわけではありませんが「より」という言葉は、大小を比較したり「午前10時より」といったりするように、比較する場合や時間などの起点を示す場合に使われます。
「先だってより」の場合は、どこかの起点を示す形で使われていますが、現在ではこの起点を示す使い方の場合「より」ではなく「から」を使うというケースが増えています。間違った解釈を防ぐのであれば「先だってより」ではなく「先だってから」という表現を選ぶべきでしょう。
似ているが意味が違う言葉もある
先だっての他にも「先」という字を使った「先日」などいくつかの言葉があります。先だってと響きや意味が似ていても使えるシーンが限定されているケースもあるので、置き換えの際には注意が必要です。
先だってより他の言葉の方が適切な場合も
先だっては、ややかたい印象を与える表現でもあります。そのため「以前」や「先日は」といった類語に置き換えた方が自然なケースもあります。使用する相手などに合わせて使いわけることが大切です。
「先だって」の類語・言い換え表現
先だってはさまざまなシーン、相手に対して使うことができる言葉ですが、置き換えできる言葉をいくつか頭に入れておくことによって、より表現の幅が広がります。続いては先だってと置き換えられる類語をご紹介します。
以前
早い時期に、事前にという意味で先だってを使う場合は「以前」という言葉と置き換えることができます。先だってよりも日常的に使う機会の多い言葉なので、よりわかりやすく表現したい場合や、よりカジュアルなやりとりの際に置き換えることができます。
ただ、意味によってはそのまま置き換えることができないので注意しましょう。あくまで、現在よりも前にといった意味で使う場合に限られます。
先に
先だってをより簡単に表現するのであれば「先に」と置き換えることができます。「先に」には前に、以前にといった意味があるので、多くの場合先だってと置き換えることができます。
先だってという言葉は日常会話ではあまり使われないので、ビジネスシーンだとしても、ややかたい印象になってしまいます。そこで、少しソフトにしたい場合は「先に」と置き換えるのもいいでしょう。
先だちまして
先だっては文脈によっては「先立ちまして(さきだちまして)」という形に変化することがあります。
開演に先立ちまして、ご来場のお客様にお願いがございます
舞台やコンサートなどの開演前のアナウンスなどでよく使われるフレーズです。この言い回しは、イベントやセミナーなどで司会をする際にも使いやすいので頭に入れておくといいでしょう。
先だってを英語表現すると?
先だってのニュアンスまでそのまま英語に置き換えるのは難しいですが、近い過去を表す「recently」や「the other day」「some time ago」といった言葉で表現できます。直訳すると「少し前」「最近」といった意味ですが先だってを訳すことができます。
先だっての使い方を正しく理解しよう
先だってには、「前もって、以前は、先日は」といった意味があります。ビジネスシーンで使われることの多い言葉なので、意味を知るだけでなく使い方についてもしっかりと理解することが重要です。今回は、意味とともに例文で使い方についてもご紹介しました。これらを参考にして先だっての意味を正しく理解しましょう。