トヨタ自動車が新型「アクア」を発売した。10年前、トヨタの小型車で初のハイブリッド(HV)専用車として誕生したアクアだが、今回のフルモデルチェンジでは燃費をさらに向上させたほか、災害などの緊急時に役立つ給電機能を全車標準装備とするなどあらゆる面で進化をとげている。

  • トヨタの新型「アクア」

    トヨタの新型「アクア」

新開発のバッテリー採用で出力が2倍に

アクアは2011年12月に発売となったトヨタの小型HVだ。エコカーの普及を使命とし、「HVをみんなのものに」との思いで生まれたアクアは、これまでにグローバルで約187万台が売れている。

新型アクアはトヨタが小型車用に開発した新しいプラットフォーム「TNGA」(GA-B)を採用。同じプラットフォームの「ヤリス」が「鍛え抜かれたコンパクトボディで俊敏」なクルマであるとしたら、新型アクアは「自分にもみんなにもいい上質さと安心感」のあるクルマだというのが、トヨタ コンパクトカーカンパニー プレジデントの新郷和晃さんによる説明だ。

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    ボディサイズは全長4,050mm、全幅1,695mm、全高1,485mmで従来型と同じだが、ホイールベースは+50mmの2,600mmとなり、リアシートの居住性が向上しているとのこと

燃費は従来型に比べ約20%向上し、35.8km/Lを達成。新開発の「バイポーラ型ニッケル水素電池」を駆動用車載電池として採用し、バッテリー出力は約2倍にパワーアップしている。走りの面ではアクセル操作に対する応答性を向上させ、低速からリニアでスムースな加速を可能にしたとのこと。電気だけでの走行可能速度域も拡大しているという。

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    ボディカラーは全9種類。画像は新色の「クリアベージュメタリック」だ

トヨタのHVとして初めて搭載する機能に「快感ペダル」がある。走行モードで「POWER+モード」を選択すると、回生ブレーキを活用し、アクセルを緩めるだけで大きな減速度が得られるという機能だ。これにより、アクセル操作だけで加減速をある程度はコントロールできるので、アクセルとブレーキのペダル踏みかえ頻度を減らすことができる。この手の機能は電気自動車(EV)だとおなじみだが、慣れるとかなり足が楽になる。

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    「POWER+モード」で快感ペダルを使うと、ペダルの踏みかえ頻度が40%減少するそうだ

安全面ではトヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車で標準装備。さらに、トヨタのコンパクトカーとして初めて、駐車時の全操作を車両が支援する「トヨタチームメイト アドバンストパーク」を採用した。

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    「トヨタチームメイト アドバンストパーク」は、クルマがハンドル操作、ブレーキ、アクセル、シフトチェンジなど駐車時の全ての操作を実施してくれるという機能だ

新型アクアの注目点は、アクセサリーコンセント(AC100V・1500W)と非常時給電モードを全車に標準装備としているところだ。停電などの非常時には、車両駐車時に「非常時給電モード」とすることで、電気ポットやドライヤーなどの家電製品が使用可能な非常用電源としてクルマを活用できる。

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    コンセントを差して家電を使うこともできるし、USBケーブルでスマホを充電することもできる

新型アクアのグレード構成は価格の安い順に「B」「X」「G」「Z」の4種類。各グレードで前輪駆動(2WD)とE-Four(4WD)が選べる。価格は198万円~259.8万円。サブスクリプションの「KINTO」なら月額1.958万円(7年プラン、ボーナス月加算11万円の場合)から乗ることができる。月間販売目標は9,800台だ。