『カメラを止めるな!』の上田慎一郎氏と、妻でアニメーション監督としても活躍するふくだみゆき氏が、昨年社会現象を巻き起こした4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』(著:きくちゆうき)をアニメーション映画化。夫婦で監督・脚本を務め、新たな物語を加えた映画『100日間生きたワニ』がついに9日、公開を迎えた。このたび上田監督&ふくだ監督夫妻にインタビューし、主人公・ワニ役を演じた神木隆之介をはじめとするキャストの起用理由や演出について話を聞いた。

  • 『100日間生きたワニ』の上田慎一郎監督(右)とふくだみゆき監督

原作に込められたメッセージに強く共感し、映画化を熱望した上田監督が、妻のふくだ監督と初の共同監督・脚本で作り上げた本作は、100日間のワニの日常と、そこから100日後、大切なものを失った仲間たちのその後の姿を描いた物語。脚本開発中にコロナ禍に直面し、日常と価値観の変化に戸惑う気持ちを登場人物たちに重ねて構成を練り直し、より心の響く物語を作り上げた。

主人公・ワニ役を神木隆之介、ワニの親友・ネズミ役を中村倫也、モグラ役を木村昴、ワニが恋するセンパイ役を新木優子が担当。また、ネズミやモグラと交流を重ねる映画オリジナルの重要なキャラクター・カエル役を山田裕貴が演じた。

――声優キャストをどのように決めたのか教えてください。

上田監督:自分たちだからこそ作れるアニメにしようと思ったので、声優の方で固めるのではなく、俳優の方々を中心に配役するべきではないかという全体の方向性がありました。アニメは一般的に、バキッと声を当てるものが多いと思いますが、そうではなく日常的な、ちょっと生っぽさがあった方がいいなと。また、邦画のようなアニメを作ろうというコンセプトもあったので、俳優の方々をメインに。その上で、一人ひとりキャラクターに合う人は誰か、話し合って決めていきました。

――ワニ役の神木さんの起用理由を教えてください。

ふくだ監督:ワニくんを誰にしようと考えたときに2人とも第1希望が神木さんでした。素朴さと素直さとピュアさとまっすぐさという、私たちがイメージするワニくん、そして失ったときの喪失感が大きそうというか、失いたくないと思うネアカ感を神木さんに感じていたので、ワニくんをお願いしました。

――ネズミ役の中村さんは?

ふくだ監督:ネズミとワニくんは幼馴染で仲がいいので、演じるお2人の関係性も近い方がいいなと思っていて、神木さんと仲のいい中村さん。そして、中村さんはすごくフラットな方で、いろんな役をいろんな幅で演じられる方。いろんな役をニュートラルに演じられる印象があり、ネズミのクールさ、フラットさ、3人でいるときもちょっと引いた俯瞰で見ているようなところが中村さんと重なる部分があるなと思いました。