1日目午前中から盤上に火花散る展開

藤井聡太王位に豊島将之竜王が挑戦している将棋のタイトル戦、お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負(主催:新聞三社連合)第4局が8月24、25日に徳島県「渭水苑」で行われています。藤井王位が3勝1敗でタイトル防衛まであと1勝に迫って迎えた本局。藤井王位が王位初防衛を果たすのか、それとも豊島竜王が踏み止まるのか、注目です。


お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負の勝敗表

2日前の22日に行われた叡王戦第4局は、豊島叡王の圧勝でした。藤井王位の陣形の弱点を的確に突いて中盤の入り口で優位に立つと、そのまま押し切るという完璧な内容での勝利。藤井王位をして、「勝負所を作れなかった」と言わしめました。

その翌日、両者は本局のために徳島に移動し、対局場検分を行いました。その際に行われたインタビューで、藤井王位は「ここまで内容的には押されているところがある。修正していきたい」と語り、スコア上は優位に立ちながらも、危機意識を感じている様子。一方の豊島竜王は「普段通り自然体で臨みたい」とコメント。カド番で迎えた本局でも焦りはなさそうです。

24日の9時に始まった対局は、藤井王位が先手番で相掛かりを選択しました。これで王位戦第4局、叡王戦第4局に続いて、両者の対戦では3局連続での相掛かりです。その前の5局(王位第2・3局、叡王第1・2・3局)は全て角換わり。同じ戦型を両者納得するまでとことん続けるのがこのカードの傾向と言えそうです。

藤井王位は▲2四同飛~▲7四飛と飛車を大きく使って、序盤で1歩得を果たします。もちろん、この7四の歩を取らせるのが豊島竜王の作戦。先手が飛車の動きに手数をかけている間に、銀を足早に繰り出していきます。

8筋に歩を打たない強気な順を選択した藤井王位に対し、豊島竜王は早速それをとがめに出ます。△8六歩と歩を垂らしたのがそれで、次に△8七歩成でと金を成れればゲームセット。藤井王位は▲8四歩の犠打を放って後手の飛車を呼び込み、▲6六角~▲8八銀~▲8五歩で歩成を防ぎました。

1日目午前中から8筋をめぐる激しい攻防が繰り広げられている本局。豊島竜王としては、垂らした△8六歩を生かせる展開にしたいところ。この歩を拠点にして飛車・角・銀で攻める展開になれば形勢が良くなるでしょう。対する藤井王位は、この垂れ歩を取り切るなどして8筋を収めたいところ。そうなれば歩得が生きる展開になり、優位に立てそうです。

二日制対局の王位戦は、本日は封じ手が行われ、決着は明日の夕方から夜になる見込みです。

1日目朝、対局室に入る藤井王位(右)と豊島竜王(提供:日本将棋連盟)
1日目朝、対局室に入る藤井王位(右)と豊島竜王(提供:日本将棋連盟)