フランス映画界の巨匠フランソワ・オゾンの最新作『Summer of 85』(8月20日公開)より、俳優の磯村勇斗がナレーションを務めるミュージックビデオが5日、公開された。

  • 磯村勇斗

本作は、少年たちの瑞々しい刹那の初恋を描く、儚くも美しいラブストーリー。英作家エイダン・チェンバーズによる青春小説『Dance on my Grave』(おれの墓で踊れ/徳間書店)を原作に、17歳で本小説と出会って以来映画化を熱望していたオゾン監督が、約35年の時を経て映像化。1985年夏、北フランスの海辺の町を舞台に、16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーヴル)が、運命的に出会った 18歳のダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)との愛に溺れ、永遠の別れを知るまでの、生涯忘れられない“6週間の青春”が描かれる。

今回公開となったのは、アレックスとダヴィドが過ごしたかけがえのないひと夏を、劇中曲にあわせて振り返る特別映像。不慮の事故でダヴィドを失い傷つきながらも、心の中の彼の存在を確かめるように、ゆっくりと思い出を辿るアレックス。嵐の海での出会いからの恋のはじまり、2人きりで過ごした幸せな日々、愛するほどに湧き上がる“満たされない気持ち”など、美しい初恋の記憶を思い巡らす写真の数々には、アレックスが初めて経験した濃密な6週間が凝縮されている。

初恋の喜びや痛みに溺れる無垢な少年アレックスの繊細な心情を、甘く切ないナレーションで彩るのは、映画でのナレーションは今回が初挑戦となる磯村勇斗。収録後、「慣れていないからドキドキした」と明かした磯村は、「普段は全身を使って芝居をしていますが、繊細なニュアンスを声だけで表現することはとても難しかった」と述懐。オゾン監督こだわりの16mmフィルムで撮影された本作の映像美に触れ、「オレンジ色の夕日のあたる海岸や、ヨットから見る一面の青い海、80年代を彷彿とさせるフランスの景色がとてもきれい。フィルムならではのざらざらとした質感や滲んだ色味によって、人物の表情がより豊かに繊細に感じられて、本当に美しかったです」と魅力を語り、「美しく切り取られた、アレックスとダヴィドの初恋を邪魔したくないと思いながら臨みました」とナレーションに込めた想いを明かした。

磯村はまた、「少年たちの恋が始まっていく過程がとてもピュアで、心を掴まれました。きっと誰もが“初恋”を経験していると思う。彼らの物語が、皆さんにとっても自分の青春時代を思い出すきっかけになってほしいなと思います。観終わった後に、心が素直に、前向きになれる映画です」と語った。

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