――お互いの魅力についてはどう思っていますか?

村上:真面目なところですかね。

野田:ザ・芸人の部分を村上がちゃんとしてくれるので、そのおかげで僕が芸人じゃない部分をやれている気がします。

村上:途中で役割分担するようになったんです。僕は後輩や先輩と付き合い、楽屋でみんなと過ごす。先輩や社長に「ライブ呼んでください!」「仕事ください!」と話すとか。

野田:お互いがやらざるを得ない部分を分担して担った感じですね。ネタを作らねばならないし、付き合いもしなくちゃいけないから。

――『M-1』で優勝まで行ったことで改めて相方の良さを再確認されたりしましたか?

野田:優勝して「コイツと組んでいてよかった!」と感じることはない。14年もやっていれば、急に何かに気づくことはないですよ(笑)。

村上:特に「コイツでよかったー!」とは思わないです(笑)。

野田:一応僕たち、これは仕事としてやっていますので、そうでもなければコイツとこんなにしゃべらないですよ(笑)

村上:お金をもらわず、しゃべることはそんなにない。2人でずっとスマホを見ていると思います(笑)

――世間で例えるとするならば『M-1』の優勝は、同期の社員が14年越しに大きな契約とれたみたいな感じですか?

村上:僕はいつも「仲悪い兄弟」って言っているんです。「この間いつ口きいたっけ?」みたいな。そういう兄弟にいきなり遺産(優勝賞金)が入ってきたような感じですかね(笑)。

――『M-1』優勝、漫才論争も含め、飛躍の2020年はいかがでした?

野田:漫才じゃないもので優勝していたとしたらすごいなって。

村上:点数けっこう入れさせたなあと。漫才じゃないのであれば上手くダマしたなあと(笑)。

――お笑い芸人としての自信になりましたか?

野田:認めざるを得なくなったと思います。大御所たちが点数を入れてしまったら誰も否定できない。「ほら!」って感じですね。

村上:逆に漫才が伝統芸能になりつつあるのかな、ピンチかなと思いました。カタチが決まったら伝統芸能になってしまい、歌舞伎は飛んじゃダメでしょってみんなが思う。漫才もたぶんそうで、寝転んじゃダメでしょってみんなが思っていたら、カタチが決まっているということ。2人がしゃべり合うと決まってしまったら、もう伝統芸能になっちゃうので進化は止まってしまう。

――やはりある意味で一石を投じていたことに。

村上:そう思いながら漫才しているわけではないですけど、漫才ってそこまで行ってたんだ、ピンチ! と思いました。なのでこれで1回戻したかなと。

野田:戻せたかは、今年の『M-1』次第じゃないですかね。今年、「ちゃんとした漫才が見られた」みたいな感じになったら、より一層漫才が凝り固まると思う。

――コンビとしての今後の目標は?

村上:目標は穏やかな暮らしですね。これは2人とも同じです。

野田:ストレスフリーな暮らしですね。るんるん気分で仕事場へ向かう。そんな毎日がいい。1日の終わりが気持ちいいくらいの仕事量が毎日あって。

村上:週3日休みで月80万円。

野田:家賃25万。

――もっとすごい野望をおっしゃるかと(笑)

野田:いや、これ以上の野望はないでしょ! これぞ完全なる状態です。

――『キングオブコント』の優勝も狙っているとのことですが、意気込みを聞かせてください。

村上:もちろん出るからには優勝を目指しています。

野田:見事『キングオブコント』で優勝して、勝ち逃げという感じにしたい。賞レースという僕らをずっと悩ませてきた悪魔を追い払おうかなと思っております。

■マヂカルラブリー
2007年結成のお笑いコンビ。ボケの野田クリスタル、ツッコミの村上で構成。『M-1グランプリ2017』の決勝で審査員の上沼恵美子が酷評し最下位になるも、全国区の知名度を得る。その後、『キングオブコント2018』では初の決勝進出を決め、2020年の『R-1ぐらんぷり2020』では見事、野田が優勝の栄冠に輝くなど着実に腕を上げ、『M-1グランプリ2020』では悲願の優勝を果たした。