BPO青少年委員会は24日、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」を審議入りすることを決めた。対象は在京キー局などで放送された番組で、個別の番組を取り上げるものではないとしている。

BPO事務局の入る千代田放送会館

同委員会ではこれまでも、バラエティ番組における同様の表現について、見解を示してきた。

2000年11月には、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)のコーナー「しりとり侍」に対し、「大勢で一人を叩き、仲間で笑いものにする場面はいじめの形にきわめて近いものがあり、こうしたシーンを繰り返し放送することは、暴力やいじめを肯定しているとのメッセージを子どもたちに伝える結果につながると判断せざるを得ない」とする意見を公表。これを受け、同コーナーは打ち切られた。

それから7年が経過した2007年10月には、「罰ゲーム」に代表される「出演者の心身に加えられる暴力・性的表現」に関し、「青少年の人間観・価値観を形成するうえで看過できない」として、NHK・民放連加盟放送局に、遺憾の意を表明。7年前に出した委員会の要望が「遵守されているとは言い難く、改めてさらなる検討を要望したい」と訴えた。

さらに14年が経った今、再び審議することになったのは、視聴者やBPOの中高生モニターから、出演者に痛みを伴う行為を仕掛け、苦痛を笑いのネタにする番組について、「不快に思う」「いじめを助長する」などの意見が継続的に寄せられているからだという。

これを踏まえ、今年6月22日開催の委員会で「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」をテーマに討論を進めていくことを決定。視聴者意見が寄せられた複数の番組を視聴した上で討論した結果、「青少年に与える影響の重大性に鑑み、このテーマの審議入りを決めた」としている。

7月に開催された委員会では、中高生モニターから「ドッキリ系」「芸人が相手の苦痛を笑いのネタにする」バラエティ番組について、賛否の意見が出た。

「自分は相手にけがをさせたり、嫌な気持ちにさせてしまうドッキリは許容できないと考えています」(群馬・高校1年・男子)、「人を傷つけるような内容はよくないと思います。難しいのは、傷つけるつもりではなくても、とらえかたは人それぞれなので、相手のことをよくわかったうえで考える必要があると思います」(東京・中学1年・女子)という意見。

一方で、「ドッキリにかけられた芸能人が本当にドッキリが苦痛で、嫌でたまらないと思っているのならば、もっと本気で怒ると思うのと、NGを出すと思う。私たちが勝手に『苦痛』だと決めつけるのは、あまり良くないと感じた」(千葉・中学2年・女子)、「自分自身は昨今のバラエティー番組において苦言を呈する点はそこまでないと考えている。問題とされている相手の苦痛を笑いのネタにするという行為も需要があるからこそ供給をしているわけであり、そのネタによって気持ちが好転するということもしばしばある」(神奈川・高校2年・男子)といった声も寄せられている。