――ハヤシナオキさん、足木淳一郎さんのお2人がシリーズ構成として参加された経緯を教えてください。

ハヤシさんは、僕が今回オファーを受けたとき、円谷プロさんから「今まで参加していないけれど、ウルトラマンに興味のある方を」という要望を受け、お招きした方です。以前『BLACKFOX: Age of the Ninja』(2019年)の脚本を手がけられたとき、特撮ヒーロー作品が大好きだとうかがっていたので、その後も別な現場へ遊びに来てもらっていたりしていたんです。そこで「いつかは特撮ヒーロー作品にチャレンジしたい」という話になり、円谷さんにご紹介しました。

足木さんとはこれまでずっと『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズなどでタッグを組んでいて、つきあいも長いですし、ものすごく信頼を置いています。ウルトラマンのルールを守りつつ、どう娯楽性を出していくかが新番組のポイントですが、そこを安心してお任せできる方。力強いお2人と組んで『トリガー』のストーリーを組み立てていきました。

――他のスタッフさんたちも、かつて坂本監督と組んで映像作品を手がけられた方が多いようですね。

そうです。トリガーの敵である「闇の3巨人(カルミラ、ダーゴン、ヒュドラム)」をデザインした武藤聖馬くんとは別の作品で組んだとき、すごい才能を感じたので今回加わってもらったんです。メトロン星人マルゥルのK-SuKeさんも同じですね。

音楽の坂部剛さんとは『仮面ライダーゴースト』(2015年)のときにご一緒しまして、スケール感にあふれたメロディや、キャラ性の強い印象深い音楽など、素晴らしい才能に魅了されました。その後も映画『破裏拳ポリマー』(2017年)やドラマ『モブサイコ100』(2018年)も担当していただきましたが、ウルトラマンシリーズは初めてだとおっしゃっていたので、このたびお声をかけました。『トリガー』の音楽は本当に素晴らしいですから、楽しみにしていてください!各キャラクターのテーマ曲や、GUTS-SELECTの戦闘テーマなど、新しく音楽が出来上がってくるたびにプロデューサー各氏といっしょに「すごくいいですね!」と感動し合っていました。

――怪獣災害に挑むエキスパートチームGUTS-SELECTの隊員服は『ティガ』の特捜チームGUTSや『ウルトラマンダイナ』(1997年)のスーパーGUTSを思わせ、オーソドックスなカッコよさが感じられますね。

あの隊員服にも僕の意見や提案を反映していただいてます。『ティガ』『ダイナ』のGUTS隊員服のイメージを入れ込みつつ、そこにいくつかの新しい要素も加えているんです。『ウルトラマンZ』のストレイジ隊員はミリタリックなツナギで現実味を打ち出していましたが、『トリガー』ではよりSF寄りの防衛チームの雰囲気に挑戦しています。上着はレザーだけど、パンツは機動力を高めるため動きやすい素材を選ぶとか、研究と考察を重ねて作り上げています。以前の防衛チームのイメージを今の素材で再構成したらどうなるか、にこだわりました。

――『帰ってきたウルトラマン』(1971年)を思わせる"ワンダバ"男声コーラスが入ったしびれるほどカッコいい戦闘テーマ曲や、指令を受けた隊員の返事「ラジャー(了解)」などは、『ダイナ』スーパーGUTSオマージュと受け取ってよいでしょうか。

特定の作品のオマージュということではなく、怪獣と戦う防衛チームを描く上で、どんな要素を加えたらカッコよくなるかを意識した結果になりますね。

――キャスティングについてお聞きしたいと思います。まずは主人公、ウルトラマントリガーに変身するマナカ ケンゴ役・寺坂頼我さんの起用の決め手とは。

今回の主役決定にあたってはリモートでオーディションを行いました。かなりたくさんの人にお会いしたのですが、中でも寺坂くんの"明るさ"は際立っていましたね。まさに僕たちが求めていた『ウルトラマントリガー』の主人公像で、ひと目見ただけで「この人と仕事をしてみたい」と思わせてくれました。彼がもともと持っているポジティブさ、陽気さは作品のテーマ"人を笑顔にしたい"にピッタリだったんです。

――ヒロインのシズマ ユナ役・豊田ルナさんはオーディションではなく、坂本監督のオファーによって役が決まったそうですね。

そうです。ルナちゃんは以前から雑誌やテレビで気になっていた女の子のひとりでした。ルックスが魅力的な上に、子ども時代からお芝居をやっていて、確かな演技力があるのもよかったです。今回ユナのキャラクターを作っていくうち、だんだんとルナちゃんに近づいてきたのもあって、オファーをかけました。以前彼女と仕事をした方たちからもすごく評判がよくて、オファーする前からもう僕の中では「この人で行こう!」という思いが強まっていました。

――ナースデッセイ号の熱血パイロット、サクマ テッシン役には、『ウルトラマンジード』(銀河マーケットの店長・久米ハルヲ役)で強烈な印象を残した水野直さんがキャスティングされていますね。

水野さんは『ジード』の他にも、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019年/第7、8話)『SEDAI WARS』(2020年)にも出ていただいてますし「坂本組」に欠かせない人です(笑)。一度見ただけで忘れられなくなる存在感を持っていて、今回のテッシン役にピッタリだと思って声をかけました。『ジード』でもレギュラーだったから、大丈夫かな?と周囲の反応をうかがったのですが、プロデューサー陣からも「いいじゃないですか!」と速攻で決まりました。