戦型は永瀬王座が先手番で角換わり早繰り銀を採用

豊島将之竜王への挑戦権を目指す、第34期竜王戦(主催:読売新聞社)決勝トーナメントが佳境です。7月28日には準決勝の▲永瀬拓矢王座-△梶浦宏孝七段戦が東京・将棋会館で行われています。勝者が挑戦者決定三番勝負に進む大一番を制するのは果たしてどちらになるでしょうか。


第34期竜王戦決勝トーナメント表

永瀬王座は本局が今期決勝トーナメントの初戦です。ランキング戦1組で澤田真吾七段、羽生善治九段、稲葉陽八段、久保利明九段を破って優勝したため、1局勝てば挑決三番勝負に進めるスーパーシードでの出場となりました。

第28期竜王戦では、挑決三番勝負まで勝ち進んだ永瀬王座。その時は渡辺明棋王(当時)に1勝2敗で敗れ、挑戦権獲得とはなりませんでした。

梶浦七段は4組優勝で決勝トーナメントに進出すると、青嶋未来六段、佐藤天彦九段、羽生九段を破る快進撃を見せています。とくに羽生九段戦は前期のリベンジマッチでした。5組優勝で臨んだ前期は、4連勝で準決勝まで勝ち進んだところで羽生九段と対戦し、惜しくも敗れていました。

今期も再び準決勝まで駒を進めた梶浦七段。1組優勝者に勝利することはできるでしょうか。

10時に始まった対局は、振り駒で永瀬王座が先手番になりました。永瀬王座は得意の角換わり早繰り銀を採用し、玉を金銀3枚でしっかりと囲っています。対する梶浦七段は金銀を自陣にバランスよく配置する対照的な構えです。

先手は早繰り銀がさばけるかがポイントになるでしょう。どこかで▲5六角のような筋違い角を打っていく展開もありそうです。

後手としては△6五歩の反撃をどのタイミングで決行するかが焦点です。早すぎると先手に丁寧に受けられて不発。遅すぎると今度は無視されて攻め合われてしまい、速度負けする恐れがあります。

持ち時間が5時間の本局は、本日夜の終局見込みです。挑決三番勝負に進出し、反対側の山の藤井聡太二冠-八代弥七段戦の勝者を待ち構えることになるのは、果たしてどちらでしょうか。

1組優勝の永瀬王座(左)と4組優勝の梶浦七段(永瀬王座の写真は日本将棋連盟提供)
1組優勝の永瀬王座(左)と4組優勝の梶浦七段(永瀬王座の写真は日本将棋連盟提供)