アイドルになる前は「めっちゃ引っ込み思案だった」という白間。「人前にでるのがめっちゃ苦手で、学校の日直で前に出てあいさつするのも嫌い。すぐ泣いていた」。そんな引っ込み思案で泣き虫だった1人の女の子が、アイドルとしてお披露目ステージに立ったのが2010年10月。同期は山本彩、渡辺美優紀、上西恵、吉田朱里ら。白間はその中でも比較的若いメンバーだった。
「私、一番手のかかったメンバーだと思うんですよ。ダンスレッスンも毎回1人だけ踊れていなくて、先生に怒られ、怒られてはレッスン室を飛び出して『もうできひん!』って泣いて…。それをお姉さんメンバーのさや姉(山本)たちに慰めてもらっていました」。
そんな白間に訪れた転機は2013年9月に行われた「AKB48 34thシングル選抜じゃんけん大会」。AKBのシングルを歌う選抜メンバーをじゃんけんで決めるもので、この年、白間は当時圧倒的人気を誇っていた大島優子と第1回戦でぶつかり、勝利したことで注目を集める。
「大島優子さんはすごい大先輩。そのじゃんけん大会で“白間美瑠”をアピールすることができて、多くの方に気にしてもらえるようになって自信がついたんです。握手会に来てくれるファンの方の人数も目に見えて増えました。待機列の長さも変わりました」とうれしそうに回想する。
続くターニングポイントはNMB10作目のシングルとして2014年11月に発売された「らしくない」で、矢倉楓子とともにダブルセンターを務めたこと。同曲を「NMBを引っ張っていくんだって自覚した曲」と位置づけている。
そして、同じ1期生で「1番支えてもらった」という渡辺美優紀の卒業も変わるきっかけとなった。「(2016年7月に行われた)みるきーの卒コンで、最後のMCで手を挙げて『私がNMBを引っ張っていける存在になりたい』と宣言させてもらったんです。いままでのコンサートのMCで自分からしゃべり出すことはほとんどなかったのですが、みるきーが卒業することを受けて『ここは1期生の私が変わっていかないと!』と心から感じて自分から発言しました。そこで殻が破けたんです」。
その濃い10年間のアイドル人生が、彼女を前向きな人へと変えていった。白間は「アイドルをやらせていただく中で本当にたくさんのターニングポイントがあって、1つひとつの出来事が自信になりました。NMB加入当初はダメダメだったので、レッスン室に残って人一倍努力した。その時間は誰にも負けないと自覚している。それも自信に繋がっています」と胸を張る。
卒業後の夢は「強い女性像を印象付けられる、歌って踊れるかっこいいアーティスト」を掲げている。
「ソロ活動への不安、ですか? 一切ないです。やってやろう!という気持ちでいっぱい。不安なんか全然ないです。いつかは武道館やNMBでお世話になった大阪城ホールにも一人で立ちたい。ステージの大きさに関わらず、たくさんのステージに立ちたいです。ステージを一人で使い放題。絶対、気持ちがいいですよね!」。そう瞳を輝かせた白間。泣き虫で引っ込み思案の女の子は、もうそこにはいない。