西武鉄道は7月24・25日、特急列車を活用した沿線農産物の輸送・販売を実施する。その報道公開が7月24日に行われ、「ラビュー」にて農産物が運ばれる風景や、輸送された農産物を売り場へ搬入する風景などが公開された。

  • 西武鉄道の特急車両「ラビュー」で運転される「ちちぶ20号」が飯能駅に到着

今回の取組みでは、横瀬町あしがくぼ産のプラムを池袋線・西武秩父線の特急車両「ラビュー」で、川越・狭山地域等の枝豆・とうもろこしを新宿線の特急車両「レッドアロー」で輸送し、所沢駅直結の「グランエミオ所沢」で販売する。

横瀬町あしがくぼ産のプラムは、横瀬駅を9時28分に発車する「ちちぶ20号」の8号車に積まれた。複数のスタッフが乗車しており、報道関係者らも飯能駅から同乗。プラムは保冷ケースに入れられ、「ラビュー」の座席に1ケースずつ置かれてあった。

「ちちぶ20号」は10時4分に飯能駅を発車し、池袋線を走行。10時21分に所沢駅へ到着した。スタッフはプラムの入ったケースを持って改札階まで歩き、川越・狭山地域等の枝豆やとうもろこしを持ったスタッフと合流する。枝豆やとうもろこしは新宿線の「小江戸66号」に載せられ、本川越駅から所沢駅へ輸送された。

  • 「ラビュー」の座席に置かれた横瀬町あしがくぼ産のプラム

  • プラムはデリケートな果物だが、「ラビュー」を活用することで所沢駅まで輸送が可能に

所沢駅の改札を出た後、これらの農産物は「グランエミオ所沢」のイベントスペースに持ち込まれ、商品をケースから出し、さっそく販売を開始した。すでに多くの人が並んでおり、次々に農産物が売れていく。とくにプラムは人気だった。7月25日も、プラムは1日50かご、枝豆ととうもろこしはそれぞれ1日50袋を販売する予定となっている。

■観光PRを目的に、沿線農産物の輸送・販売を実施へ

西武鉄道は昨年度、秩父地域がおいしい農産物の産地であることを多くの人に知ってもらうべく、鉄道輸送の新たな活用を模索する目的で、シャインマスカットやいちごの輸送実証実験を行った。2度の実証実験を踏まえ、鉄道ならではの速達性や揺れの少なさが農産物輸送に適していることを確認。この試みが好評だったため、観光PRを目的に沿線農産物の輸送・販売を行うこととなった。

今回輸送された農産物のうち、プラムは希少な高級品種でありながら、いちごと同様、振動や衝撃に弱い。横瀬町あしがくぼ産のプラムは傾斜地ゆえに栽培が大変であり、近年の気候変動も影響して収穫量が年々減っていることもあって、地元の直売所以外では手に入りにくい状態だった。しかし鉄道を活用することにより、プラムを横瀬駅から所沢駅まで輸送し、駅直結の「グランエミオ所沢」での販売が可能になった。

  • 所沢駅到着後、本川越駅から輸送された沿線農産物と合流

  • 「グランエミオ所沢」の売り場にて、沿線農産物が販売された

  • 店頭に並んだ横瀬町あしがくぼ産のプラム

  • プラムを買い求める人も多かった

  • 枝豆やとうもろこしも店頭に並ぶ

  • 売り場は多くの人でにぎわった

一方、新宿線の特急列車を活用した沿線農産物の輸送・販売は初とのこと。新たな取組みとして、川越・狭山地域等の採れたての枝豆や朝採れとうもろこしを取り扱う。

このように、西武鉄道の特急列車を活用することで、沿線農産物を早く新鮮なうちに届けることができるようになった。なお、西武鉄道は沿線農産物の輸送・販売に関して、今回は沿線の本格的な「夏の訪れ」を告げるイベントとして実施するものであると説明。新型コロナウイルス感染症の影響で観光需要が不安定になる中、沿線農産物を多くの人に知ってもらい、観光PRにつながるように産地を応援していくという。