京阪電気鉄道は8日、京阪線・大津線のダイヤ変更を9月25日初発から実施すると発表した。昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない、人の移動を根幹とする京阪グループの事業活動に幅広い影響が生じていることから、利用状況に応じた運転本数の見直しや最終列車の繰上げなど実施する。

  • 「プレミアムカー」を連結した3000系

9月25日初発から変更される平日の新ダイヤでは、京阪線(京阪本線、鴨東線、中之島線、交野線、宇治線)において、時間帯ごとに利用状況に応じた運転本数に見直される。始発列車の時刻を変更し、朝夕ラッシュ時間帯の運転本数を見直すほか、昼間時間帯(10~15時台頃)の各列車種別を現行の1時間あたり上下それぞれ6本から4本の運転とする。同時間帯において、淀屋橋~出町柳間で快速急行を1時間あたり2本運転し、「プレミアムカー」サービスを実施。各線における最終列車は最大20分程度の繰上げとなる。

平日朝夕ラッシュ時間帯に運転される全車両座席指定「ライナー」は計3本(朝の淀屋橋行1本、夕方以降の出町柳行2本)を増発。朝の淀屋橋行は5本(出町柳発1本、三条発1本、樟葉発2本、枚方市発1本)、夕方以降の出町柳行は4本(すべて淀屋橋発)となる。土休日においても、すべての時間帯で見直しが行われ、昼間時間帯および最終列車の繰上げについては平日ダイヤに準じるとのこと。

大津線(京津線・石山坂本線)では、石山坂本線の平日ダイヤにおいて、昼間時間帯の一部列車の運転区間が見直される。石山寺~坂本比叡山口間の昼間時間帯において、現行で10分間隔の運転だが、新ダイヤでは石山寺~坂本比叡山口間の列車と石山寺~近江神宮前間の列車を10分間隔で交互に運転。土休日も平日に準じて昼間時間帯の見直しが実施され、今冬以降、沿線の学校が休みとなる春季・夏季・冬季期間の平日に「学休期ダイヤ」を実施する。なお、京津線のダイヤに大きな変更は行われない。

  • 夜間保守作業(線路保守作業)の様子

  • 夜間保守作業(架線交換作業)の様子

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、時差出勤やテレワーク普及などにより事業活動に幅広い影響が生じ、京阪線も平日の輸送人員について、1日あたり約30%の減少(対2019年比)が続いている。中でも深夜時間帯でその傾向が特に強く、約70%も減少(対2019年比)も減少しているという。

最終列車の営業終了後、始発列車までの限られた時間で行っている鉄道施設の保守は、作業の安全を確保し、始発列車の運行に影響を及ぼさないように作業計画を策定する必要がある。近年、鉄道施設の種類増加や高機能・多機能化にともない保守作業量が増加していることに加え、鉄道施設の保守を担う建設業界で慢性的な人材不足や若手の業界離れが問題となっている中、最終列車の繰上げにより作業時間を確保することで、より効率的な作業計画の策定につながるとともに、必要な労働力を低減し、労働環境の改善により人材確保につながるとしている。