狂言師の野村萬斎が、10月にスタートするテレビ朝日系ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(毎週木曜21:00~)新シリーズに出演することが分かった。野村が民放の連続ドラマに出演するのは初となる。

  • 左から米倉涼子、野村萬斎=テレビ朝日提供

「いたしません」「私、失敗しないので」のセリフでおなじみの、米倉涼子演じるフリーランス外科医・大門未知子が、病院組織で数々の騒動を巻き起こしながらも、外科医の本質である手術や治療を成し遂げるため、一切の妥協を許さず突き進む姿を描く大ヒットドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』。

今回未知子の“最強の敵”として立ちはだかる新キャラクターを、狂言界の至宝・野村が演じることに。伝統芸能の普及に尽力しながら、1985年には映画『乱』で銀幕デビューした野村。映画『陰陽師』シリーズ(01年、03年)でブレイクし、近年では映画『シン・ゴジラ』(16年)でモーションキャプチャーを使ってゴジラを演じたり、アガサ・クリスティーの名作を三谷幸喜の脚本で描いたスペシャルドラマでエルキュール・ポアロを演じたりと、常に話題を呼んできた。

2年ぶり10年目に突入する第7シリーズの舞台は、100年に1度のパンデミックによって世界中で医療崩壊が起こる中、新局面を迎えた日本最高峰の大学病院「東帝大学病院」。今や感染治療と内科を最優先し、不要不急の外科手術は延期する方針を採用。かつて花形だった外科は別棟の分院へ追いやられ、メスを使わない「ケミカルサージェリー」を推進する内科が台頭の兆しを見せていた。

その舵を取っているのが、野村演じる内科部長・蜂須賀隆太郎。蜂須賀は院長代理も兼任する元外科医で、超がつくほどの完璧主義者ゆえに99点のオペでも自分を許せず、内科医に転科。外科手術をゼロにし「薬治療」と「ケミカルサージェリー」を軸にした内科主導の組織変革を目論む蜂須賀は、未知子の「失敗しない」オペを目の当たりにし、利用しようとする。

どんな状況下でも権力に屈さず、目の前の患者を救うために突き進む未知子。かたや「政治・行政・医療が三位一体となり、現在の緊急事態に立ち向かうべきだ」という熱い理念を持ちながらも、時に冷徹に、歯向かう者を斬り捨てる蜂須賀。シリーズを通しての2人の戦いに注目だ。

米倉はクランクインの感想を「撮影初日から未知子の決めゼリフ『私、失敗しないので』を言えて気持ちよかったですし、『ついに帰ってきたな!』という実感が湧きました」と述べ、野村について「とっても穏やかで、素敵な方です。狂言の世界で極められている国宝級の体の動きなど、私が持っていないものを、何かひとつでも萬斎さんから学べたらいいな、と思います」と思いを寄せた。

野村は「長いシリーズとなっている素晴らしい作品に、敵役で出演させていただき、光栄です」と喜びをあらわにし、初めての医師役について「『やはり白衣を着ると、気持ちもお医者さんになるのだなぁ』と実感しました。意外だったのは、白衣は薄く見えて、実際に着ると暑いということ。今回はボスキャラ・チックに身体を少し大きくしたので、そのせいもあるのかもしれませんけど(笑)」と話す。

米倉とは「以前お酒の席でご一緒したことがありましたが、共演するのは初めて」だといい「普段からとても気さくな方ですし、演技もこの役を長年演じてらっしゃるだけに確立されていて、感心しました。また、現場も米倉さんや監督を中心にチームワークが取れていて、撮影もテキパキと進む!」と印象を語った。

そして「今回は医療現場の現状にメスを入れるシリーズ。僕自身も蜂須賀という役を通して多面性を見せられるのではないかと思いますし、ぜひ最後まで見届けていただきたいです」と呼びかけた。