奥さん、妻、嫁、家内、女房に加え、最近はパートナーなど、配偶者の呼び方は多種多様。本記事では、どの呼び方が正しいのかや、代表的な呼び方についてそれぞれの意味を解説します。
また、マイナビニュース会員の既婚男性500人を対象に、自分の配偶者を第三者に向けてなんと呼ぶかについてアンケート調査を実施しました。ランキング形式で紹介します。
奥さんという呼び方は正しい?
結論から言うと、男性が自分の配偶者について第三者の前で語る際に、日本語として正しい、無難とされている呼び方は「妻」です。後述するように「嫁」や「奥さん」は、自分の妻に対しては使用することは本来は正しくありません。
また「妻」は公的書類にも使用されています。配偶者を低く見たニュアンスのない、対等な言葉であるため、無難な表現と言えるでしょう。
男性が自分の配偶者について語る際の、代表的呼び方と意味
ここからは、男性が自分の配偶者を呼ぶ際、よく使われているものについて、言葉の意味を解説していきます。
「妻」は夫婦における夫に対する配偶者女性のことで、公的書類にも使用される
「妻」は、配偶者である女性のことを意味し、特に他人に向かって自分の妻を指して言う言葉です。対となる言葉は「夫」です。
婚姻届や住民票の続柄など公的な書類にも使われていて、男女間や他者との関係においてもフラットといえる表現です。目上の人に向けて、自分の配偶者について語るときに使用しても失礼にはあたりません。
「嫁」の本来の意味は「息子の配偶者」
「嫁」は本来、息子の妻のことを指します。対となる言葉は「婿」です。「彼の嫁さんは気が利く人だ」などのように、「他人の妻」という意味もあります。
いずれにしても、自分の配偶者を指す言葉としては、本来はふさわしくありません。
また、「女性」が「家」に入るという考え方が時代にそぐわないという考え方もあります。
「奥さん」とは他人の妻を敬って呼ぶ言葉で、「奥様」より砕けた言い方
「奥さん」は「奥様」の砕けた言い方で、もともとは公家や大名など、身分ある人の妻を敬って呼ぶ言葉でした。だんだんと武家や富商などの妻についても使用するようになり、現在では広く、他人の妻に対して用います。
こちらも自分の配偶者を指す言葉としては、本来はふさわしくありません。
「家内」の意味は「家の中の人」で、妻を謙遜して言う呼び方
「家内」は、「家の中、家族の者」といった意味を持つ言葉です。目上の人などに対して、自分の妻を謙遜して言う呼び方ですが、男尊女卑のように思える、という声も聞かれます。
また「家の中の人」というのが、夫は外で仕事をし、妻は家で家事をするものという古い考えを想起させるという意見もあるようです。
「上さん(かみさん)」は元々は身分の高い人の妻を敬って言う呼び方
「上さん(かみさん)」は「上様」が変化したものといわれています。「上様」とは、「上」という漢字からも想像できるように、目上の人、身分の高い人の妻を敬っていう言葉です。
それが「上さん(かみさん)」となり、商人や職人などの妻のことや、親しい間柄において、自分の妻や他人の妻を指す言葉としても使われるようになりました。
「女房」には妻の立場を低く見る意味合いがある
「女房」は元々、貴族に仕えて、身の回りの世話をする侍女のことを指していました。「身の回りの世話をしてくれる人」という意味から、目上の人などに対して、自分の妻を謙遜して言う呼び方としても使われるようになったといわれています。
男性が自分の配偶者を第三者に向けてなんと呼ぶかのランキング
それでは次に、実際のアンケート結果を紹介します。マイナビニュース会員の既婚男性に、自分の配偶者を第三者に向けてなんと呼ぶかについて聞いてみたところ、このようなランキング結果になりました。
1位 嫁 (24.6%)
2位 妻 (22.0%)
3位 奥さん (12.4%)
4位 家内 (10.0%)
5位 かみさん (9.6%)
6位 名前やあだ名 (7.0%)
7位 女房 (6.2%)
8位 ママ (2.4%)
9位 連れ(ツレ) (1.8%)
10位 相方 (1.0%)
11位 パートナー (0.8%)
12位 愚妻 (0.6%)
ここからはアンケート回答者のコメントを紹介していきます。
1位 嫁 (24.6%)
1位は「嫁」でした。周囲の人がそう呼んでいるので自然と、という人が多いようでした。
・「周りに使っている人が多いため」(42歳男性)
・「そう呼んでいる人が周りに多かったので自分もつられて」(49歳男性)
・「父親が人前でそう話していたから」(38歳男性)
・「独身時代に会社の先輩が『嫁』と言っていたからまねしている」(46歳男性)
なお、特に関西圏ではよりポピュラーだと思うという意見も見られました。これに関しては、関西の落語家やお笑い芸人で自らの妻を「嫁」と呼ぶ人が多いからでは、という説もあるようです。
・「関西では多い呼び方だと思う」(44歳男性)
・「大阪出身で親しみがあるから」(51歳男性)
・「深く考えた事はないが、関西で結婚したので、周りがそう呼んでいたからかなぁ」(52歳男性)
また、短くて呼びやすいからという意見も見られました。
・「言葉が短くて呼びやすいこと」(35歳男性)
・「一番言いやすく響きが良いので使います」(62歳男性)
他の呼び方よりは照れくささが少ないという意見や、堅苦しくないからという意見もありました。
・「妻や女房は照れくさい」(69歳男性)
・「一番気取らない言い方だと思うから」(68歳男性)
・「一番呼びやすい距離感の言葉だったから」(38歳男性)
・「なんとなくではありますが、妻というと堅苦しくなってしまうので『嫁』で通しています」(51歳男性)
なお前述のように、「嫁」はもともとは「息子の配偶者」という意味であるため、自分の妻を指すにはふさわしくないといわれています。そのような事情を理解はしているけれど、それでも使用している、という意見もありました。
・「呼びやすいから。本来は違うと思うが」(56歳男性)
2位 妻 (22.0%)
・「正しい呼び方だと思うから」(39歳男性)
・「正しい呼び方だとテレビで見たことがあるから」(42歳男性)
・「どんな場面でも当たり障りなく使えるから」(44歳男性)
・「どんなシチュエーションでも、一番スマートな呼び方だと思うから」(61歳男性)
・「誰に対しても無難で、恥ずかしくない呼び方だからです」(40歳男性)
・「一番オフィシャルに聞こえるから」(46歳男性)
・「他人と話をするときの配偶者は『妻』と呼ぶべきで、他の呼び方は妻を低く見ている傾向があるから」(70歳男性)
・「妻なら対等な関係の呼び方だと思うから」(32歳男性)
・「大事なパートナーだから」(62歳男性)
・「一番呼びやすいと思います」(47歳男性)
・「特にないが、周りもそう呼ぶ人が多い」(31歳男性)
3位 奥さん (12.4%)
・「嫁だと偉そうなので今は『奥さん』で定着しました」(44歳男性)
・「嫁だと上から目線な感じがし、妻だと堅苦しい感じがするため」(34歳男性)
・「対等な関係なので、それを意識した呼び方」(56歳男性)
・「なんとなくソフトな感じなので」(44歳男性)
・「本当は他人行儀だが、優しい感じがするから」(45歳男性)
・「本当は『妻』が正しいのでしょうけども、言いやすいから」(49歳男性)
・「妻に頭が上がらないから」(41歳男性)
・「敬意を示したいから」(44歳男性)
・「なんとなく周りが言っているから」(41歳男性)
・「ただなんとなくです。親もそうだったかな」(55歳男性)
4位 家内 (10.0%)
・「謙虚に感じるため、以前からそのように呼んでいます」(59歳男性)
・「きちんとしている感じがするから」(58歳男性)
・「昭和の時代は一般的にそう呼んでたから自分も同じにしている」(73歳男性)
・「昭和の人間だからこうなります」(75歳男性)
・「慣れた言い方なのでついその言葉が出てしまう」(71歳男性)
・「昔からの慣例でそう言っているが、最近は『妻』ともいう」(63歳男性)
・「なんとなく昔からこれを使っているだけです。意味を考えると、時代にそぐわないですね」(64歳男性)
・「主に専業で主婦をしているから」(66歳男性)
・「両親がそう言っていたため」(29歳男性)
5位 かみさん (9.6%)
・「なんとなく親近感がありそう」(69歳男性)
・「庶民的な感じがするから」(60歳男性)
・「親しみやすい響きだから」(56歳男性)
・「最も親しみがあるから」(37歳男性)
・「先輩がそのように呼んでいたので」(59歳男性)
・「なんとなく昔から呼んでいる。刑事コロンボの影響かもしれない。若い頃によく見ていたので」(54歳男性)
・「うちの神だから、そう呼んでます」(61歳男性)
6位 名前やあだ名 (7.0%)
・「結婚前は友達だった期間が長いから」(44歳男性)
・「付き合っていたときから呼び慣れているから」(38歳男性)
・「お付き合いしていた頃からの習慣、癖。子どもができても変わらない」(57歳男性)
・「結婚前から呼んでいて慣れているから」(63歳男性)
・「慣れ親しんだ名前で呼びたいから」(49歳男性)
・「家でもそう呼んでいるから」(48歳男性)
・「軽い感じでの愛情表現です」(51歳男性)
7位 女房 (6.2%)
・「親戚や知り合いがみんな使っており、抵抗なく使える」(70歳男性)
・「一番呼びやすい呼び方だから」(67歳男性)
・「なんとなくそう呼び続けているから」(50歳男性)
・「なんとなく、自分的にスッキリはまるから」(60歳男性)
8位 ママ (2.4%)
・「結婚し子どもが生まれてから、子どもが呼べるようにママと言ってからそのままになった」(57歳男性)
・「子どもとそろえるためにそう呼ぶ」(39歳男性)
・「子どもにとってわかりやすいから」(42歳男性)
・「愛する人なので親しみを込めてママと呼びたい」(55歳男性)
9位 連れ(ツレ) (1.8%)
・「昔から親も呼んでたから」(38歳男性)
・「連れ合いというのが一番気が楽」(56歳男性)
10位 相方 (1.0%)
・「知り合いがそう言っていたから」(49歳男性)
・「ネタでそう呼んでいるから」(37歳男性)
11位 パートナー (0.8%)
・「他は恥ずかしいのでなんとなく」(51歳男性)
・「この呼び方は素晴らしいと思います」(52歳男性)
12位 愚妻 (0.6%)
・「妻を謙遜して言うため」(70歳男性)
その他の呼び方
上記の選択肢以外の呼び方をしているという人の意見もご紹介します。
【かあちゃん】
・「会社でみんなそう呼ぶから」(47歳男性)
【お母さん】
・「なんとなく。子どもの前で呼ぶ癖からかな」(68歳男性)
反対に、女性は自分の配偶者を第三者に向けてなんと呼ぶ?
逆に、女性は自分の配偶者を他人に向けてなんと呼ぶかについてもアンケートを行いました。今回の調査では1位は「旦那」、2位は「主人」、3位は「夫」となりました。
マナーとしても無難なのは妻だが、アンケートは多様な結果に
今回のアンケートでは、もともとは「息子の配偶者」という意味の「嫁」が1位となりました。
2位はフラットなニュアンスの妻です。婚姻届や住民票の続柄など公的な書類にも使われています。目上の人に向けて、自分の配偶者について語るときに使用しても失礼にはあたりません。多くの人がコメントしていたように、対等な意味合いであるため、男尊女卑を感じさせない無難な表現と言えるでしょう。
3位は「奥さん」でした。本来は他人の妻を尊敬の意味を込めて呼ぶ言葉で、「奥方」「奥様」がくだけて「奥さん」となったといわれています。
コメントによると、全体的に周囲の人の影響を受けてその呼び方になったという人が多い印象でした。言葉として本来的にはふさわしくないという認識を持ちつつも、周囲との会話上でのニュアンスを重視してその呼び方を使用しているという人の意見も見られました。
調査時期:2022年6月14日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男性500人
調査方法:インターネットログイン式アンケート