「弱冠(じゃっかん)」は、数え年における「20歳の男子」を意味する言葉です。現在では20歳の男子だけではなく「年齢が若いこと」の意味でも使われます。
読み方が同じ「若干」と混同しやすいので、それぞれの意味と用法の違いも覚えておきたいところです。そこで本記事では、「弱冠」の使い方や例文などについて、くわしく解説します。
弱冠の意味
「弱冠」には2つの意味があります。
- 数え年における20歳の男子
- 年齢が若いこと
近年では「年齢が若いこと」の意味で使われるケースがほとんどです。
なお、「弱冠」の読み方は「じゃっかん」ですが、辞書によっては「じゃくかん」と表記されているものもあります。
■弱冠の語源
かつての中国では、男子が20歳になると冠をかぶって元服したことから「弱冠」という言葉が生まれたとされています。中国の古典「礼記」には「二十を弱と曰ひて冠す」の記述もみられます。
■弱冠は女性にも使える?
もともとは「20歳の男子」を意味する言葉であるため、女性に対して「弱冠」を使うのは適切ではないとされています。
弱冠と若干の違い
「弱冠」は基本的に「年齢」を表す言葉として使います。一方、「若干」は「物の量や程度などがあまり多くない」ことを表します。どちらも「数字があまり大きくない」ことをさしますが、その対象は異なるので使いわけに注意しましょう。
「若干」には「若」という文字が使われているので「年齢が若い」の意味で誤用されがちです。しかし、「若干」の「若」は年齢的な若さではなく、「干」を一と十に分解した「一の若く(ごとく)、十の若し(ごとし)」という意味あいになります。1~10くらいのそれほど大きくない数量と覚えておきましょう。
弱冠の使い方と例文
「弱冠」を「数え年における20歳の男子」の意味で使う場合の例文は、下記のようになります。
「まだまだ子供だと思っていた彼も、弱冠と呼ばれる年齢になった」
「弱冠」を「年齢が若いこと」の意味で使った例文は下記のとおりです。
「彼は弱冠22歳で起業した」
この例文は、「彼はわずか22歳という若さで起業した」という意味あいになります。
なお、「29歳ぐらいまでなら弱冠といってよい」という意見や、13歳~34歳程度まで幅広い用例が載せられている国語辞典などがあるため、「弱冠」がさす年齢的な若さに明確な定義はないようです。
文脈によっても「弱冠」が若さを表す年齢は異なります。
「彼は弱冠34歳で県知事になった」
上記例文の場合、34歳という年齢の相対的な若さではなく、「県知事に就任する年齢としては若い」という意味あいで使われています。