桃が美味しい季節になりました。スーパーや青果店で様々な桃が並んでいますが、その桃、どんな品種だか知っていますか……?

書籍『いちごだんめん図鑑』『りんごだんめん図鑑』『かんきつだんめん図鑑』(いずれも小学館刊)の著者・わたなべ まこさん(@danmenzukan)による、桃の品種と断面図を家系図のように図解化した「桃の家系図2021」がツイッターで話題になっています。

桃好きの皆様、お待たせしました。約3年ぶりに #桃の家系図 2021が完成したので公開しまーす\(^o^)/
いつも通り、クレジット消さなければご自由にお使い頂けます。印刷して壁に貼ってもよし、スマホに落として持ち歩いてもよし、お好きにお使い下さいませ
#桃の断面図 #わたなべまこ(@danmenzukanより引用)

  • (わたなべまこさん @danmenzukanより引用)

見ても見ても見飽きない、ずらりと桃の断面図と家系図が並んだ「桃の家系図2021」、1.2万件のリツイート、2.9万件近いいいねが寄せられています(8月21日時点)。

圧巻の情報量に「すごい!」「桃好きとして感謝と敬意を表したい」「まだ出会ったことのない美味しい桃がたくさんありそうでワクワクします」という驚きの声や、「桃太郎を産んだ桃はどれなんだろう? と思いました」「昨日箱買いしてきたけどどんな品種だろう?」と、気になる桃を探してみる方も。

「今の時季はまどかが超甘くて美味しいね」「川中島は、また長野行ったときに買いたいと思うぐらい印象強い」「おかやま夢白桃はものすごく甘くて柔らかくてジューシーで、とっっても美味しいですよー」と、好きな桃に関するリプライや引用リツイートも寄せられています。

思わずじっくり見たくなる「桃の家系図」、作者のわたなべ まこさんにお話を伺いました。

圧倒の「桃の家系図」注目ポイントは?

ーー「こんなに種類があるんだ!」と驚く情報量の家系図ですが、作られたきっかけは?

桃に限らずですが、スーパーなどで果物を買う時に品種名ではなく「いちご」「もも」として売られている事がまだまだ多いです。産地名や農家さんの名前、ブランド名(これは品種名とは異なります)は記載される事が増えてきましたが、品種名はなかなか書かれておらず、一般消費者の方もそこまで意識しないで食べているんじゃないかな、と。

ーー店頭で買うときに、品種名を意識することはあまりないですね……。

実は桃にはこんなにも品種があるんだよ、という事を楽しくわかりやすく伝えたかったので、桃の家系図を作成しました。

品種を辿っていくと、交配親のよいところを受け継いでいる桃も多いので、Aという桃が美味しかったから、Aの親であるBもきっと自分好みの味だと思う、みたいに、桃を選ぶ時の指標にもなります。

ーー新しく好みの桃にも出会えそうですね。「家系図」を見る際、注目のポイントはありますか?

家系図のド真ん中にいる「あかつき」という桃から何種類もの桃が誕生していて、今回だけでも9個追加してます。

  • 「あかつき(浅間白桃)」からは多くの種類が誕生しているそう(わたなべまこさん @danmenzukanより引用)

掲載していないだけで、たぶんもっといるので、あかつきの子孫の桃を発見したら是非教えて欲しいです。次回の更新時に追加します(笑)。

あと、最近は桃×ネクタリンの交配で誕生した品種が増えてきているなあ、と思いました。家系図の左下にいるワッサーなどです。

  • 「山根白桃」と「水野ネクタリン」から成る新品種「ワッサー」(わたなべまこさん @danmenzukanより引用)

ーー多くの方から反響が寄せられております。

「桃にこんなに品種があるなんて知らなかった」という感想を沢山いただくのですが、実はこれはほんの一部で、一般的には日本の桃はおよそ100品種以上存在すると言われています。そして新品種もどんどん誕生しているのです。

ーー「桃」といってもそんなに品種があるんですね!

産地や生産者さんの腕にもよりますが、品種ごとに味や食感は異なりますので、できたら品種ごとに食べ比べをして楽しんで頂けたらなあ、と思ってます。

また、この桃の家系図はクレジットさえ消さなければ自由に使って頂いてかまわないので、印刷してスーパーの桃売り場とか、農家さんの作業場や直売所など、桃のそばに貼って貰えると嬉しいです。もちろん桃好きさんのお部屋の壁にもどうぞ。

ーーちなみに、わたなべさんイチオシの桃はどの品種でしょうか?

出荷量が多く全国的に出回っているという意味で、みなさんが知っている代表的な品種で言うと、「白鳳」や「あかつき」、「川中島白桃」があげられます。スーパーでも見つけやすい桃です。 食味が安定していて万人受けする桃なので、食べやすいと思います。

桃の家系図への反響を見ていて人気なんだな、と感じた桃は「ワッサー」と「なつっこ」です。以前に比べて知名度あがってきたんだなあ、と思いました。

  • 「なつっこ」は代表的な品種「あかつき」「川中島白桃」を掛け合わせた桃(わたなべまこさん @danmenzukanより引用)

今年食べて個人的に美味しかった桃は「まどか」という品種です。ガリガリに硬い食感の桃なんですがハマる人にはハマると思います。「まなみ」「おどろき」も硬い食感が好きな方にオススメします。

桃の断面図という観点で言うと、今年初めて食べた桃なんですが「べにみなみ」の断面がとても赤くてビックリしました。

  • わたなべさんが赤い断面に驚いたという「べにみなみ」(中央)(わたなべまこさん @danmenzukanより引用)

味や食感だけではなく、色合いや模様など、断面図だからこそ楽しめるポイントもあると思うので、食べる前にぜひ桃を割ってみてください。


スーパーに行って探してみたり、食べながら特徴を考えてみたりするのが楽しくなりそうな「桃の家系図」。もしかすると、新しい桃との出会いがありそうです。

なお、わたなべさんが執筆した『いちごだんめん図鑑』『りんごだんめん図鑑』『かんきつだんめん図鑑』では、他にもさまざまな果物の「断面」や品種を楽しむことができます。普段美味しく食べている果物の見方がちょっと変わるかもしれませんね。