お笑い芸人のケンドーコバヤシが主催するお笑いライブ「地獄寄席(じごくよせ)」が、東京・世田谷区の北沢タウンホールで8月29日18時より開催される。出演者も内容も謎だらけの同ライブの話を伺うべく設定された取材日は、8月18日。奇しくもその前夜に雨上がり決死隊が解散した。翌18日、神妙な面持ちで現場に現れたケンコバが放ったのは「お笑い界は破滅する」という言葉だった。
蛍原徹と宮迫博之の2人による最後の晴れの舞台となった『アメトーーク 特別編 雨上がり決死隊解散報告会』。17日夜にYouTubeなどで配信され、お笑いファンの多くがその一部始終を目撃した。出川哲朗や藤本敏史の涙が全てを物語っていた。重ねて話を聞くのは野暮だと考え、「地獄寄席」の話に徹しようと思っていた。
ケンコバは、ぶっ飛んだトークで笑いをとりつつ、落ち着きと優しさも兼ね備えた中堅芸人。中堅と位置づけられているが、業界のベテランだ。そんな世間のイメージと現実を重ねようとしたが、目の前の本人はコーヒーをすすり、不気味なくらい淡々としていた。雨上がり決死隊の解散が何か尾を引いているのだろうか。思わず正座してしまった。
「地獄寄席」の話を振ると、いつもの低い声で「ここ数年、宮迫さんやTKOの木下さん、アンジャッシュの渡部が地獄にハマった。でもあんなもの、この世の地獄芸人たちに比べたら平穏そのものですよ。家のご近所みたいなもの。日なたです。『地獄寄席』の出演者の中には受刑者もいれば、旧ソビエトで超人芸人に育てられた実験的な芸人もいる。北沢タウンホールでもっとディープな恐ろしい地獄を見せますよ」と愉快そうに語るが、真面目な話も少し……と切り出すとすぐ真顔になった。
昨今、ネタ番組が増え、さらにお笑い芸人があらゆる方面へ進出して活躍している。最近のお笑い界をどう見るかと尋ねると、ケンコバは「もうすぐ破滅するんじゃないですかね、マジの話」と口火を切った。
「いよいよお笑い芸人側が、お笑い論を語る時代になってきました。人気番組も今そういうものが多いじゃないですか。“芸人としての心構え”とかそういうのを語る番組が。『あ、これはもう近々破滅するな』と思っています。それは過去の色んなエンターテインメントの歴史が証明しています。一度プロレスが地に堕ちたのも、そういうところありますからね」
ただし「おそらく俺は巻き込まれません」と主張する。「正直、今お笑いを語らない、そこに巻き込まれない人を考えたら、マジで残るの俺と村上ショージさんくらい。あとは全員語っている。恐ろしいことになると思いますよ」